42.ミニダンジョン
区切りが悪く、途中で切れます
そういえばフーテンさんにもまだ検証日の連絡をしてないのだった。絵本を見せるには時間が噛み合わなかったし。
メールでみんなで協力してくれる旨、連絡はもらっている。SP戻ってくることはまだ言ってないのに、付き合ってくれるなんてありがたいね。
風光季の色月夜を狙ってもらうなら、やはり青月夜にして、アトノ島で運送の神に会うルートのがいいんだろうか。石の話も出てくるし。
いや、でもイベントのフラグが面倒かも? そもそも『精霊使役』を猫が持ってたから始まった可能性もなきにしもあらず? それに猫では『ヤノ蔦の魚籠』を用意出来ない。
まずは普通に精霊スポットへ行ってもらうほうがわかりやすくていいかな。パワーアップイベントもあるとわかったし、オススメしても不足はない。
黒月夜なら、今日から3日後だ。日付が確定してないとこに巻き込むのは申し訳ないと思ってたけど、今季の黒月夜は3日で満ちるようだから日付問題はクリア。
移動の問題も転移施設で解決。うーん、イレギュラーな月なので懸念はあるけど、とりあえずお伺いを立てておこう。
『3日後に検証出来そうな場所があるけど、うまくいくかはわからないにゃん。万全を期すなら8日後になるにゃ。明日には自由都市へ一時帰宅して露店する予定だから、また連絡するにゃん~』
前回の暗黒夜が10日前なので、次の暗黒夜は5日後。そこから3日で赤月夜なので8日後だ。
フーテンさんはログアウトしてたのでメール送信だけぽいっとな。
ちなみにティアラさんからは黒月夜も気になるので、隠者の村へ行く旨、連絡をもらっている。その際に硝子連合の仲間たちを紹介してもらう予定だ。楽しみ!
後はレトに『トランスファー』を教えられないか、教本の口頭説明などを試してみたりした。さすがにそううまくはいかないようで、レトが魔法を覚えるのは難しそうだ。
あれこれ試行錯誤してる内に、『青月明』が完成。目的達成したので、今日はこれにてログアウト。
青月夜だから、妖精が来ないかな~とかちょっと期待してたけど、来なかったね。残念!
翌日、ペチカちゃんと再会したので、アトノ島のミニダンジョンへと向かう。
ミニダンジョンは祠とは別に入り口があり、そこから地形、魔物、オブジェクトの組み合わせでランダムされたインスタンスに飛ばされる仕様だ。
入り口は船から降りてすぐにあったらしい。昨日は既にイベントのフラグを踏んでたから現れなかったみたい。
「では『精霊使役』は実験中なんですね」
「そうにゃん~装備の問題があるから、掲示板とかに書き込むのはもう少し待ってほしいにゃん」
「わっかりました! 大丈夫です、私、読み専ですから!」
掲示板、やっぱり読み専になっちゃうよねえ。なかなか一歩を踏み出そうという気にはなれないもんだ。
「もし行けるようなら、他の精霊スポットにも行ってみてほしいにゃん。猫の精霊は白月夜に仲間になったけど、青月夜でパワーアップしたみたいにゃ。これが神さまに会ったからなのか、それとは関係なく起きるのかはまだ不明にゃんよ~」
「なるほど、パワーアップイベントならやっておきたいですね。それに、もしそうじゃなくても精霊スポットとかすごく気になるんで、行ってみます!」
さすがエンジョイ勢、観光名所へのフットワークが軽くてありがたいぜ。
『【観光】旅の見どころ紹介【名所】』スレを紹介するとすごく喜んでくれた。
廃都エリアの話はもうほぼ過去スレで、倉庫にしまわれているので、探すのに一手間かかるのだ。倉庫検索が弱いのよ。複合とか分岐検索が出来ない。
だからあらかじめスレタイがわかっていると、とても探しやすかったりする。
あと精霊の装備に不足が出た場合には、検証の一環として相談に乗ってもらえることになっているので、気軽に連絡してほしいことも伝える。
「そうそう、もし暇だったら『ヤノ蔦の魚籠』を作っておくと、売れるアイテムになるかもしれないにゃん」
「あ! そっか、イベント用アイテムですもんね。『ヤノ蔦』は廃都エリアでは手に入りやすいアイテムみたいですし、LV上げにもちょうどよさそうです」
「フィールドの蔦が生えてるとこなら採取ポイントがなくても採れるにゃんよ~。マケボでドルイドナイフがあったら買っておくと『裁縫』の素材も採れてお得にゃん」
「オブジェクト採取ってやつですね! それにドルイドナイフ…探してみます!」
それからペチカちゃんは、DPについて調べてみてくれたらしい。
「ダンジョンポイントらしいです」
あ、そっち!?
