67. 父の驚き
実は、母の癌治療をしていて、その時、治療のことは、家族には父親以外には知られていました。というか、父親には、まだ内緒にしていたのです。このことは、とてもにわかには信じにくいし、父親は、とても疑り深いのと、だいたいが短気でいつも家族内でトラブルが起きることが多いことから、隠していたのです。しかし、母の治療は、毎日行なうことであるし、家庭内で隠し通すのもだんだん難しくなってきました。
それに、治療の仕方も少しずつ慣れ始めた頃です。そんな頃、父が、ギックリ腰を起こしてしまい、立てなくなってしまいました。それは、頑固な父ですから、病院にも行こうとはしないし、ちょっと休んでいれば治ると言って聞きません。それを聞いて、私は、父に、ちょっと良くなるマッサージをするからと言って、手を当てて、治療を行ないました。
すると、約1時間ほど、エネルギーを送ると、意外にも、スーッとエネルギーが入っていき、手応えは、しっかりとありました。そして、1時間後には、すっかり良くなって、ほとんど完治していました。
さすがに、このことは、父には驚きだったようで、この時とばかりに、母のこれまでの治療のことを合わせて、事情を説明しました。おそらく、半信半疑なところもあったとは思いますが、何よりも、父自身、たった今、立てなかったのが、歩けるようになったことは、否定のしようもなく、ちょうど母の胃癌が良くなっていたこともあったので、割とすんなりと理解してくれました。
すると、その力を、父は、意外にも、実感してきたようで、信じられないほど喜んでくれました。そして、父は、近所の布団屋さんに、人が横になってちょうど寝られるくらいの上質のクッションのような布団を数枚特注で注文し、それはあまり厚みがなくて丸めるとコンパクトになるものであり、とてもよくできていて、けっこう高価なものでしたが、治療のために、どうしても必要だから特注で作ったというのです。
そして、父は、
「よく聞けよ。お前、これから、たくさんの人の病気を治していけよ。お前は、ヨガ教室を始めると言って、今やっているけど、そんなことしなくても、金をとって、治らない病気を治していけよ。こんなこと、お前にしかできないだろう。ヨガなんかより、よっぽど人の役に立つじゃないか。
だいたい、癌まで治したなんて、すごいじゃないか。そうしたら、家を少し改築して、そのための待合室と治療する部屋を作ろう。治らない病気を治すんだ。高い金とったって、たくさん人はくるぞ。まあ、お前は、おれと違って、そういう、がめついところはないからな。金は、たくさんとるかは、お前に任せるけど、だから、お前に、そういう力が授かったんだろうな。がめついおれなんてきっと無理だっただろうけどな。」
父は、まるで自分が治せるようになったかのようでした。母も、私のことを喜びながらも、いつも不思議がって、人の病気を治せるなんて、全くどうしちゃったんだろうねえ、と、しきりに、よく言っていました。
すると、私は、
「そんなこと、商売になんてするつもりは、ないよ。第一に、自分はヨガ教室をやっていくんだから、もしも人を治すようなことがあれば、ヨガを教えながらでもできないことではないけれど、とりあえず、今は、そんなに公にしてやるつもりはないんだ。」
そう答えながらも、そうか、たくさんの人をこれから治していくことができるんだな、と決意を新たにしていました。




