46.精霊についての報告
今日から2章エピローグに入ります。
ティアラさんから青月夜の報告メールが来た。
今回もやはり学園都市エリアで『湖畔の街ビオパール』にいったそうだ。調べたらかなり北の街で、湖が凍ったりするような極寒の地。
概ねこちらと同じで、精霊をすでに持っていた人にはパワーアップイベントが起きたらしい。
マイルームに月明精霊を置いて挑んだ人もいたそうだが、『ムーンキャッチ』での新たな精霊の捕獲はならず。月明精霊はもしかして1人1匹しか持てない精霊かもしれないとのこと。
ちなみに月明精霊とは『ムーンキャッチ』に入ってくる精霊のことらしい。ティアラさん命名。なるほどわかりやすい。
また『赤月明』から『宝硝子』へ住処を移していた精霊には、パワーアップイベントは起きなかったそうだ。
『ムーンキャッチ』の名の通り『色月明』に入ってるときだけにパワーアップが起きるのか、それとも『色月明』を出た精霊はもうパワーアップしないのか、どちらなのかはまだわからない。
それから『ムーンキャッチ』ではなく最初から『宝硝子』を用意して挑み、2匹目の精霊と契約出来た人が出たらしい。この精霊はMP増加ではなく『氷属性強化』となったとか。ちなみにスクエア。
『宝硝子』を用意して挑んだ人は複数いたけど、1人しか選ばれなかったそうな。用意した石の形や品質が同じ人もいたため、どういう選別が行われたかはまだ不明とのこと。
『ムーンキャッチ』ならじっとしていれば確実に1匹は契約できる。それ以外でも条件が合えば契約出来るが、他の石に合う精霊は絶対数が少ないのかも、とティアラさんたちは考えているそう。たしかにそれはありそう。
そして精霊の誕生を見届けた後の散策、それから翌朝の散策で『精霊砂』と『精霊礫』を拾うことが出来たらしい。
砂は5個でガラス板に出来るそうなので、これでようやく『精霊砂』の実験が出来そうだと書いてあった。…5個ないとダメだったのか、知らんかった。
『精霊礫』の方はどうやら『鍛冶』の素材らしい。『ガラス工』持ちは『鍛冶』持ちが多いので、こちらも数さえ揃えば研究出来そうだって。
ビオパールは鉄の産地でもあるそうなので、『精霊鉄』とか出来るかも!と期待が高まってるらしい。
どうなるか楽しみだ。
あとは、『固定』を試してみた人が出たって! すごいぜチャレンジャー!
こちらは精霊の同化率が消えて、メニューからも精霊が消える。そしてアクセサリーの『精霊装身具』の表記も消える。でもアクセサリー効果にMP+50はついたまま。
そして増えたのが、MPを使用して精霊を呼び出す機能。MP5を消費してMP50回復する効果、1日1回のみ。うむ、しょぼい。ちなみに『赤月明』の精霊。
『固定』は今のところ解除不可だそうだ。ここから性能が上がるのか?などを検証していくつもりだそう。精霊表記が消えた以上、上がらないんじゃない?という意見が優勢だって。猫もそう思う。
『昇華』についてはまだみんなグレーで不明。
猫の方からもお返事を書いた。
『港街ポーツ』で、おそらく精霊関連のイベントを踏んだこと。ついでに異界の扉防衛でもあったこと。
その際、運送の神から精霊と石について断片的な言葉を聞いたこと。
『小さな石は小さなもの。大きな石は大きなもの。飾り気のない石は飾らないもの。煌めく石は煌めくもの。月の石は生まれたままを、生き物の石は生き物の心を覚える』
この言葉を頼りに、生き物の石とは魔石や、装飾品になる魔物のドロップではないかと考えたこと。
生き物の石はどんな石でもいいかと尋ねたら『生き物の形が強固では中に入ることは出来ない』と言われたこと。そして『精霊は魔力、魔力は精霊、力そのものである』らしい。
これは錬金術にも通じるもので、素材に魔力を込めるにはヒビが入ってたり中が空洞だったり、クズがはいってるようなアイテムが望ましい。
なので『カーバンクルの魔宝石』の最低品質(ヒビが入っているもの)を選び、無事に新たな精霊と契約出来た。
こちらはアクセサリーにしたところ『装備時『時属性魔法』スキルを使用可能(魔法3)』というものになった。
この精霊は元々魚(?)のような形をしており、『釣り』で二度釣り上げたが小さかったのでリリースしていた。これがフラグになっていたと思われる。
憶測するに『月の石は生まれたままを』は、『色月明』のことで、精霊は魔力だというから魔力増強効果。『生き物の石は生き物の心を覚える』は、その魔物の使っていたスキルを覚える効果? と思われる。
『煌めく石』はおそらく硝子、『煌めく石は煌めくものを』なので、石の形などに応じて性質を変えられるということではないか?
