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月光  作者: 水嶋


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粉雪

直樹の状態も安定していた。


リハビリにも通い、二丁目界隈にも足を向けさせない様にしていた。


直樹を覚えてる客なんかに遭遇したら何が起こるか分からない。


勉強も順調に進んで、年があけて3月になる頃には同学年程度に追いついていた。


この調子で行けば18歳には高卒資格が取れそうだ。


とりあえず引き続き直樹の希望もあり、家に置いている。


佐々木さんが言うには、多分18歳で成人とみなして俺の家を出る事になるかも知れない。



進学したいとなると、また色々問題も出てくるかもだが、勉強を頑張ればうまく行けば学費減額や免除なんかも狙えるかもしれない。





少しずつ、少しずつ、普通の生活を取り戻しながら直樹は17歳になり、頑張って来たのでご褒美にどっか連れてってやろうとなった。


年末は店もイベントも多いので、比較的暇になる年明けの一般的な仕事始めが始まった1月中旬位にした。




「頑張ってきたからなあ。どっか連れてってやる。行きたいとことかあるか?」


「うーん、家族で出かけた記憶もほぼないから…わからない…」


「そっかー。まあだったら一般的に家族で行く遊園地でも行くか。」


「うん…分かった…有難う…」



夜の街で慣れ切っていて、他に若い子が喜びそうな所が分からなくて遊園地に決まった。と言うか俺が決めてしまった。





○○○○○○○○○○





直樹は一般的に子供が好きな甘いものが美味しいみたいだ。キャラメルポップコーンとかチュロスとか…


俺は甘いものが殆ど好きではないからほぼパスしていた。


「あはは。タクミさん、嫌いなもの多くて、子供みたいー」


「直樹は甘いもんばっか食ってよっぽど子供だぞ!」


「どっちがー!あはは」


無邪気にはしゃいでいる姿を見て本当に親心が爆発していた。


俺まだギリ20代なのになあ…



アトラクションも直樹は普通の若い子が好きな激しい物に乗りたがって俺はもう足腰が悲鳴をあげて、目が回っていた。


自堕落生活が長すぎたなあ…と反省した。





最後に暗くなって来て、粉雪がチラチラしていた。

場内のライトアップと相まって幻想的だった。



暫くボーっと2人で眺めていて直樹がポツリと呟いた。





「俺が…連れてかれる日の前日にね…親が初めて遊園地に連れてってくれたの…」


「…」


「寒い日でね…こんな感じに粉雪が降っててさ…」


「…」


「遊園地行った時は夢みたいに楽しかったの…お父さんもお母さんも笑ってて…」


「…」


「次の日から地獄だった…遊園地に居た時は想像も出来なかった…」


「…」


「最初ね…タクミさんが遊園地って言った時、凄く怖かったんだ…次の日にタクミさん居なくなるんかなって…」


「…」


「でもね…今日凄い笑ったし…楽しかったから…居なくなっても大丈夫って思ったんだ…」






俺は直樹の頭を抱えて抱きしめていた…


「大丈夫…大丈夫…」


「…」


「明日になっても居なくならないから…大丈夫…安心しな…」










俺はずっと直樹の頭を撫でながら大丈夫って言い続けていた…


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