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63. その「力」の不思議

 高野山から帰宅したのち、もう日にちもだいぶ過ぎて、ヨガスクールの開校に向けて、あれこれと忙しくしており、2人に言われたことなどすっかり忘れていました。


 ところが、ある日、母が日頃から悩んでいたアレルギー性鼻炎の時期となり、かなり苦しそうにしていました。(当時は、まだ花粉症という言葉はなく、アレルギー性鼻炎と言っていました)母の症状はいつもひどく、症状が出始めると、一時何もできない状態で、病院に行っても、当時は症状を緩和させる薬などなかったのです。


 あまりの辛さにみかねた私は、当時少しずつ研究していた鍼灸のツボのことを思い出し、鼻詰まりなどを緩和させるツボなどからヒントを得て、指先でツボ刺激を試みました。


 しかし、これでは効果があるはずもなく、症状はひどいまま、涙を流しているのをみて、ツボ刺激を続けたまま、なんとかならないかと焦っていました。

 ツボの刺激は、ツボを刺激することで、その経絡のエネルギーの流れがよくなって、関連した場所が治っていくのだから、その箇所をさらに集中して刺激してエネルギーが集まるようにしたら、もっと効果が出るはずと思い、呼吸法を続けていると、私の手がだんだん暖かくなり、熱くなってきた、と母が言うのです。


 すると、なんとなく、微妙でしたが、手応えのようなものを感じ、続けていると、母が、気のせいか、なんとなく楽になってきたというのです。すると、私は多少でも違ってくるなら、とそのまま30分ほど続けました。すると、母は、さらに楽になってくることを感じつつ、けっこうな手の熱さを感じていました。どのくらいの時間をかければ良いのかもわからず、それに、身体にくる、思いがけない疲れがきたので終わりにしました。


 その後、私はしばらく横になり、休んでいました。一方で、母は、症状が三分の一くらい楽になったというのです。これは、もしかしたら、手から、気のエネルギーがでて、症状を緩和したのかもしれないのかなと、ちょっと思ったのです。ただ、いつもヨガをしている時でも、行なっている呼吸法は、外から生体エネルギーを取り入れることは、すでに慣れているので、今回は、ただそのエネルギーを、今度は、放出しているのだろう、と単純に考えていましたが、実は、そんな単純なことではなかったのです。


 ちょうど、ヨガの研究をしている中で、様々な本の中に、私と似ている経験をしている人がいました。


 それは、手からエネルギーを出し、その手を悪い箇所に当てて、エネルギーを注入して治療する人の話しですが、なるほど、多少似てはいるけど、この人はかなりひどい病気も治していて、すごいことがあるのだなと思っていました。


 そして、さらに読み進めると、この人は、エネルギーを、どこにどのくらい入れると治るのか、治っているのかどうかもきちんと判断することができる。もう、私とは、全く違う話しです。母は、結局、これを数回試したことで治ったのですが、症状がなくなったのが、時期のせいで、たまたま収まったのか、あるいは本当に治ったのかは、すぐにはわからず、かなり後になってから、わかりました。


 初めて母にエネルギーを注入した時に疲れがひどかったのは、むやみにエネルギーを出していて、無駄に自分のエネルギーが減るだけだったからのようでした。


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