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17:大海賊デッセル-6

残酷なシーンが出てきます。

血がドバドバ流れます(>д<;)

苦手な方は周れ右でお願いします m(_ _)m

「なに!?」


 男達は一瞬ヒューイの姿を見失った。イグニスの目からも、デッセルの目からも。

 その時、頭上で何かがきらりと光った。ハッと上を見れば、そこに水兵服を着た少年────ヒューイの姿があった。


「小僧!」


 デッセルがヒューイを斬り殺そうと曲刀を振り上げたその瞬間────


「ぐあぁあぁぁぁぁ!!!」

「お頭!!!」


 辺りに鮮血が飛び散った。

 ゴトリという鈍い音と共に、甲板に曲刀を握った腕が転がり落ちる。それに続いて、軽やかな音を立てて少年が甲板に着地した。


「貴様! 小僧、貴様……!! この俺の……この俺の腕を……! 貴様、この腕の代償は高くつくぞ! 許さん! 許さんぞ、小僧……!!!」

「お頭!」


 なおもヒューイに斬りかかろうとするデッセルを援護するためか、デッセルの船団から大砲が撃ち込まれた。オーリュメール号は船体に大砲を受け、艦体は激しい揺れに見舞われた。


「お頭、引いて下さい!」


 手下がデッセルに縋ろうとするが、デッセルは腕が切り落とされたことにも構わず、手下の持っていた曲刀を奪い取ると、左手でヒューイに襲いかかった。


 小さい体。例え手負いのデッセルの左腕での攻撃だとしても、とても受けきれる物ではないだろう。誰もがそ思ったが、ヒューイはその小さな体で剣を受け、鍔迫り合いでにらみ合った。


「くっ!」


 デッセルの右肘からはボタボタと血がこぼれ落ちている。その血に足を取られたのか、ヒューイの体が地面に沈み……いや、そのままヒューイは低い体勢から体を回し、デッセルの脚に回し蹴りを蹴り込んだ。


「ぬぉう!」


 砲撃の揺れもあり、デッセルの体がぐらりと傾く。デッセルが膝をつく……! 今までそんなデッセルを誰も見たことがないのに……!! なんという好機! イグニスは即座にデッセルの首をめがけて剣を振り上げた。


 だがその瞬間に、物陰から大きな男が転がり込んできて、デッセルを担ぎ上げ、離脱を試みる。

 デッセルの周りには甲板中の手下が集まっており、デッセル中心に、奴の手下が円を描くように並び、曲刀をギラつかせて迫り来る海軍兵を威嚇した。


「離せ! 俺はあの小僧を道連れにせねば気が済まんぞ!!」

「お頭! 早く手当をしないと、血を失って死んだらどうするんですか!!」

「どうもこうもあるか! 死ぬときはあの小僧も一緒だ……!!」


 もちろん、イグニス始めとする海軍が彼らを見逃すはずもない。デッセルを守る手下達と激しく火花を散らしながら撃ち合っていると、真っ青な空の中に鋭い銃声が響いた。


 ────パァン!!


「ガハッ!」


 海賊船から銃弾が撃ち込まれ、デッセル団を取り囲む海軍兵が腕を撃ち抜かれる。それを合図に、デッセル団は大砲とマスケット銃による攻勢を強めた。


 奴らが銃弾と大砲でこちらの隙を作り、デッセルを逃がそうとしていることは明白だ。艦体に打ち込まれる大砲の振動の中、銃弾の飛び交う甲板の上をじりじりと舷側ににじり寄る一味に、逃がすまいと剣を振り上げる。


 だが。


「な!?」


 ビュっと風を切る音がしたかと思った時、デッセル船のマストから伸びるロープに掴まった男が、振り子の要領でデッセルをかっ攫った。


「なっ!?」

「おい、あの男を撃ち落とせ!」

「ははははは! ザマァねぇな! おい、とっととずらかるぞ!!」


 海賊共はそう叫ぶなり舷側から海に飛び込んだ。もちろん、海には回収用の小船待ち構えているのだろう。


「撃て! 砲弾を撃ち込め!!」


 イグニスが叫ぶより先に、オーリュメール号からデッセルを奪い去った船に向かって砲弾が集中した。

 だが、デッセルの船はオーリュメール号と遜色ない大きさの帆船であるにもかかわらず、凄まじい早さで逃げ去っていく。


「くそっ! デッセルは船に魔導回線を積んだ動力機を積んでいるという噂だが、本当だったのか……!」


 追捕したいのはやまやまだが、一刻も早く艦体を補修をしなければ沈没する危険が高く、それもままならない。

 風に乗ってデッセルの叫び声が届いてくる。


「小僧! 小僧、必ず殺してやる! 必ず殺してやるからな! 貴様らは今から俺の敵だ! どんな手を使っても必ず殺してやる……!!!」


 だが、デッセルの叫び以上に、奴を捕り逃がした屈辱にオーリュメール号は包まれた。


 奴をこの艦に踏み入れさせておきながら、捕らえることができなかったなんて……!!


「デッセル…ッ!」


 イグニスは逃げ去っていく海賊船団を見つめながら、音が出るほど奥歯を噛みしめた。

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