カボションに精霊が弾かれたのは、形が強固で中に入ることが出来なかったのではないかと考えられる。ガラスに魔力が入らないのも、同じ原理かもしれない。
ファセットカットが細かければ細かいほど、欠けているという判定になり、精霊が中に入りやすくなる、のかも?
ついでにもしカットに失敗した『宝硝子』があれば『錬金術』で使えるかもしれないので試させてほしい……。
そんな話をにゃんにゃん書いて送っておいた。にゃんにゃんにゃん~~。
メールを書いていてふと、魔石とか魔宝石ってアクセサリー以外にはどんなアイテムに加工出来るんだろう?と気になり、調べてみた。結構いろいろ使えるのね。
まず魔道杖。これはたしかに石とかついてる杖多いもんね、わかる。
他にも、剣や弓などの武器や、防具などにも魔宝石を嵌め込んだりする。
装備品に使うのは魔石ではなく、宝石か魔宝石がいいみたい。魔石も製造過程で混ぜたりはするけど、そのままは使わないようだ。
宝石や魔宝石は高LVの魔物しか落とさないので、それを使うアイテムはオーダーメイドの超高級品だ。宝石は必ず原石の状態で手に入るから、石自体の加工もしてもらわないといけない。猫もまだ『トパーズ』や『スフェン』は原石状態だしね。加工してもらわないとな~。めっちゃお高そう。
ちなみに魔宝石はドロップしたそのまま使える。
『カーバンクルの魔宝石』が最低品質でも手に入ったのって、猫は運がよかったんだなあ。素材買取所のお兄さんが声かけてくれたお陰なので、持つべきものはやはり縁…!
たしか『カーバンクルの魔宝石』は鞄にも使えるんだっけ。魔宝石はいろいろ使えるということだ。
ロニは同化率が35に増えた。パワーアップしたせいなのか、それとも『召喚』と同じく経過時間によるものなのか、はたまた好感度的なものか、なにもわからない。ひとえつぎの神の加護かもしれないしなあ。もっとこまめに見ておけばよかったねえ。
リューシーは10。最初が10だったので、全然動いてない。こちらはまあ、まだ全然日も経ってないからね。
ロニはマイルームに戻らない限り出てこないんだけど、リューシーはアクセサリーにしてからもわりと気軽にスイスイ出入りしてる。でも抜けたからといって、それでレトが時魔法を使えなくなったりするわけではないみたい。
精霊の能力そのものは、別の住処に移動しない限りそのアクセサリーから消えない、となると、『固定』て実はかなり重要な決断のアーツになりそう? それこそ『使役』などの『野に帰す』並なのかもしれない。
そして『昇華』は猫も相変わらずグレーアウトしている。
うーむ、精霊使いギルド、ほんとどこにあるんだろ。チュートリアルをくれ!!
無い物ねだりしても仕方ないので、地道に聞き込みをすることにした。
アトノ島で精霊を見つけたんだけど、よくわからないにゃん。詳しい人を知らないにゃん?
