表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月光  作者: 水嶋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/15

月光

先生、見た目より大分歳行ってたんですね…

証人には佐々木さんとマスターにお願いした。


佐々木さんは快く引き受けてくれた。


「ははは、本当に武田くんのお父さんになっちゃったみたいだな。」


「これからは長沢くんですー!」


父親ポジションは最後まで奪えなかったから負け惜しみを言った。



「だからいったじゃなーい!これは恋ー?ってさー。素直じゃ無いんだからタクミはー。」


マスターも揶揄ってくる


あの時は本当に自分の子供みたいだと思ってたのよ…





その後暫くして2人でお揃いで指輪を買った。


「これって…結婚指輪なんですか?」


直樹が不思議そうな顔をしている。


「そだよー。まあ、一般的にはシンプルなやつが普通なんだけどね。コッチの世界ではこれがトレンドよー」



とシルバーの、髑髏を中心にしたゴテゴテしたゴツい奴だ。


「へー!そうなんだー!」



うっそでーす。


普通じゃない俺達には普通じゃない指輪にしたかった。


ちょっと直樹のキャラには合わないけど…

まあ、魔除けってか直樹の男はやばい奴って思わせる男避けね。


何だかんだと俺は過保護だ。





あの後から俺達は寝室を1つにした。


直樹は恋も経験ないまま連れ去られ、無理矢理仕込まれた。


自分がゲイかもどうかも分からないまま、女とも経験ないままネコにされた。


だからせめて直樹には俺位には…と思いタチもやらせてる。

元々俺もリバなんで、特に思い入れもない。


直樹もどちらでもイケるみたいだ。

でも、甘えたい時はネコがいいらしい。





その後、直樹は進学はせずに働き出した。

早く俺に並びたいって言っていた。

本当に可愛い。


今も最初の仕事から続けて介護施設で働いている。渋い…

あの指輪の意味が無い…


若い子ならカフェやら居酒屋やらアパレルやらで働きたいのかなと思っていた。

直樹は学校に行って無かったので、やはり同年代が働く場所はどんな話や態度をすれば良いか分からないらしく気後れするらしい。


下の世話も黙々とそつ無くこなせるので若いのに偉いと感心されてるらしい。


ワガママなお年寄りもまあまあ居て、罵詈雑言も言われたりもあるみたいだが、今まで言われたりされて来た事を思うと屁でもないみたいだ。


俺の老後の介護は任せてねって言ってる。

嬉しいけど可愛く無いぞ。


指輪は流石に職場では付けられないからネックレスにしてるみたいだ。


直樹の受けたどん底の経験はただただ無駄じゃ無かった。






そして俺のどん底の経験もただただ無駄じゃ無かった…





あの事があったから佐々木さんと出会った。


佐々木さんと出会ったから直樹と出会った。


直樹と出会ったから俺はマスターの元でバーテンになった。



バーテンになったから…






○○○○○○○○○○





『先生ー!井ノッチと喧嘩しちゃったー!タスケテー』



難波くんからLINEが来た。



難波くんは幼くて甘えん坊で何処となく高橋を思い出す…

考える前に暴走したりするから危なっかしい。

未だにその性格は変わらない。



荒木くんは何処となく直樹を思い出していた。

一途で不器用で自分のワガママを押し通す事が苦手で…

最後には自分の幸せより相手の為を思って姿を消してしまいそうだと思った。


しかし最初に竹刀持参したのは本当に面白かった。

俺やっぱ不審者にみえるのかなあ?



そして岩見くんは…


皆が散々に難易度高いだの難攻不落だの言ってたけど…

俺にとってはある意味一番簡単だと思った。


俺に似てる岩見くんには俺が刺さる事を考えれば良かった。




○○○○○○○○○○





今日はあの日から10年経った。


高橋はあの時の俺と同じ歳になる。

お前が今も生きていたら…

今の俺に会ったら俺の事どう思うんだろうな…


毎年高橋の命日には線香代わりに不味いイチゴ牛乳を飲む。



奇しくも今日はあの夜と同じ満月だった。


あの日と同じ様な月明かりだけど、厳密に言えば今はあの頃からは未来で、気温、湿度等もあの時とは違う訳で全くコピーしたみたいに同じでは無い。


難波くんや荒木くんや岩見くんもそれぞれ似た所はあっても全くの別人だ。


それぞれ皆似てても違う。


そして時間が過ぎて行けばまたそれも変わって行く。




俺も変わって行く。


1人でも高橋みたいな最後になる子は作りたく無いと思ってバーであの年頃の子を見かけたり、悩んでそうな子が居たら紹介して貰ってささやかに相談に乗っている。


大して力にはなれてないかも知れない。


でも、第三者と話すだけで気持ちが整理できたり楽になる事もある。




俺は徐々に高橋の事を忘れて行くんだろう。


戒めに命日にコレを飲んでいる。




『今日はオムライスにしたよー!ホワイトソースたっぷりかけるよー』



直樹からLINEが来た。



『エッロ!誘ってる?』



『ばーか』



『お土産イチゴ牛乳持って帰るー。一口飲んじゃったけど』



『エッロ』








頭上で俺をせせら笑っている様に満月が煌々と輝いていた。




俺も思わず笑ってしまった。


最後までご覧下さり有難うございました。

BL続きになってしまいました…


前回の「変な奴」の後書きで、いつか機会あれば先生の話でも…と書いたんですが、先生のパートナーってどんな人だろ?とか考えてたら何か一気に書いてしまいました。


書き出した途中まで、バッドエンドにするか迷っていました。

でも書いてるうちに先生と直樹に愛着が出てきてやはり幸せにしてあげたくなり、この様なラストになりました。

私は先生以上に親心爆発してるみたいです。


今回は濡れ場等は書きませんでした。

まああらゆるプレイもしてそうな手慣れてそうな2人なんで敢えて書かなくてもいっかなって感じです。


直樹目線を書くと本当にバイオレンス18禁になるんでこちらで終了です。

直樹の独白でもう経緯も分かるかなってのもあります。


それでは、ここまでお読み下さり有難うございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