直樹の独白
直樹の手を取ると
「うっ!」
と唸って直樹は顔を顰めた。
「どした?」
と、握った手を見ると、直樹の小指が変な形に曲がって赤く腫れていた。
「アイツらにやられたんか!?」
思わず怒鳴り声に近い言い方になってしまった。
「違う…自分でやった…」
「なんで!?」
「クスリ…」
「?」
「あの人に目の前に出されて…何か…自分が…急に…吸血鬼なったみたいに…我慢できなくなりそうだったから…自分で折った…」
「なんで!?」
「俺ね…あの頃は所々意識飛んでる時もあったんだけどね…」
「?」
「最初に店でタクミさんに声掛けた時の事は覚えてたの…」
「…」
まだ俺が学校で働いてた時に帰りに飲んで絡まれた時だ…
「折れた小指見せた時のあの時に俺にした顔がね…何か忘れられなくてね…」
「…」
「正直ね、あの頃は誰にどう思われようが、何時死んでも…客に殺されても良いって思ってたの…」
「…」
「でもね…あの顔見た時ね…自分が凄く恥ずかしくなって…悲しくなったの…」
「…」
「だからね…クスリに手を出しそうになった時に…あの顔思い出したら我慢出来るって思ったの…だから指折って思い出させたの…」
「…」
「俺を捕まえてた奴らが捕まって…あの後俺は解放されて…施設に連れてかれて…その後タクミさんの家に連れてかれた時は…本当に驚いたの」
「…」
「住む世界が違う人だと思ってたし…また会えるなんて思って無かったし…」
「あんな…優しい顔で俺なんかと話してくれるなんて思ってもなかった…」
「…」
「だからね…暫くは俺はもう本当は死んでて、夢見てるのかなって思ってた…あはは」
「…」
「家族になろって言ってくれたのは本当に…本当に嬉しかったんだよ…」
「…」
「でもね…俺はタクミさんが好きなの…」
「…」
「好きだから…タクミさんを苦しめてる子と同じ事はしたくないの…」
「…」
「タクミさんにはずっと…幸せで…笑ってて欲しい…」
「…」
「あの時の倉庫に居た人達の話…聞いたでしょ?」
「…」
「ホントはね…あんなもんじゃ無くてね…他の人にはもっと汚い事も酷い事もされてるの…」
「…」
「だからね…やっぱり…俺はタクミさんを好きになるのも、家族になるのも相応しくないって思う…」
その言葉まで聞いて、俺は分からなかった答えが分かった…
分かったから…
直樹にキスをしていた…
補足:実際直樹がどんな事をやらされていたかは「探偵前物語」を見て頂ければ男達の会話で大体想像出来ます。
まあ、そう言うプレイは昔から一部の愛好家の間であります…
経験者から聞いた話だと…アレの消化状態にもよるかもですが…苦いらしいです…(ボソ…)




