第4話:狂乱の再資源化と貴族の秘術
ケンジは失神した騎士を放置し、天空船の内部深くへと進みました。彼の目的地は、最も高貴な者が集まり、最も価値のある廃棄物が生み出されるであろう、王族の生活区画でした。
通路はますます豪華になり、その壁にはこの世界の富と権力の象徴である、巨大な宝石の原石が埋め込まれていました。
ケンジは宝石を一瞥しました。
「ふん。ただの装飾用の炭素化合物だ。こんなものを壁に埋め込むなんて、馬鹿げている。純粋な炭素の粉の方が、焼却炉の火力を上げるのに遥かに便利だ」
彼にとって、宝石は、価値がないどころか、加工の手間がかかる邪魔なゴミでしかありませんでした。
ケンジは、王族の私室に近い場所で、一つの部屋に目をつけました。そこは、この世界の魔法使いや錬金術師たちが、高貴な依頼を受けて作業を行う研究室のようでした。部屋の隅には、大量の実験の失敗作や、使用済みの魔道具が乱雑に積み重ねられていました。
「ビンゴだ。純粋な魔力の残渣が、こんなにも山積みにされている」
彼は部屋に押し入り、積み重ねられた廃棄物を貪るように調べ始めました。
その時、一人の宮廷錬金術師が部屋に戻ってきました。彼は高名な人物で、自分の失敗作を他に見られることを極端に嫌っていました。
「な、何者だ貴様は! 私の神聖な研究の残渣に触れるな! それは失敗作であり、無価値なゴミだ!」
錬金術師は怒りに顔を真っ赤に染め、魔法の杖をケンジに向けました。
ケンジは、錬金術師が「無価値なゴミ」と呼んだ山から、ひび割れた魔力増幅レンズ、腐敗した魔物エキスのビン、そして使い古された高価な術衣の切れ端を素早く掴み取りました。
「無価値だと? 馬鹿なことを言うな。お前たちが法則を理解できなかっただけで、これらは全て最高の素材だ」
ケンジは、杖を構える錬金術師を無視し、三つの素材を組み合わせて、再資源化スキルを発動しました。
再資源化プロセス:
素材A(基盤):ひび割れた魔力増幅レンズ(不安定だが強力な魔力伝導性)。
素材B(強化):腐敗した魔物エキス(生命力と腐敗の複合エネルギー)。
素材C(触媒):術衣の切れ端(錬金術師の魔力痕跡)。
結果:狂乱の増幅装置(手のひらサイズの水晶体)。
狂乱の増幅装置:使用者が放出する魔力を、ランダムな法則で十倍に増幅するが、増幅後の魔力は予測不可能で、使用者自身に激しい精神的負荷をかける。
「貴様、何を不純なものを生成した!」
錬金術師が放ったのは、巨大な火球の魔法でした。ケンジは完成したばかりの狂乱の増幅装置を、自分の汚染と浄化のスティックの先端に結合させました。
「不純だと? お前たちが捨てた法則こそが、この世界の真理だ!」
ケンジは増幅装置を向け、火球を迎え撃つために、自身の体内にある、ゴミから抽出された純粋な悪意の魔力を放ちました。
増幅装置は、その魔力を十倍に増幅させ、火球とは全く異なる、悪臭を放つ緑色の粘性の塊へと変貌させました。緑色の粘液は、火球を飲み込み、さらにその粘性で床や壁を溶解させながら、猛烈な勢いで錬金術師へと襲いかかりました。
「うわあああ! 私の失敗作の複合汚染術式だと!?」
錬金術師は自分の研究の過程で発生させたはずの、最も忌まわしい廃棄物が、十倍の力を持って自分自身に跳ね返ってきたことに、完全に錯乱しました。
ケンジは鼻歌を歌うように、溶解する床の上で立ち尽くしました。
「ゴミは、正しく処理すれば、最高の兵器になる。それが、焼却炉の監視員の哲学だ」
彼は、この世界の秩序と常識を、自らの廃棄物哲学で根底から破壊し続けていくのでした。
これは廃棄物ですか?いいえ異世界系小説のはずです




