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52. 百日の行、最大難関な最後の九日間を経て

 実は、百日の行は、最後の9日間がもっとも困難を極める内容であり、おそらくこちらに滞在中で一番苦しい時期なのではないかと思います。


 まず、起床が夜中の12時。就寝は夜8時。今日からは1人1人に祭壇が与えられ、護摩加行というのが始まります。真言を唱え、印を組み、祭壇にある釜窯に火をつけます。ご本尊が不動明王なので火を司る、お供物を火にくべることで、火を通してお供物を差し上げるのです。火をつけたら、お供物をくべて、護摩木というお札のようなものをくべていきます。その間もたくさんの印を組み、真言を唱え、だいたい3時間くらいかかります。これが1座と言います。これを一日に3座、行います。姿勢は、半趺坐はんかざ、いわゆる、あぐらに近いのですが、これが正座より楽かというとそんなことはなく、ここでも前にも書いたように、いきなり立ち上がり大声で怒鳴る人がでてくるようですが、今回も1人でてきました。


 それから、驚愕の状況があり、釜窯で火を焚いている時、釜窯に向かって座っている自分の前面は焼けつくような熱さであり、一方で背面はとんでもない、凍りつくような寒さで、この両面の温度差が非常に身体にこたえるのです。もちろん、どちらがいいわけでなく、両面で別々の苦しみが3時間です。これを足の痛みとプラスして、一日合計9時間、これが9日間続く。もう苦しみの極地です。普段の日課の勤行も含めて、日々のお参り等は正座の時間も半端でなかったのですが、幸い自分は、ここに来るまで毎日やっていたヨガのおかげで足の辛さだけは全くありませんでしたが、それに加えて、すでにここまで、91日間の強行スケジュールで、疲れと寒さで、身も心もぼろぼろなので、まさに死ぬ限界に向いて走っているよう。


 それから、起床が夜中の12時ですから、一日が長く、9日間が異常に長く感じます。この間でも、何人も夜逃げをしました。寮監は、それをみんなに報告もせず、それを悪く思うこともない。せめてもの温情かと思います。


 そして、いよいよ、満願を迎えて、百日の行が無事終わりました。これで、伝法灌頂でんぽうかんじょうというのを受けて阿闍梨あじゃりになることができました。みんな、正式にお坊さんです。やはり、いやいやきた人たちや、本当にやめたくてしょうがなかった人たちは、抱き合って号泣していました。他人事ながら、絶対にやめると思っていた人がよくやめなかったなと、感心しました。やはり、皆さんご縁があったのでしょう。


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