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退屈世界の破壊神  作者: ぽぬん
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35.思いを乗せた、魔法の地図

 満面の笑みで残りのお茶を楽しんでいるティオ。

 その様子を不気味に思い、ティオが口を開くまで黙って見ているしかない。


「ふぅ……」


 やけに時間をかけて、最後の一滴まで綺麗に飲み干してから、息を漏らした。


「あの下着の女性の場所を、見つけたらいいんだね?」

「サリエルの方でも構わねぇ」

「分かったよ!地図はあるかい?」

「へぇ?また進化したのか?」


 ファインが近くの棚にある地図をテーブル広げる。


「……待て待て待て待て!なに当たり前のように話を進めている!」

「おや……話していないのかい?」

「たぶんハッキリとは言ってないんじゃないカナ?」

「はっ!わりぃわりぃ、こいつはあの泣き虫ビビリのおもしれぇ奴だ」

「はぁ……そういうことか……もっと詳しく聞かなかった私の落ち度か…………進めてくれ」

「ミウ……わかんない、不快」


 ムスッとしているミウを慰めながら、地図に手を這わせているティオの様子を見つめる。


「柱が見えているだけでは不便な事に気が付いてね……見えるものが増え、強くなっていっている事の実感がこうさせたのだと思うよ」

「俺はお前のしか見えねぇが、命が宿っているもの全てがそう見えるなら、俺でも病むだろうな」

「あははは……実際、数日は眠れなかったよ……セリハも無事目を覚まし、本格的にソウゴ達と行動することにもなり、この柱のせいで足手まといになってはいけない、と強く思うようになった……せめて見えるものの制御ができれば……そしたらどうだい?!思った以上の在り方に変わったんだ!」

「へぇ?そいつは楽しみだな?」


 地図全体に自身の手を覚えさせながら、ゼンとの会話を楽しんでいる。


「たまたま地図を任されることになって、触れた行き先に小さな光が記されたのだよ」

「不思議だネェ?そんな短期間で色んな変化を起こす力は聞いたこと無いヨ」

「しかし、君にだけ見えているのは、我々としては不便だとは思うのだが……」

「あにぃの言う通り……どうなの、てお」


 ゼンに、地図に手を置くように言うティオ。


「まだ試したことはないのだけれど、ゼクスになら問題無いと思う……分かりやすいように、ソウゴを見せる、いいかな?」

「やってみろ」


 地図の端に手を置くゼン。

 ティオの瞳の光がゆらりと動くと、ポツッと青く澄んだ光が浮かび上がった。


「どう?ゼクス」

「問題無い、見えてる」

「良かった……あとはそう……皆さんにも共有出来るか、だね?こちらにお手を、お願いできますか?」


 元々、ゼンにだけ自分の光の柱が見えていたことで、ゼンには問題なく共有が出来るだろうと予測していたティオ。力が強まった今なら、もっと沢山の人にも出来るかもしれない……不安はあったが、強く願い目を凝らす。


「これは……驚いたな……」

「わ、面白い!これがさっきの勇者くん?」

「ちょこちょこ……動いてる、ね」


 アダルヘルム、ファイン、ミウにも、地図上で動く光の点が見えているようだ。


「うん、問題ないようだね……よかったよ」

「手を離すと、普通の地図に戻り、見えなくなるのだな」

「それだけでなく、見えるのはゼクスと皆さんにだけ……皆さんの目に共有されているのではなく、この地図に僕の力が共有されている……魔法の地図の完成というところかな!」


 無事に共有出来ることも分かり、進化した力の一端をゼンに伝える事も出来たと、安堵し誇らしげに笑うティオ。

 だが……、


「ゼクス達の望みであるサリエルと下着の彼女の光の柱の位置は共有することは約束するよ、でもね……申し訳ないけれど、ソウゴの柱の共有は消さてもらう……もちろん、今までゼクスに見えていた僕の柱も」

