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超幻影リアディウム!  作者: にわとり・イエーガー
アトランティス編。
45/89

客。

 大観衆の大歓声の中。


 勝った技四王は、大喜びの様相を呈してはいなかった。ただ、全員で抱き合った。先生も含め、帰って来た己業と4人で。お互いの肩を抱き合い、円になった。


「勝って。しまった」


「はい」


「皆が頑張った結果です。有り難く受け取りましょう」


「・・いえー」


 なんか、静かな雰囲気だったので。己業は、取って付けた明るさを演出してみたが。


・・・・・・・・


 己業が勝って帰って来た時は、野牛も戦草寺も全力で出迎えてくれたものだ。人が飛び上がって喜ぶ様を、己業は初めて見た。先生は、ちょっと泣いてた。



 表彰式を終え、各校との挨拶も済まし。帰路に着く技四王高校。


 夕日が照らす高速道路を走る。車の窓から差し込む光が、4人を平等に輝かせる。


 静かな車内。来た時とは違う音楽が流れるばかり。日本人女性の若い声が響く。


「誰か、大喜びしても良いんだぞ」


「・・・先輩こそ。悲願だったじゃないですか」


 野牛と戦草寺の会話。聞くでもなく、己業は聞いていた。横の千誌もそうだろう。口を挟まない。


 己業と谷中の激闘の終了時とは違う。大会優勝と言われても。それは、試合で勝った結果でしかない。


「・・・・・・・・実感、湧かないよな」


「はい」


「はい」


 異口同音に。生徒は全員同じ感覚だった。


 勝った。それは、事実。表彰状ももらった。トロフィーだって。


「夢のような1日だった」


「はい」


 戦草寺にも、良く分かる。あまりにも激しい戦いと、緊張の連続。強さ、と言うものが、この世に姿を成したようなオリーブ。それ以外の、砕落、林密、漠府、浸中、それに、輝光白蛍。全校との戦いが、刺激的で衝撃的で、驚きとときめきとワクワクと楽しみで彩られ、すごい1日だった。


