9. 思わぬ食事の壁
実は、食事に関して、驚きのことがありました。自分は、これまで、ハワイに3回、ヨーロッパには1か月間が2回ほど、旅行した経験から、海外でも食事に困ったことは一切なかったのですが、ここにきて、思いがけないことがありました。
まず、日本では、インド料理レストランに行くと、ナンが有名ですが、あれはレストランだから、よく食べられるので、家庭などでは贅沢でとても食べられません。
ここでは、朝食に、豆料理がでたことを書きましたが、そのあとの、昼食と夕食が、案の定、カレーの味付けの料理がでて、それに加えて、インドでは定番のチャパティという、小麦粉を練って丸く平らにして焼いたパンのようなものが出るのです。しかし、このカレー味の料理が数種類、日替わりで出てくるのですが、一週間を通してみると、あまり種類が多くないのです。
つまり、ほとんど同じようなメニューを繰り返している。これには、かなり驚きました。ここでの滞在費が無料であることや、この食事も完全に無料なことを考えると、当然といえば当然なのですが、数日ごとに同じ食事がでるということがどれほど大変なことなのか、日本にいたらなかなか体験できないことかと思います。本当につらかったのです。
しかし、もうこれは、慣れるしかないと思いました。それに、授業は、土日はお休みなので、多くはありませんが、近くにあるお店に時々出向いて、これまた大した食事ではないのですが、普段食べられないものを食べて息抜きをしたものでした。この機会がなければ、食事内容だけでもダウンしてしまったかもしれません。
おまけに、その食事の件については、もう一つ大変なおまけがあって、アシュラムの食事をしていると、たまに、小石とか、小枝が口に当たるのです。小枝なんて、そんな大袈裟な、と思うかも知れませんが、時には、3㎝くらいの長いものが平気で入っているのです。そういえば、台所で食事の支度をしているのをたまたま見たことがあるのですが、炊く前のお米から、ゴミを取り除いているのを目撃して驚いたものでした。いったい、どんなお米なのか、どこかでこぼれてしまったお米でももらってきたのかと思いました。日本での食事には、当たり前ではなく、感謝しなければと、つくづく思ったものでした。