そんな感じで適当に商店で聞いてみたら、あれよあれよと話が弾み、衝撃の事実が明らかになった。
ポーツには古くから『漬け物石』なるアイテムがあるらしい。この『漬け物石』を中に入れた樽だけが味噌と醤油を作ることが出来るという…。
そう、前に特殊な妖精さんの住む樽しか作れないって聞いたやつ。
アトノ島でひとえつぎの神にお願いして、持ち込んだ石に妖精(?)を宿らせてもらって作るらしいよ。
なんてこった。
作り方がどう考えても精霊の住処じゃん!
船で出会った若い料理人のお姉さんNPC、これのことを言ってたんだね!?
『飾り気のない石は飾らないもの』て、もしかして食べ物関連というか、『料理』系ってことだったのかもしれない。飲食というなら『調薬』も含みそうな。……いや、飾らない、つまり消えものってことだとしたら、農業やら園芸関連も含む可能性がある。
これは盛り上がってまいりました!?
いやいや、結論を出すのはまだ早い。しかしハズレというか、よくないんじゃないかと思っていた飾り気のない石も有用となると、かなり幅広いな、精霊の住処。
…あ、一応『漬け物石』にするに相応しい石とかあるのね。平たくてどっしり重い石、黒いものは醤油用になり、薄い色のものは味噌用になるらしい。
なるほど、2個必要ってそういうことか…!
そういえば『幽世恋物語』も味噌と醤油を手に入れた話だったのに、もうすっかりすっぽ抜けてたな。
つまりアトノ島のイベントって、プレイヤーが味噌と醤油を自分で作るためのアイテムを入手できる機会だったんだ。
猫が『料理』持ちなのも、もしかしたらキーになっていたのかもしれない。なるほどなあ…。
なお漬け物石の妖精(精霊)はポーツ以外では暮らせないため、樽や石を盗んでも効果はない。ただポーツ出身者が引っ越したときなどは、樽の中の妖精もついてきてくれる……という話だった。
これはたぶん、精霊が宿った石でも契約主の元を離れると効果を失う、という意味だろう。
『固定』すると精霊ではなくなり完全にアイテム化してしまうのではないか、とかも考えていたけど、そうでもないみたいだなあ。いや、そうか、そうだとしたら『精霊使役』は生産スキルってことになっちゃうもんね。……そうなのか? いや違うはず???
ちなみに住民NPCは、なにか目には見えない不思議なことが起きるとすべて『妖精の仕業』と思うらしい。だから調べてみたら妖精はまったく関係なかった、なんてこともよくあるそうな。
それ自体はあるあるだけど、実際に妖精がいる世界だと混乱するよね。そこも含めて狙ってるのかもしれないけど。
そんなわけで、ポーツのアトノ島にまつわる謎については、聞き込みを始めて早々にあっさり片づいたのだった。
しかし『漬け物石』以外の石で精霊を持った話は全然なくて、結局精霊そのものについてはまったくわからず終わった。残念~。
『漬け物石』の話はペチカちゃんにメールで伝えておいた。彼女は『料理』は持ってないようだが、ことの顛末としてあれがどういうイベントだったのかは知っておきたいだろうから。
というか猫と「なるほどねー!」を分かち合ってほしい。料理人さんの話はペチカちゃんにも伝えてたけど、あのときは全然わからんしとりあえず置いとこ、てなったからね。
憶測としては、それぞれの精霊スポットには何かしら伝承などがあって、その通りにすると特殊効果のある精霊の住処が手に入るのではなかろうか。
そういうのを探してみるのも楽しそう。
ペチカちゃんには観光ついでにいろいろな伝承を調べてみてほしい。期待してるぜエンジョイ勢!
そんなわけでイベントの後日談。おそらく酒類も一部は精霊が関わっていると思われる。
エピローグは全3話、近況1話と露店回2話(前後編)となります。
幕間に番外編1話、掲示板1話で2章完結の予定です。
評価、ブクマ、イイネ、感想、誤字報告ありがとうございます。
今週も金曜日まで予約投稿済……と言いたいところですが本編と違い、番外編はギリギリ作業となっています。水曜までは予約投稿済です。
ま、まにあえー!
240509 精霊を『固定』した場合の同化率表記について、消えると残るが混在していたため『消える』に統一しました。