 どいつもこいつも、面白かった。


 全身全霊を、使い切った。忘れられない1日であると同時、もうおぼろげな記憶になってしまっている。強過ぎる衝撃を、無意識が緩和化しようと、記憶を薄れさせているのだ。


 ただ。


「また。来年・・・。楽しみですね」


 己業の言葉。


「・・・ああ」


「うん」


 その生徒達の穏やかな声に、先生は、にっこり笑んだ。


 そして自動車は走る。制限速度をきっちり守り、激戦を終えた戦士達を乗せて。


 千誌千歩は、まだお仕事の最中だ。可愛い生徒達を、無事に家に送り届けるまで、終わりじゃない。


 先生の静かなお仕事は、朝まで続く。












 時間は、少し巻き戻る。


「すごい・・」


「お兄ちゃん、かっこいい!」


 ムミョウ対一殺宝仕。己業の働きを見る始業、威業。兄と同レベルで動く同年代の人類を初めて見た始業。ムミョウユキテラシの威光を感じる威業。


 普段なら、この時間はお昼寝タイムだが、兄が活躍しているのでバッチリ見ている。ちなみに、全国中継だ。


 今日は朝から稽古もせず、ずっとテレビにかじり付いている。


 トレーニングは、朝稽古と朝食後ゆっくり体を動かしただけで切り上げた。


 ヴィジョンは、想像以上のシロモノだった。兄の普段の動きが、眼に浮かぶ。弟妹達にも、そうだが、父には更に。


 実力以上が出ている息子。そして、それを見事に使いこなしている。その上で、ヴィジョン内の話とは言え、以無の後継者に後れを取らぬ一殺。鬼業は名前を覚えた。


 とは言え。あの「輝き」の時は、動きが荒い。



 ・・・・楽しそうだな。荒い、未熟である事は、即ち成長を予感させる。


 己業には、「順調」が染み付いていた。特に問題も無く、ストレートに以無を継げるだろう。


 しかし、それではつまらん。定期的に、意図して己業より上の実力者と当てているが。


 リアディウムと言う場。使えるな。




びー、びー、びー


「はい。以無です」


「おれだ。頼みが有る」


「一応名乗ってるんだから、お前も名乗れよ。受ける前に分かるとは言え」


「・・グレートアトランティス代表、ソクラノ・プラテニウスです。以無鬼業さんは、いらっしゃいますか?」


「おれだ」


「・・・・・このやり取りに、意味は有ったのか?」


「無い。で、どうした。龍実の料理が食べたいのか」


「それはもちろん。が、今回は、ちょっと面倒な用件だ」


「ふん・・。詳しく話せ」


 自宅にて、テレビで己業達の活躍を家族全員で見ていた鬼業。今は試合も終わり、ドラマを見ながらおやつタイムだ。ケータイに連絡が来たので、少し席を外し、キッチンで電話をしている。


 子供達は、リビングでロボット犬エカトをいじり回している。大人しくなされるがままの犬は、あるいは大物なのかも知れない。


「これから30分後、高知港付近に隕石のようなものが落ちて来る」


「ふうん」


 ようなもの。そして、おれに連絡を入れると言う事は。


「叩いて欲しい。こちらからも回収班を回す。倒した後は、任せてくれ。ちゃんと日本国にも連絡は付けている」


「準備万端じゃねえか。知っていたのか?」


「いや。用意はしていた。だが、こんなに早いとは思っていなかった。完全にこちらの予測を超えている」


 言葉ほどには、プラテニウスの声色は焦っていない。


「とっとと計算し直しとけよ。ま、了解だ。何が来るのか知らんが、「おれ」が行けば良いんだな」


「そうだ。お前1人で頼む」


「倒し方は?」


「動かなくなるまで。それで、良いはずだ」


「どうにもならなくなったら、宇宙に飛ばすぜ」


「ああ。お前と母国の人命を最優先するのは当然だ。そこらは自由にしてくれ」


「30分後だな?」


「正確には、今から29分48秒後。だから、ちょっぴり早めに出た方が良いだろうな」


「分かった。事情は、後でゆっくり聞かせてもらうぜ」


「ああ。必ずな」


 電話を終了。妻に一言残し、家を出る。ここから高知港まで、自動車で1時間半。


 間に合わねえ。飛ぶか。



 地面を蹴り付け、空に浮く。そして。空を蹴る。ポイントは蹴り足ではない。そんなものは、適当で良い。気を使うべき所は、体勢の維持だ。ここに、「気」を込める。すると、まるで飛行機のように飛べる。ただ、速度はそんなに出せない。マッハ4が限界だ。本職の飛行機よりは、遅い。