「なんでも、第三エディションから加わった新要素みたいですね。各地で『異界の扉が開きつつある』て話が出てたところに、じゃあ阻止しよう、ていうクエストが生えてるような状態、と掲示板では書いてありました」
「なるほどにゃん~」
道理でお使いクエストが異界に着目した話ばかりになってたわけだ。
てことはもしかして、仕立て屋さんのお使いクエストを続けていたらポーツに関わる異界の話も出てきたんだろうか? 続きもやってくればよかったかな。
それにしても、異界の扉の防衛か~。
「ダンジョンが閉じるとか狭くなるとかって話になると、反対派もいるにゃんね?」
「その通りです。特にすでにダンジョンとして知名度が高い場所では、反対派が多いみたいです。でも、異界の扉防衛に失敗し続けると魔物が強くなったり、地形が変わったりもするのではという意見もあるようで」
「ほ~、うまく均衡を保ちたい…とかいって仕切ろうとする人が出る流れとみたにゃん」
「ありがちですよねえ~。でも実際のところ、全体数値とかは出ないので、本人のカルマ値?みたいなのにしか影響しないのではって説もあるみたいです。あ、あと防衛失敗するとDP無しですね。通常の防衛成功はDP10で、DP20ってのは防衛大成功のパターンみたいです」
「おお、やったにゃんね~」
「よかったですぅ!」
ちなみにDPの使い道についてはまだわかっていないそうで、それもあって反対派も活発なのだろうって。まあ役立つポイントだったら、それを捨ててまで何かしようって話にはなりにくいだろうしね。
さて、そんなわけでミニダンジョン。
猫たちはどうやら昨日の、島の中に海の幻が出てきたあのフィールドになったようだ。珊瑚の木にワカメの葉っぱ、ヒトデに、青月夜。
前情報なく来てたらヒントになったのかも。
猫にはすっかり見慣れてしまった風景だったけど、ペチカちゃんは祠の前でずっと漁をしてたから新鮮だったらしい。
「わあ! すごい、キレイですねえ!」
大興奮だ。
微笑ましく見守っていたら、いきなりペチカちゃんが魚にどつかれてビックリした。
「ふぎゃ」
「ペチカにゃん!?」
すぐさまピピちゃんが割って入って魚をボコボコにしていたのだけど、わあ、mobまで空飛ぶ魚か。
ペチカちゃんをどついた魚は体長80cmほど、結構でかい。トッピーとは全然違う、飛び魚っぽい魚だ。羽根?がある。ペチカちゃんは自己回復した後、猫の方へ向けて『ライトニング』を放つ。
ヒェ!? あ、後ろに魚来てたのか!
幸いにして魚はそれほど攻撃力が高いタイプではなかった。一気に3匹ほど沸くからちょっとびっくりはするけど、弱点を突けてることもあって『ライトニング』一撃で危なげもない。
ミニダンジョンのmobは3種類とのこと、もう1種類は木上のヒトデだった。こいつは動かないけど近くに寄ると毒液噴射してくる厄介なやつ。しかし弱いので、コズミックシュートの魔力弾で撃ち落とせる。『ポイズンアスタロ』だって。
あと1種類は見当たらない。気をつけないとね。
最初は猫も魚に『ライトニング』を使ってたけど、やはり1発60MPは消費が重くて無理。
そこで、猫は魚を集めて一直線に並べる、いわゆる釣りをして、それをバフマシマシペチカちゃんが『ライトニング』で一網打尽にする戦法でいくことにした。
猫はルイと逃げつつパウダーを撒くのに専念して、レトに『コズミックシュート』で魚を撃ったりヒトデを撃ったりしてもらう作戦。
ホッホッホ、大漁、大漁。
魚は『トビュッシー』というらしい。なんかちょっと惜しい。
ドロップ採取は4回。『大飛魚の鱗』『大飛魚の羽』『大飛魚の尾』『大飛魚の切り身』『水魔石』などだ。水魔石はそのまま、水属性の魔石。切り身がレアっぽい?
ちなみにヒトデは『白海星』『白海星の毒腺』『星の砂』『泡藻』『魔石』などが手に入る。なお『白海星』はヒトデそのまま。たぶんこれがレア。『星の砂』は材質的に砕けたヒトデ。魔石は色なし、レア度の低いやつ。
ミニダンジョン内はところどころ採取出来たり、釣り出来たり、採掘出来たりするスポットがある。隙をみて二人で拾ったり掘ったり釣ったりしつつ、魚が来たら散開して釣って『ライトニング』とワチャワチャした。
ペチカちゃんも釣り採取採掘持ちのエンジョイ勢なので遠慮なく採取とか出来てありがたい。MP大事なペチカちゃんの代わりに猫が『マジックセンス』しておけば、秘密の採掘ポイントも見つかるというわけだ。
「石ころですねえ」
「にゃんね~」
まあ、LVがお互い足りてないのはご愛敬。
大きな飛び魚以外にも、鳥?のような敵もどうやらいるらしい。まったく気づかないまま『ライトニング』で巻き込んだらしく、ドロップを拾ってる最中に気がついた。『灰青鳥の羽根』『灰青鳥の水掻き』『灰青鳥の羽毛』『灰青鳥の糞』『青魔石』などがある。糞…。
魔石が青ってことは水属性、ほどほどに強そうだ。
「灰青鳥、見たにゃ?」
「いえ、見えませんでした。どんな鳥でしょうね?」
ちょっと気になるので、もうクリアは出来るけどウロウロしてみる。
ちなみにこのミニダンジョンはミニだけあってBOSSはなく、宝箱を開けたらクリアだそうだ。そして宝箱はもう見つけている。
しばしあちこちウロウロしていると、ようやく発見。
「ふああ!かわいい!」
「ペンギンにゃあ!」
灰色というより青みのある羽毛の小さなボディー。コガタペンギンとかフェアリーペンギンとか呼ばれるものに似ている。
前傾姿勢でより鳥に近いけど、フォルムはペンギン。青い目がキレイ。
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