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短編集

無駄な時間

作者: 緋乃円



 私と友人以外誰もいない放課後の教室で、友人の延々と続く浮かれ話に私は頭が痛くなった。


「でねでねっ!お昼休みに彼と目が合ったからじっと見つめてたの!そしたら彼、照れたみたいで思わず顔を逸らしちゃったから思わず、きゃーって叫んじゃった!」


 ・・・相手が目を逸らしたのは、照れてたからじゃないって気づこうよ。そして空気を読め。


 友人(他称)の話に「へえ」とか「そうなんだ」とテキトーに答えながら、心の中では引きつった顔で相槌を打つ。


「だからね、手編みのマフラー頑張って編んだから、今度彼に渡そうと思うの!ほら、もうすぐバレンタインでしょ!だから丁度いいかなって!」


 いやいや、手編みのマフラーなんて贈っていいのは二次元の住人だけだから。てゆーか、彼女でもないのに手編みってなに!? そして何が丁度いいのっ!?


 彼女の言葉に慄きながら、「そうなんだ、頑張ってね」と心にもない言葉を口にする。


「ホント彼ってばすごくカッコいいのっ!頭も良くて運動神経も抜群で、もう彼を見つめてるだけで胸がドキドキして痛いくらいなのよ!」


 胸が痛い、ね。あんたは胸が痛いんだろうけど、向こうはあんたの恐ろしさに頭が痛いだろうよっ!

 ああ、見ず知らずの不幸な男子生徒さん。今度、効き目が抜群の鎮痛薬を贈呈させていただきます。


「それでね、彼の携帯の番号教えてもらったんだけど・・・・・・いつも通話中で繋がらないの」


 いつ電話かけても通話中って、それ着拒だからっ!

 てか、いつの間に相手のケー番ゲットしてたの!?むしろそれ、相手に許可なく登録してるんだよね!


 彼女からの電話――登録してない非通知だからだろうね――にうっかり出てしまった彼の顔が絶望に染まっていく姿が目に浮かぶ・・・。


「ねえ、彼と付き合うためにはどうしたらいいと思う?」


 そんなもの決まってるじゃないか。





「―――『押してダメなら引いてみろ』って言うけどね」


 もちろん、相手は大喜びするだろうけど。



 今日もまた、彼女の鬱陶しい話に付き合わされて無駄な時間を過ごしてしまった・・・。


 了.


 お題サイト:『確かに恋だった』さまより

       投げやりなアドバイス5題


 アドバイスっていうか、ツッコミ・・・。

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