 それでも、限界ギリギリまで出さずとも、30分以内には到着した。


 東、遠くの海に、デカイ船が見える。アトランティスからの使いか。


 さて。10分くらい余裕が有る。コンビニにでも行って、何か・・・。おやつを食べかけだった鬼業は、少々物足りない思いだった。


「お疲れ様です」


「お」


 話しかけて来た、スーツの女性。見目みめ麗しい。ナンパなら嬉しいんだがなー。


 きっちりした格好の女性と、家から半袖半ズボンで来ていた鬼業は、対照的な2人組みだった。


「どうぞ」


 コンビニ袋を差し出してくれる。中々ゴチャっと入っている。


「あんとな。・・おお、マッドブラックダークティー。有り難く頂くぜ」


「お好きでしたね、それ」


「良く覚えてんなあ・・。お前が派遣されたのか、大動」


 スーツの女性。大動滴。


「道場に大量に持ち込んでたじゃないですか。奥様にもしかられて。覚えていますよ」


「・・」


「私は今回、防衛省の見届け人です。ですので、手助けは出来ません。申し訳有りませんが」


「大丈夫だ」


「心配はしていません。ですが、お手数をおかけする事を、お詫びします」


「これは、おれの仕事さ。気にすんな」


「はい。・・・迎撃なされるおつもりですか?」


「んー」


 プラテニウスには、何も言われていない。地表に落ちた場合、それなりの被害になろうが。


「正確に、何処に落ちるか、分かるか?」


「いいえ。我々では、おおよその位置しか掴めません」


「ふむ」


 空中で迎撃した場合、最悪、破片をバラ撒いてしまいかねない。落ちた後で潰すのが良策か。


 被害を受ける土地には悪いが。


「直撃なら死ぬぞ。気を付けとけ」


「はい」


「落ちてから、叩く」


「了解致しました」


 しばし、待機。日陰にて様子を見る。ここ最近の景気など話しつつ。


「そう言えば。アトランティスでは、子供達が世話になったな」


「将来性豊かでしたよ。己業君は、リアディウムをやるそうで」


「ああ。高校大会、さっき優勝してたな」


「それは・・。おめでとうございます」


 目を見開く滴。


「まあ、運だな。初出場だから、どこの学校も警戒などしていなかっただろう。優勝候補らは、対策された中での試合。五分の仕合ではない」


「厳しいですね」


「遊びだからこそ、真剣にやるものさ」


「ですか」


 遊び、と称された事に、滴は思う所が無いわけでもない。これは、鬼業の前提を知らなければ、怒りも抱いた事だろうが。


 鬼業の前提は、無論、以無。実戦での殺し合い。存在の有無の賭け合い。それが無いリアディウムは、遊び。少なくとも、鬼業に取っては。


 そこを滴も承知している。


 唐突に、鬼業が歩き出した。


「そろそろ来るか」


「はい。こちらにも連絡が来ました。地上からでも、もう目視出来るそうです」


 確かに。鬼業には、約80キロメートル彼方の空の向こうから落ちて来る何かが見えていた。


「多分、海に落ちる。とは言え、津波は起きるか。根回しは、順調だな?」


「はい」


 数分前。おおよその落下位置が判明した頃、津波警報が発令されていたのだ。港に居た鬼業達の耳にも届いている。職員が避難を呼びかけに来てくれたが、こちらは、これからが仕事だ。


ゴオオオン


 海に落ちたと言うのに、ひどい轟音が鬼業達も耳にも届いた。まるで、岩に岩を打ち付けたような。


 そして、すさまじい衝撃が波を作る。


「どれ程の津波になるんだ?」


「こちらの計算によれば、3メートルほどです」


 思ったより、小さい。流石に、高知県が飲まれる大きさなら、隕石を空中で破砕している。それに、プラテニウスからの指定が無かった以上、心配もしていなかった。


 落下地点は、港から南方約40キロの海底。


「船を用意して有ります。使って下さい」


「おう」


 走って行くつもりだったが。楽が出来るのは、歓迎だ。巻き込めば、死ぬかも知れないが。


「危なくなれば、私達は逃げますから。ご心配には及びません」


「おっけー」


 なら良し。


 海は、そこまで荒れていなかった。隕石の大きさは、石ころとまでは言わないが、直径10メートル有ったかどうか。それでも、この程度で済んだならラッキーか。


 周囲に漁業関係者の姿は見えない。ちゃんと避難が間に合ったか。


 これならば、全力を振るって良かろう。


 茶でも飲みながら、海を行く事しばし。到着。ちなみに、正確な落下地点は、まだ割り出しに時間がかかっている。映像補足は、アトランティスならやっているだろうが。まだ受け取っていない。だから、鬼業の指示によって、船は止まったのだ。自分の目で見た鬼業には、大体の位置は分かる。


 船を待たせておき、鬼業は海に潜る。水着の用意は無かったので、下着姿だ。ちなみに、妻、龍実の選んでくれた、可愛らしいハスキー犬のプリントトランクス。


 海上保安庁の用意してくれた巡視船の乗組員と滴。全員を笑顔にさせられた事は喜ばしいが。


 ちょっと展開に納得の行かない鬼業を待ち構えていたのは。



 土砂の舞い散る海。舞う、と表現するとまるで砂埃すなぼこりのようだが、全く違う。土そのものが、動いている。よくもまあ、これで津波の起きないものだと、鬼業は海の懐の広さに驚いた。


