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月光  作者: 水嶋


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佐々木さんにポジション奪われる

ほのぼの回です。

「武田直樹くん。16歳」



佐々木さんに連れられて俺のマンションに直樹は来た。


バーで見た時は髪も白髪に近い金髪染められてて、顔も青白くて細くて何だか浮世離れした感じだったけど、今は髪も黒い。


ただやはりそんなに顔色は良くは見えず、身体もあの頃より若干マシになった位でやはり平均的なこの歳の子よりは細い。



「直樹です…宜しくお願いします…」


あの頃のハイテンションな感じはなく、大人しい喋りだった。



「長沢匠です。宜しくね直樹。タクミって呼んでくれていーからね。」


「ハイ…タクミさん、宜しくお願いします。」



歳は何の因果かあの時の高橋と同じだった。


喋る感じは高橋とは対極で、多分クラスメイトでも友達にはならないだろなーとぼんやり考えていた。


やはり高橋と同じ歳のせいか、どうしても比較とか色々高橋を思い出してしまう。


この子はクスリのフラッシュバックを懸念されてるが、俺は高橋の最後の姿のフラッシュバックに恐れていた。



お互い爆弾を抱えている状況で、この先やってけるんだろうか…



「それじゃあ、タクミくん、宜しくね。俺も定期的に様子見に来るから。」



そう言って佐々木さんは帰った。






「じゃあさ、まずお互い分からないからさ、最低限のルールとか決めようか。直樹はこれだけは絶対やめて欲しいとかある?」


「今…直ぐに思いつくのは…風呂をやめられるなら…」


「風呂?入らないの?」


「あの…シャワーなら平気なんだけど…浴槽に水溜まってる中入ると…最初に連れ去られた時の事思い出して…たまにパニックになる…」


何だろう?


「あの…仕込まれてる時…うまく出来ないと死ぬ寸前まで…水に顔突っ込まされてたから…」


「…」


想像を遥かに超える…壮絶だった…


「分かった。湯船に水溜めないから。大丈夫。」


「有難うございます…」


「また思い出したら追加してっていいからね。気にしないで」


「はい…」


「俺からはね、とりあえずお互い寝室には入らないようにしよ。まあ直樹もやらされてた事思い出すとしんどいだろうからさ。」


「はい…有難うございます…」




「食べ物とかでダメなのある?」


「多分特には…ただ、今までそんなに種類を食べた事ないから分からないです。」


「そっか。じゃあ初めて食べてみて無理だってのが分かったら教えて?」


「ハイ」


「俺はね、トラウマみたいなんがあって…赤いどろっとした奴が無理なんよ。ケチャップかけたのとか…まあ血を連想させる奴な。そう言うのは食卓に出せんけど平気?」


「ハイ。問題有りません。」



「まあ俺は真面目な大人じゃないからさ。気楽にしてよね。」


「有難うございます…」



高校居た時はこの歳の子らは元気な子が多かったから、多少接し方に戸惑った。


まあいきなり知らない大人と同居、尚且つ同年代ではほぼしないであろう壮絶な経験をして来ている。


俺は多分一生出来ないだろうと思っていた親の気持ちになろうと少し思った。





○○○○○○○○○○





「所でさ、直樹は学校どうしてた?」


普段は起きたい時に起きてたが、直樹にも普通の生活をさせたくて、朝は7:00に起きて朝食を取ることにした。


朝飯なんて、学校で働いてた時以来だった。


とは言え、簡単なトーストと目玉焼きと牛乳位しかないが…


「俺…中学も途中からまともに行けてなくて…」


「成る程な。俺、一応教師だったからさ、教えよっか?」


「いいんですか!?嬉しいです。学校行きたかったから…お願いします…」


「そっか!なら目標は高卒資格取ろ!何年かかっても良いからさ。」


「有難うございます。嬉しいです」


何年…一応直樹はとりあえずで預かっている…軽はずみだったかも知れない…



でも学校に行きたかったと言う話を聞いてどうしても放っておけなかった…





○○○○○○○○○○





あれから普通の学校みたいに時間割を決めて勉強を教えた。


まあ、体育とか音楽とか美術みたいなんは無理だけど…


5教科を何とかこなしていた。


直樹は多分中2辺りで止まってる。

とりあえず中学卒業レベルまでやっていった。


高校1年位までならなんとかなるが、2年以降の英語やら理数系が若干不安だった。


俺は国語教えてたから現代、古文、漢文辺りなら大丈夫だと思う。歴史も好きだった。


昔のツテを頼って塾講師をしてる奴から参考書やらテスト問題やらオススメを教わった。


見直しながら、あーこういうのやってたなーって懐かしくなっていた。


直樹も学校に行きたかったと言うだけあって、同学年の子よりよっぽど真面目に取り組んでいて感心した。

本当に教え甲斐がある。


褒めると段々少しずつ笑顔も見せてくれる様になった。

ポツポツと、見て面白かったテレビの話とかもしてくれる。



勉強はいかに分かりやすく教えるか…を考える

こう言う作業が昔から好きだった。


諦めていた学校でやりたかった事を直樹のおかげでさせてもらっている気持ちになっていた。



まあ、もし大学まで直樹が行きたいと希望出せば英国社が出来れば私立なら何とかなるかも知れないと、進路指導まで考え出していた。





○○○○○○○○○○





「最近どーお?あの子」


夜、バーテンの仕事をしながらマスターが聞いて来た。


「勉強教えてんだけどさー。スゲー飲み込み良くて、教え甲斐があってさー。教師魂に火がついてるー」


「へー!あの泥水クズに落ち切ったタクミが生き生きしてるー!お互い良い効果あったみたいねー。あの子、仔犬みたいだしさー。アニマルセラピーだねー」


「成る程なー。直樹を癒しながら俺が癒されてたんだなあ」


「で、どうすんの?あの子いつまで預かるの?」


「わからんなー。直樹次第かなー。最近はあの子が居たければ居てくれて良いって思ってる。もう、男に抱かれたいとも抱きたいって気持ちも薄れてる。」


「へー!それは恋?」


「うーん、親心かなあ。俺の子供って気持ちだね。何か将来とか心配しちゃってるし。慈愛だなー。」


「ふーん。そっか。つまんないー。」


「マスターみたいになんでも恋愛に話し持ってかないでー。」




そんなやり取りをマスターとしていた。





○○○○○○○○○





今日は佐々木さんが、様子を見にマンションに来た。



「最近武田くんどう?」


「はい。タクミさんに勉強教えてもらってます。今は中学卒業レベルまできました。」


「そっかそっかー!いやー。やっぱり預けて正解だったなー!こんなハキハキ喋る様になって!」


「タクミさんのおかげです。本当に感謝しています。」


「いやいや、俺勉強教えてるだけだからねー」


「そんな事ないよ。武田くん見違えて健康そうになった!」



何か皆誉め殺しで怖い…



「また様子見に来るね!」



そう言って佐々木さんは帰っていった。


佐々木さんの訪問は直樹の生活費の援助金も団体から支給されてるので、その確認やらも兼ねている。


刑事なのに中々世話焼きと言うか人が良い。


「佐々木さんって…お父さんみたい…」


直樹が呟いた


「あはは、なら俺は?」


「うーん、タクミさんはタクミさん?かな」


「何だそりゃ」








お父さんポジションは佐々木さんに奪われたか…なら俺はお母さん?かな


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