13:大海賊デッセル-2
残酷なシーンが出てきます。
人が死んだりしております (>д<;)
苦手な方は周れ右でお願いします m(_ _)m
海賊・デッセル団。六隻を連ねる艦隊を組む大海賊である。国籍はプリモナールとは大陸を別にする敵国ウォースと言われ、主にプリモナールの商船を標的とした海賊活動をしている。
その性質は残忍で、船が逃げられないように四方を船で囲み、移船戦となれば相手は皆殺し、荷物を奪った後はその船に大砲をぶちかまして海の藻屑にするというのが奴らのやり方だ。
「ひ!?」
新兵達が一瞬固まった隙に、ぐんぐんと近づいてきた黒い海賊船のマストから鉤のついたロープがクロスボウから撃ち放たれ、それはオーリュメール号の甲板のあちこちに突き刺さった。
「ヒャッハ~! 軍艦ならたっぷり食料と水を積んでるはずだぜ!」
「「ぜ~んぶ頂戴してやっからよ!!」
そのロープを伝って、海賊船から海賊共が甲板に滑り落ちてくる。移船戦だ。
「ひ……っ!!!」
新兵達はその様子に震え上がった。
巨大な戦艦の上は安全で、のどかな仕事だなどとほざいていた自分を殴ってやりたい。
無様に逃げる者。叫び声を上げる者。腰を抜かしている者もいる。
ギラギラと光る曲刀は海上の日光を受けてギラギラと輝いている。海賊達の野太い腕。下卑た顔。皆、人を殺したくて堪らないという顔だ。
「ダ、ダリル!」
いつも威張っているダリルに、新兵仲間が助けを求めるように声をかけた。奴はいつでもまるで自分が上官であるような態度で、何かあれば俺が守ってやるなどとうそぶいているのだ。
だが、虚勢ばかり張っているダリルが、死地に立たされ何ができるというのか。ガタガタと震えるダリルは、それでもなんとか腰に下げた細い剣を鞘から抜き、まるでお守りのように抱きしめた。
「ひゃはははは! 見ろよ、こいつら震えてるぜ! プリモナールの海軍様ともあろう者がよ!」
「海の上は俺らの縄張りだ! お上品な海軍野郎共は俺らが皆殺しにしてやんよ!!」
「た……たすけ……っ」
その哀れな悲鳴が口からでかけたとき、艦の各所から戦闘兵達が躍り出てきた。いつも軍服を着て偉そうにしているくせに何もしないとダリルが文句を言っている上級兵達が、海賊以上に荒々しい顔で、海賊に迫っていく。
その中には、艦長であるイグニス・オル・ボルドー艦長の姿もあった。イグニスは手に抜き身の剣を持っている。それは新兵達が与えられている細身の剣などではなく、大振りの両刃の剣だ。
「海賊どもを一人残らず殲滅せよ! オーリュメール号に上がり込んだことを、あの世で後悔するが良い……!」
イグニスはそう叫ぶなり、近くにいた海賊を一刀両断に斬り裂いた。
真っ赤な血が辺りに散らばり、哀れな海賊は叫び声と共に自ら流した血の海に沈んでいく。
「う……うわあぁあぁぁ!」
今度こそ、無様な悲鳴があちこちから上がった。人が斬られるところを見るのは初めてなのだろう。この逃げ場のない甲板の上。至る所に敵と味方がせめぎ合い、剣を鳴らして火花が散っている。
「へっへっへ! 良いところに可愛子ちゃんがいたぜ! おら、かかってこい! 俺様の刀の錆にしてやるよ!!」
ダリルの倍はありそうな太い腕が、でかい曲刀を振り上げる。
ダメだ! やられる……!
腰が抜けたダリルが甲板の上にへたり込み、指一本動かすこともできずに、思わず目を閉じたとき。
キラリと何かが光り、上空から一陣の風が飛び降りてきた。
「……え?」
ダリルには、何が起こったのか分からなかった。ビシャリと体が生暖かい何かで濡れる。そうしてパニックになったダリルの隣には、先ほどまで曲刀を振り上げていた海賊が物言わぬ物体となって倒れていた。その上に何か……なんだ? まさか……。
「な、なんだ……? 何が起き……」
茫然と呟くダリルの耳に、その声が飛び込んできた。
「しっかりしろ、ダリル! あんた、俺より強いんだろ!!」