 飛び込む前に、一応全身を気でコーティングしておいて良かった。目も開けられない環境のようだ。当然、鼻などをそのままにしておいたなら、そこから窒息死するだろう。


 全身を防御しつつ、水中の動く物を探知する。気をクラゲの足状に伸ばし、砂、泥以外のモノを知る。


 引っかかった。


 動く岩石。手足が、有る。頭部は・・無い?または、内部に収納されているのか。頭の無い人間のような石の塊。この硬度は、人間ではないな。気で探りを入れてみるが、微動だにしない。生身の人間や魚なら、逃げるはずだ。気で触れている時、こちらの熱量を相手も感じている。


 ・・・・ひょっとして、マンボウなら、逃げないかも知れないが・・・。


 ま、硬いし。


 あれが、隕石の正体か?プラテニウスが、叩けと言った理由か。


 水面から潜る事、20メートルほどで発見。そして、微動だにしないと述べたが、徐々に浮上しているようだ。手足も動かしていない、重いだろうと思われる相手が、如何なる力で浮き上がっているのか。好奇心が無いではないが。


 鬼業でも、水中では30分程度しか動けない。


 遊ばず、2分で粉砕する。


グ、オ


 「海」を気で捉える。およそ20メートルの平面を固形化、それで海底に叩き付ける。押し込んだなら、気を開放。敵を粉微塵になるまで殴る。20秒で200発、全力で打ち込んだ。岩石は、道端の石ころ以下になった。


