第2話:炎の処理と虚栄の拳
ケンジは天空船の投棄物を追いかけ、ゴミ山の斜面を登り始めました。
彼の周囲には、廃棄物から生まれた巨大なゴキブリや、汚染された液体を吐き出すスライム状の魔物が生息していました。
普通の人間であれば、この毒々しい環境と魔物の攻撃ですぐに息絶えてしまいます。
しかし、ケンジには汚染耐性スキルがあるため、異臭も毒気も一切気になりませんでした。
魔物たちはケンジに襲いかかってきました。ケンジは、それらをじっと見据えました。
「消えろ、不純物め」
焼却炉の炎スキルが発動しました。
ケンジの目線が向けられた魔物は、瞬間的に千五百度にも達する超高温に晒されました。
魔物は悲鳴を上げる間もなく、瞬時に蒸発し、残ったのは再資源化の対象となる純粋な炭素や無機物だけでした。
「よし、これでまた素材が増えた。やっぱり、焼却炉の炎はゴミ処理には欠かせないな」
魔物を処理しつつ、ケンジは天空船が投棄を再開するのを待ちました。
やがて、雲の上から複数の豪華な飛行船が現れ、船底から大量の廃棄物を投棄しました。
ケンジは投棄されたばかりのゴミの山を注意深く鑑識しました。
「これは、王宮の晩餐会で使われた魔物の肉の骨だ。高級な魔力と栄養素が豊富に含まれている。そして、この独特の粘り気を持つ液体は、高位の精霊術師が研究に使用した失敗作の試薬の残りだ。魔力伝導性が高い」
中でもケンジの目を引いたのは、大量に捨てられた銀食器でした。
この世界では銀は最高の魔力伝導体とされていますが、貴族は少しでも曇ったり、使い古されたりしたものはすぐに捨ててしまうのです。
ケンジは銀食器を大量に集め、魔物の骨、精霊術師の試薬の残りを一つにまとめました。
そして、再び廃棄物の鑑識と再資源化スキルを発動します。
再資源化プロセス:
素材A(基盤):大量の銀食器(高い魔力伝導性と物理的強度)。
素材B(強化):魔物の骨(強靭な生命エネルギーの付与)。
素材C(触媒):精霊術師の試薬(魔力の爆発的な伝導性の付与)。
結果:貴族の虚栄の拳(銀色のナックルダスター)。
貴族の虚栄の拳の特性:攻撃が命中した相手の防御力を魔力として一時的に吸収し、使用者の嫌悪感耐性に変換する。つまり、敵に嫌われれば嫌われるほど、自分が強くなるという、狂った効果を持っています。
「これで準備が整った。この最高のゴミを利用して、貴族たちが作った最高のゴミ箱である天空船に乗り込んでやる」
ケンジは銀色のナックルダスターを手に、悪臭の立ち込めるゴミの斜面を、迷いなく力強く上り始めました。
彼は、自分をこの世界に送った運命も、この世界を支配する貴族の傲慢さも、すべて「廃棄物」として捉え、再構成するつもりでした。
んむ




