66. 癌と向き合うこと
この治療を始めて、しばらくした、ある時、母親が、病院で検査の結果、胃癌が見つかりました。それは、自覚症状もなく、初期段階のことで、心配されるほどのものではありませんでしたが、当然、母の驚きは、相当なもので、家族も初めて、もしかしたらなどと、最悪の事態を意識していました。病院からは、初期段階であったことから、本人にも告げられていたくらいなので、大丈夫と担当の医師から言われていました。
そこで、私は、あることを決意しました。この力を使って、治せないだろうか、これは、他人であれば、とても責任が重すぎて、やろうとは思わないけれど、母なら、これまで、花粉症や、その他にも、小さなものなら、いくつも治してきたので、多少なりとも、この力を信じてくれているはず。ならば、実験的で申し訳ないけれども、ぜひやらせてほしいと思い、その旨を、母に伝えました。
すると、もちろん、お願いしたい、と2つ返事でオッケーしてくれました。その上、自分は、この力を信じているから、ただ、まだわからないことだらけでしょう、だから、いくらでも、自分を実験台にしてもらって構わないということでした。
そして、いざとなると、この、命がかかっているような病いに向き合うというのは、それは、非常にこれまで感じたことがないほどの緊張感がありました。この病気は、悪化すれば、命を失うものだが、初期段階なので、心配はない、と言われていても、まさか、これで、一度自分が手がけることで、悪化しないにしても、とにかく、本来なら、こんな治療の初心者が絶対に関わってはいけない病気なのです。
そのことが、頭の中を巡っていき、緊張と、そして、初めて味わった怖さでした。相手が家族でも、これほどの不安感を感じるのですから、これが、もしも他人であったら、その不安感は、想像もできません。
しかし、母は、それでもいいと言う。自分は、何回も色々と治してもらってきたので、あとはどうなっても信じてみたい、というのです。
それを聞いて、もはや、母の気持ちをぜひとも受け入れたいと思い、決意を新たにしました。
両手のひらを合わせて、合掌すると、意識を集中させて、気のエネルギーを溜めていく。治療を始めたばかりのうちは、手のひらを、ただその患部に当てるだけでエネルギーを送っていたのですが、もちろん、それでも送ることはできました。
しかし、最初、一度、合わせた手のひらにエネルギーを集めた上で、そのエネルギーを放出すると、その最初のエネルギーの浸透が早いというか、その勢いが、その後の治療がやりやすくなるということを経験から学びました。ちょうど、ダムの開門をすると、一気に水がすごい勢いで吹き出していく、そんなことが患部に対するエネルギー放出にも、より効果を発揮したのです。ただ、その合掌した、両手のひらに溜め込んだ気のエネルギーは、とても熱く感じられて、患部に当てると、ものすごく熱い。それが、その、気のエネルギーの特徴です。誰でも、気を手に集めることもできますし、手のひらは暖かくなりますが、その熱さというのは、比べものになりません。
そして、集中した手のひらを解いて、両手を母の胃のあたりに押し当てます。
すると、母は、
「あら、珍しい。今日は、調子悪いのね。」
と言う。すると、私は、驚いて、
「えっ?いや、そんなことないよ。ぜんぜん調子悪くないけど、、、。」
と答えると、
「だって、いつもは、あんなに手が熱いのに、今日は、それどころか、すごく冷たいじゃない。」
と、信じられない発言でした。
「いや、そんなことないよ。かなり、熱いと思う。」
「本当?私は、手が熱いどころか、すごく冷たく感じるわ。」
そこで、手をはずして、母の全くどこも悪くない場所に手を当てると、母は、
「熱い!!!」
そう言うと、母は、あまりの熱さに飛び跳ねました。
「あー、驚いたわ。その手、今まで本当に当てていたの?」
これまで、様々なことで、手を当てて、エネルギーを送ってきたのですが、その都度、母は、暖かさが、いつも違うという発言をしていましたが、なんと、今回の胃癌の場所は、これまでで1番悪い場所だったせいか、そこまでエネルギーを感じられなかったのです。
それから、これまでも、治療のたびに、手のひらは熱くなっていましたが、今回の大変な病気を意識していたことで、そのエネルギーの集中された量が無意識に、これまで以上に最大となり、信じられないほどの熱さになっていたのでした。
しかし、まさか、それを冷たいと感じるとは、ちょっと衝撃的でした。そして、その治療の困難さを改めて感じたのでした。同時に、また、怖さも感じていました。
それから、毎日、約30分治療を行ない、1週間ほど経つと、母の感じている手の冷たさは、暖かさに変わっていきました。
そして、とうとう、初期段階だったとはいえ、それから、3ヶ月で、母の癌を治すことができました。担当医の先生は、こんなに早く完治したのは、これまでには例がないと驚いていました。




