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40:御前会議-3

初めての感想をいただきました!!

ありがとうございます!!

これからも頑張りますのでよろしくお願いします!!


犬吉@苳子拝

「さぁ殿下。王命です。移動をお願いします」

「父上~~!!」

「殿下…! お願い致します!」


 近衛騎士達にしてみれば良い迷惑である。王命に違反するわけにはいかないが、王族への不敬も許されていないのだから。

 その状況を見かねたのたか、「しょうがねぇな」と一人の男が立ち上がった。


 剣聖・テオドール・デル・ソールズ。王立騎士団飛行部隊長、別名飛行団長だ。山のように大きく、まるで力の象徴のような偉丈夫だが、彼の最大の武器は妖魔をテイムし、使役する能力である。全ての王立騎士団に妖魔を騎獣として与えることができるのは、ひとえに彼の能力に依る。


「殿下、失礼しますよ」


 そう声をかけると、テオドールはアスターをひょいと肩に抱え、ドカドカと離宮に向かって歩き出した。アスターの背はテオドールの胸までしかない。こうしてみると、大人と子供ほどの違いがあった。


「な、何をする! 俺は王子で、王立騎士団副総長だぞ!」

「はいはい。あんまりそうイキってると、すぐにテレンス王国に出荷されますよ?」


 そうしてテオドールは議場のある政庁を抜け、離宮へとやってきて、麻袋でも卸すようにアスターを離宮の中に押し込めた。


「あんまり好き勝手しなさるな。ユグノーはあんたが思っているよりも大変な仕事をしているんだ。あんたはあんたのせいでユグノーが姿を隠したと言うが、それが本当なら我々王立騎士団員はあんたを許さないぜ?」


 にやりと笑うテオドールは、それでも冷たい目でアスターを見下ろした。怒りのためだろうか、彼の後ろに魔力が揺らいでいるのが見える。

 あまりにも大きな、その魔力。自分の魔力は一廉の物だと自負しているアスターの鼻っ柱を折るには十分すぎるほどの。


「それじゃあ、俺は議場に戻りますよ、王子様? テレンス王国に行きたくなけりゃ、そこでユグノーが帰ってくるのを、おとなしく待っているこった」


 そうしてテオドールは大きく後ろ手で手を振って、離宮を後にした。


 慌てたように近衛兵や離宮の使用人達がアスターを閉じ込めるために扉を閉じ、結界を張る。

 その様子を、アスターは茫然と見守った。


「……くそ!! くそぅ……!! テオドールめ……!!」


 ユグノーが王城に連れてこられたとき、ユグノーはまるで彼自身が魔獣のように、人を寄せ付けなかった。そんな彼の心を解きほぐしたのは、ドルネール総長とテオドール飛行団長、二人の剣聖だった。二人は王宮の隅の小さな小宮殿で、ユグノーを囲んで家族のように過ごしていた。小宮殿と言っても王妃が仲の良い友達と田舎遊びをするために作られた小さな小屋で、アスターはその小屋にいる三人を、いつも羨ましく眺めていたものだ。


 あの綺麗な少年と友達になりたい。

 どうして自分はあの中には入れないの?


 だがユグノーはアスターを見つけると、いつだってテオドールの背中に隠れて、小屋の奥に逃げてしまうのだ。


 やっとユグノーが王立騎士団に入団したのは、初めて王宮に連れてこられてから、何年も経ってからだった。

 アスターはすぐに自分も王立騎士団に入りたいと父に直訴し、そうしてそれが叶った。


 ユグノーはその頃にはもう、剣聖二人しか相手ができないほどの剣の腕前と魔法の力を持っていた。

 美しく、賢く、誰よりも強いユグノー・アル・オニール。彼はすぐに三人目の剣聖の称号を手に入れ、魔獣の討伐に国中を飛び回るようになる。

 ドルネールやテオドールも、時にはユグノーの率いる第一騎士団と合同で討伐に行くことがあった。アスターは一度も許されていないというのに……!


「くそぅ……! ユグノーは俺の物だ! 俺の物だ……!!!」


 なんとしてもユグノーを手に入れる。

 自分が王子として生まれてきたのはその為なのだから……!


 アスターは昏い目で部屋の壁を殴りつけた。


 三ヶ月は謹慎させると言っていた。早くここから出なければ。

 そうして早く、ユグノーを探し出して、自分の物にしなければ。

 テレンス王国になど誰が行くものか。

 ユグノー。ユグノー。早くお前を見つけ出す。お前は、俺の妻になるのだから────。




   ◇◇◇ ◇◇◇



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