 更に気を撃ち込む。消滅させる。


 海底の形を変えてしまったが。バレなきゃ問題無い。何なら、隕石のせいにしよう。大枠では間違ってないし、大丈夫だろ。うん。



 浮上。


 船に上がる時、ちょっと重さを感じた。・・・・年かな。


 滴以外の人間は、海中から飛び出し、数メートル上空からそのまま船上に降り立った鬼業に驚愕していた。


「終わった」


 言うなり、鬼業はプラテニウスに連絡を入れる。ズボンのポケットに入れていたケータイを取り出し。だから、脱がざるを得なかった。要らぬ心配だったが。


「どうでした?潜れるでしょうか」


 一応、ダイバーを用意していた滴。可能なら状況の記録をしておきたいが。


「止めとけ。潜れば、死ぬ。海が落ち着くまで、1週間ほどは待った方が良いだろうな」


「・・分かりました」


 鬼業は、間違っても海の専門家ではない。が、実際に泥土の中に突入して来た、常識外の専門家。


 そのように報告するしかないか。


 鬼業の言葉を疑いはしないが、こちらも仕事を済ませなければいけない。監視を置いて、1週間後、改めて潜らせる。



 滴がタオルを渡してくれるが、濡れていないので断った。電話が通じる。


「終わったぜ。回収班とやらを向かわせろ。回収するべき物は、無くなっちまったかもだが」


「了解だ。今度、何かおごろう」


「楽しみにしてる。で、それは何時なんだ?」


「そうだな。出前を出そう。明日で良いか」


「ああ。美味いのを寄こせよ」


 明日って事は、沖に居る船の乗員か、オーバーアトランティスの日本社員か。知り合いではないな。今回の件の関係者ではあるだろうが。話の出来る奴なら、楽だが。


 滴も来るらしい。あちらにも、アトランティス側から連絡が有ったようだ。


「ま、メシくらいは出せる。気楽に来い」


「では、明日お邪魔します。龍実さんにもよろしくお伝え下さい」


 港でお別れ。滴や職員は、これからも大忙しだろう。


 何を手伝うでもなく、鬼業は普通に飛んで帰った。





 翌日。午前5時ごろに帰宅した己業は、とりあえず体をほぐし始めた。3日動いていなかったので、かなりなまっている。



 技四王高校は、サービスエリアでゆっくり仮眠を取りながら帰って来た。眠気は、大事故に結び付く危険な兆候だし、生徒達を家に送り届けるにも、早朝まで待った方が良い。



 弟妹達も己業が帰って来た頃、起きて稽古に入った。エカトも一緒だ。


 そうして一緒に稽古をし始めたのが、なんと。エカトも型をやり始めた。


「おー・・・」


 しかも、上手い。自分がやっているのと同レベル。と言う事は、同世代最強を自負している自分の領域に、容易く踏み込んで来たと言う事。


 己業を構成しているものの一部。自信が、端微塵ぱみじんになった。


 ちょっとしょぼんとした兄を見、始業はフォローに入った。


「エカトは、動作限界までなら、何でも出来るんだって」


 毎日稽古をしていながら、始業も己業も、今日気付いた。実は、威業がずっと教えていたのだ。稽古を良く見て覚えるように。


「あー」


 己業は、何となく分かった。


 威業は、「弟」に教育しているのだ。妹かも知れないが。


 初めて出来た自分より年下の存在。それに、型稽古を見習わせていたのか。それも、兄姉の邪魔の入らぬように、自分が覚え込ませていた。


 弟の背伸び、成長を感じ、己業は温かな気持ちになれた。


「エカトは、お兄ちゃん子だな」


「うん!ずっとぼくに付いて来て、困ったもんだよ!」


 唇を、曲げてしまった。にやにやが止まらない。


 エカトは、威業の言葉の裏に気付いているか。本当に、ペットロボットとして十全な能力を備えているようだ。子供の言う事を真に受けない。もしくは、一々落ち込まない。


 相手は、未熟も未熟の小学生。言動なぞ、あやふやで当然。ただ、ペットロボットが賢ければ賢いほど、真に受ける。私は、威業から離れた方が良い・・・とか。


 ただの自立心の表れ。それが、未熟な言葉選びの姿を取っただけの話。気にしなくて良い。


 などと。自分を棚上げする事に於いても最強の男、己業は思っていた。


 始業あたりが、エカトに言ってくれたのだろうか。それとも、母が。


 無論。父が、そのような常識的なアドバイスをしたとは、露ほどにも思っていない。




 その父は、ゴロゴロしていた。稽古をしなくて良い・・わけではない。そんな真似をしていれば、あっという間に弱くなる。


 ただ、今は加減が出来そうにない。戦いの予兆。相手は、宇宙から来た何か。


 本気の稽古をしたい。が、相手が居ない。


ごろごろごろ・・・


「あなた。お掃除しますから、ちょっと退いて下さい」


 今日は来客が有る。当然の如く、妻は大忙しだった。ついでに、全室の掃除も行う。


 鬼業はゴミ出しの手伝いのみこなし、家の外の掃除に出た。普段から小まめにやっているから、そう雑然とはしていない。朝稽古の前に掃除をすると、ちょうど良いアップになるのだ。目も覚める。


 何人来るのか分からんが、買い物は昨日済ませた。準備は出来た、か?


 何時来るとは聞いていない。恐らく、アチラも予定をちゃんと組む余裕は無かろう。何時でも来い。


ぴんぽーん


 はええ!


 来いっつったけど。


 掃除を終え、リビングに腰を下ろし、見るでもなくニュースを見ながらこれからの展開を考えていた鬼業。びっくりして腰を浮かしてしまった。


 とりあえず、玄関に向かう。


「お邪魔します」


「お邪魔します」


 滴、は分かる。が、もう1人。


「何やってんだ、お前・・」


「失礼な・・・。仕事だ」


 ソクラノ・プラテニウス、御自おんみずからのお出ましか。


 なんか・・。前日の鬼業と同じ、半袖半ズボン。すげーラフな格好。出迎える鬼業もそのような服装なので、大きなカバンを背負ったプラテニウスと合わせて、親戚の寄り合いにしか見えない光景となった。


 1人スーツを着て来た自分がバカにしか思えず、滴は、今度からは自分も適当な格好にしようと決めた。


 龍実への挨拶時、一職員でしかない滴より腰を低くしていたプラテニウス。分かりやすい奴。


 まずは、メシだ。現在午前8時。皆食べて来ていたが、軽くだ。この以無の家に来た以上、腹一杯になって帰ってもらう!


 食事中に子供達も帰って来て、順次風呂に。


 適当にガツガツ食いまくり。身動きも難しくなった頃、プラテニウスが話を切り出した。


「長い話になる」


「聞こう」

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