2.ヨガが人生を変えてゆく
もはや、自分は、病気をしているわけではないのですが、ただ体力もあまりなく、自分は虚弱だという自信のなさが常に頭にあって、不安な気持ちがあったのです。
そこで、昔から体力もなく、スポーツも苦手だった自分でもできるからと、母と姉からヨガを勧められたのです。
そのカルチャースクールのヨガの先生は、当時すでに60才という還暦をすぎていても、細いけれど、とても健康そうで、はつらつとしていて、活力がみなぎっていました。
そして、一度、無料体験をしてみると、動作もゆっくりで、無理をしないヨガは、とても心地よく、自分には、ぴったりなものでした。これだったら、自分にもできると思い、早速、入学し、週に一度通っていましたが、そのうちに、自宅でもやるようになり、身体は柔らかくなるし、体調もよくなってきて、様々な効果がでてきました。そして、日に日にヨガのすばらしさに魅了されていきました。
ここでの、ヨガとの出会いが、自分の人生を大きく変えていくのです。
体操やストレッチにとても似ているけれど、まったく違うヨガ。スポーツにも属さないヨガ。実は、精神世界がその軸となっているというヨガのすばらしさを知るほどに、その奥深さを知り、もっともっと最高の指導を受けてみたくなったのです。
インドが発祥で五千年もの歴史を持つヨガ。続けることで身体が丈夫になり、体質改善もできるという。病気でもなく、虚弱な今の自分にぴったりで、その後、どうせならインドに行って、もっとレベルの高い指導を受けて、徹底的に極めていきたいと思いました。
そこで、両親に相談すると、やはり私の身体のことが1番心配だったようで、思いがけず快くインド行きに賛成してくれました。これまで、いつも両親の言うことには、決して逆らわずにこれまできましたが、人生で初めて自分のやりたいことを主張した時でした。
まずは、インド大使館に行って、インドに行ってヨガを習いたいと相談すると、受付の女性が快く対応してくれて、当時、なぜそんなものがあるのかわからなかったのですが、インド国内にある有名なヨガスクールの一覧が載っている名簿をくれたのです。実は、後日、やはりインドでヨガを習いたいという知人がいて、相談されたので、その名簿のことを教えてあげると、喜んで大使館にもらいに行きましたが、そんなものはありません、と、ことわられたということで、未だに私がもらえたことが不思議でたまりません。
とにかく、私は、名簿を色々と調べていくうちに、世界一と言われるヨガ道場である、シバナンダアシュラムを見つけました。創始者のシバナンダ氏は、もともと医者であり、彼の弟子が世界中にいて多くの人たちに指導をして、ヨガを広めているという。ヨガを熱心に実践している人で、シバナンダ氏を知らない人はいません。それほどに偉大で、ヨガでは有名な人なのです。
ところが、実は、シバナンダアシュラムよりも前から、行ってみたいヨガスクールがありました。それは、当時ヨガの第一人者で、多くの書物も書いている人が国内にいて、その人が若い頃、仕事でインドにいた時にヨガを習っていたという、カイワリャダームというヨガの学校です。最初は、そこに行くつもりでしたが、シバナンダアシュラムを知ったことで、こちらを選択しましたが、結局、両親にその2カ所について話しをすると、2年連続で両方とも行かせてもらえることになりました。今、思うと本当に有り難い話しで、今でも両親には感謝の気持ちしかありません。
そこで、まず、最初の、シバナンダアシュラムに入学希望の手紙を書きました。すると、その返事では、入学許可のために論文を書くように言われました。アシュラムでは滞在費は無料なのですが、そのせいで、旅行者が無料でむやみに泊まらないようにするため、論文を提出して、合格した人だけが入学を許されるということでした。その際の課題とは、「自分にとっての宗教感とは」、「これまでの自身のヨガ体験について」というテーマでした。
インドの公用語は、ヒンズー語ですが、過去にイギリスの植民地であったことから、普通に英語が通じます。そのことから、その論文は、英語で書くことになり、今は春ですが、入学は今年はもう間に合わず、来年の初夏頃になり、論文の締め切りは9月頃になるとのことでした。まだ。時間的には余裕があるとはいえ、あまりに難しい課題なのと、それを英語にしなければならないというのは、厳しすぎました。というのも、当時の自分は、仏壇があっても手を合わせたこともなく、お墓参りもただ親について行って、機械的に手を合わせるだけで、自分の宗教感など全く考えたこともなかったのです。改めて、図書館に行って、宗教や仏教などについて調べて、そこは1番苦労しました。そして、約ひと月かけて、懸命に論文を完成させて、アシュラムへ送りました。その後、ひと月たち、郵送にて、無事合格通知が届きました。時期が近づいたら、連絡しますとのことでした。そして、翌年、2番目に行くカイワリャダームに、そちらでのヨガ指導を受けたいと連絡をして、1年間のコースに入学が決まりました。