「なんでなんで〜?超便利だし、超面白い……裏切り行為、じゃナイ?」

「だからだろ?ティオはビビリだが、判断力はある。力の提示と清算、これでチャラ、アイツらとの行動も気が楽になるだろ」

「随分、彼に理解あるようだな?ゼン・セクズ」


 ひとり旅の話は聞いていたが、ここまでお互いの理解度が深いことに納得がいかない様子のアダルヘルム。


「アダルヘルムさん、そんな怖い声出さないで下さい……恩人であるゼクスのことを、僕がただ勝手に、慕ってしまっているだけのこと」

「まったく……褒められた趣味ではないな」

「自分らもそうだろーが、自虐だぞアダルヘルム」

「ぬっ……」

「あははは!!」


 地図の効果の確認は済んだ。次にやらねばならない事をティオが告げる。


「ま、でも……バレない程度にはしようとしているけれどね?」

「てお……悪い顔、してる」

「ちょっとワクワクしてはいるからね?皆さん、屋根に上がってもらえるかな?」


 地図を持ち、会議室から2階へ移動し、窓からファインにひとりずつ屋根に乗せてもらった。


「ここからなら、遠くまで見渡せるね」

「いったいこんな所で、なにをするつもりなのだ?」

「ソウゴ達には『魂の色が柱となって見える』とだけ言ってある、からさ」

「あはっ!とんでもない爆弾抱えてるじゃん勇者くん〜」

「ひどい言い方をしないでおくれファインさん……ソウゴは僕の力を分かって残してくれたのだよ?その力を使ってゼクス達を助けるようにってね?だから、これは、ソウゴの意思なのだよ……だから僕は、勇者の仲間として、全力で、協力しているだけさ」


 地図を広げ、ゼンを手招くティオ。


「それじゃあ始めようか、ゼクス」

「更に肝が据わってきたなぁ?ティオ」

「誰のおかげだと思ってるんだい?まぁ……セリハが目覚めたことも理由にはあるけれどね」

「はっ!そうかよ」


 表向きには、天に上る光の柱を確認するために、地平線を見ながら、地図を見ながら……ティオが見たものを照らし合わせ、ゼン達に伝えている、協力している……ように見えるように。


「まずはあのクズを見てみよう、1度目にしているし、分かりやすいからね」

「ティオくんにもクズとして通ってるの、なんだか安心しちゃうヨ」

「共通認識があると嬉しいものだな」

「早くして、てお……ぶち抜く」

「ミウさん……流石にここからでは届かないとは思うよ……なにせあのクズは――」


 ティオが指差した方向……それは、空。


「移動はしてねぇ、勇者どもと俺らが共にいる事に気付いて観察しているだけか?」

「だとしたらもっと近くでニヤついているだろうね……近くに彼女の反応があれば、そこが根城さ」


 ゼンとティオは地図に触れ、クロエの柱を地図に。


「手間かけさせたな、ティオ」

「構わないさ、ゼクスの頼みだからね?他に見たいものがあれば共有できるけれどいいのかい?触れている時にだけしかまだ出来ないからね」


 首を横に振るゼン。

 フッと笑って、地図を折りたたみゼンに手渡した。


「また会う時が楽しみになったぜ、ティオ」

「どこまでいけるか分からないけれど……僕自信も楽しみさ……」


 握手も、抱き合うことも無いまま、ティオは屋根を降り勇者の元へ帰っていった。


「我々にした施しを……隠すよう言わなくてもよかったのか?」

「さっきあいつが自分で言っていただろ?下手はうたねぇよ」

「てお……恋してる、だから強い」

「なにそれ?おチビなんかにわかるのオッ」


 ミウの早撃ちでファインの頭が吹っ飛んだ。


「ちゃんとサイレンサー付けたのか」

「ミウ、学んだ……静かに殺すのが、最適解」

「都でもだが、こんな小さな村では余計に騒ぎになるだろうしな、偉いぞミウ」

「…………すん……ごい、新感覚……っ!」


 ファインの体が戻ってから室内に戻り、もう一度地図を広げ共有する。


「ブレて重なっている……間違いないというわけか」

「さっき見た勇者くんの色と違うんだネ〜……アイツの色……きったな……」

「クロ……かわいい、ももいろ……意外」

「そうか?見合っていると思うのだが……なんだ、そんな目で見て……」

「あにぃ……いい趣味、してる……ってこと」


 大陸の端、平面な地図でみれば海の上、ティオが示した先は、上空……そこにあるのは――。

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