29.クエスト、そしてクエスト!
さて、今日の最初の予定は合同神殿のミミット博士に報告だ。お使いクエストを進めるぞ!
お使いとメインとどっち進める?て話なんだけど、まあお使いクエストの方が楽なのでとりあえずこっち進めておいて、学園都市へ向かう前にメインクエストも追っかけで進めればいいかな~くらいに思っている。
さくさくとミミット博士にミミット討伐の報告。今回は特に新しい話は出ず、異界の扉はマレビトたちの手によって無事閉じることが出来たのだ、というメインストーリーの履修で終わった。はい。
次のクエストはお届けもの。鳩ポッポ商店街の仕立て屋へミミットの毛皮をお届けにいきます。
ついに! ソファーが手に入るぜ! まだかかるけど。この仕立て屋の連続クエストで、ソファーとクローゼットが手に入る予定。
鳩ポッポ商店街へ到着。
まずは仕立て屋へ。
NPC装備品店は通りがかなりややこしい。すでに迷いそうだ。街中、今いる地点のごく狭い地図しかでないから、この道を抜けると大通りとかそういうのは覚えてないと駄目なんだよね。ちなみに目的地のGPSを持ってるときはナビが出る。しかしクエストのときは出ない。探すのも含めてクエストってことなんだろう。
『地図作成』欲しくなっちゃう。
なにかしら実績解除スキルとるとして、SP50は残しておきたいと考えている。『精霊使役』みたいなこともあるだろうから、20は新しいスキル用として、ランク上がったとき用にも少し。
なにしろ今は初達成とかがあるから祝福SPもらえてるけど、これからはどんどんもらえなくなってくるだろうし。ランク上がった、欲しい実績解除スキルがあるのにSPない!てなると悲しいし。
なので、各ジョブランクが3に上がるまでは実績解除スキルを取るのもお預けなのだ。特に『使役』と『召喚』。今後は猫のメインジョブになるだろうからね。つまりルイとレトの進化待ちだ。
この通りにある仕立て屋はいわゆるオシャレ装備の方の仕立て屋で、戦闘用装備は作っていない。戦闘用のNPC商店はギルド通りから西へ進んだ方にある、鷹の目商店街に建っている。鷹と鳩…。
そんなわけで平和な仕立て屋さんへお届けもの、そしてお使いクエストの受注だ。
ほうほう、ミミット大行進の後に残された卵があって、それがどこかに隠されたらしい。もしその卵が生まれない卵だったなら、隠された卵は内側に異界を育んでしまう…。
えっ、卵も異界になるの?? 扉というにはパカパカしませんけど!?
「その卵にはヒビを入れるべきだと思う?」
「入れなくていいと思うにゃん。扉じゃないならノックもされないにゃんよ~」
「うふふ、その通りよ」
いきなり仕立て屋のお姉さんNPCから質問されたのでびっくりしたけど、どうやら合ってた? のかな?
ミミット大行進の後にあったメインイベントはワイバーンの巣で卵泥棒みたいな話だったはず。それが隠された卵だったということかな?
メインストーリーについては、攻略サイトのあまりネタバレしない攻略ラインをざっくり履修しただけだから、初めて知ることも多い。
ちなみにメインストーリーでは卵を割ることを選んだとか。結果については次のクエストで、とな。
毛皮配達の報酬に『下級回復ポーション』と『ミミットの手袋』をもらった。手袋は鞣し革のもので、防寒具ではない。
手袋は生産用にも戦闘用にも重要な装備。アクセサリー扱いではなく、手袋という装備項目もちゃんとある。
『ミミットの手袋』は戦闘用、命中率にプラス効果。『自由なる魔法師の手袋』の方が猫には合ってそうなので倉庫行き。
次のクエストは、ダウンジャケットを作りたいから羽毛10個を集めてくること、羽毛の種類はなんでもいい。
冒険者ギルドの素材販売所で買っておいた羽毛を渡してクリア。報酬は『クッション』。ソファーが近いぞ。
ワイバーンは氷属性だったため、挑むのに冒険者たちは保温装備を余儀なくされたらしい。ワイバーンの降らす雪の道は、苦難を極めた…。
「雪道を行くのに必要なものってなんだと思う?」
「滑らない靴にゃんね~」
「うふふ、いいわね。装備って大切」
正解なのか間違ってるのか全然わからないぜ。
ワイバーンの元へたどり着いた冒険者たちが見たのは、名状しがたきワイバーンの雛であったそうな…。
ホラーになってきた。
ここのBOSSって、巨大な赤いジェリじゃなかったっけ。ボス画像についてるコメント欄が「みんなのトラウマ」「見なければよかった」「お゛があ゛ざん゛」「慈悲をやれ」「コロ…シテ…」とかで埋まってたのはそういうことだったんだなあ…。きっと戦闘前に変貌モーションとかあったんでしょう? 絶対検索しない。
次は毛皮のコートを作るから毛皮を10枚。そのままお渡しして、報酬は『ごろ寝マット』。あと少し~。
変わり果てたワイバーンの雛を倒したものの、冒険者たちが見つけたのは小さな異界の扉。完全には塞ぐことが出来ず、世界の隙間は開かれてしまった…。
ちなみにこの辺のメインストーリーは廃都エリアで起きたことだ。ワイバーンの卵泥棒は、技術の街アルテザ付近だそうな。
「異界を広げないためにはどうしたらいいと思う?」
「隠さないことにゃんね~」
「うふふ、そうね、隠すのはよくなかったわね」
全肯定お姉さんなのかもしれない。
しかし最近、異界の扉の話をよく聞く。第三エディションではダンジョンがどどんと増えたっていうから、そのための導線なのかね?
次は『羽毛』と『毛皮』を20個ずつ、それに青ブナの板を持ってきたら『素敵なソファー引換券』。
よしきた! 用意してきた素材を渡して、ついに手に入れたぞ『素敵なソファー引換券』! これをマイルームで使えばソファーがもらえる。
愛する雛を失ったワイバーンは傷心のまま旅立ち、その巣の中には異界の扉が残された。新たな鳥やワイバーンが住み着かないようにと、冒険者たちの手で巣の撤去作業が進められた。
「片付けた巣の中から何が見つかったと思う?」
「雛の骨にゃん?」
「あら、それは違うわ! 正解は次のお楽しみ!」
全肯定お姉さんじゃなかった。
てことはさっきまでのは合ってたってこと?
次のお使いは、木綿のシャツを三人のNPCに渡して改善点を聞いてくる、というちょっとめんどくさいクエストになっている。これをクリアするとクローゼットなんだけどね。
まあ、今日はソファー(の引換券)を手に入れたのでクエストはここまで。
また来るにゃん~。
その後はせっかく鳩ポッポ商店街まできたからといつもの串焼きのおじちゃんから串焼きを買って肉を売り、野菜売りのおばちゃんの屋台で野菜を買って、お喋りする。
おばちゃんは早耳で「ギルドの貸出し畑にすごいのが出たんだって!」と話していたので面白かった。
猫も退治に参加したけど何も出来なかった、神官さんたちがすごかったんだよ~の話をした。
「はああ、やっぱり豊穣神の神官さんはすごいんだねえ。うちの村にも来てほしいくらいだよ」
「害獣で困ってるにゃん?」
「そりゃ農家はいつでも害獣で困ってるもんだよ。でも今年は、例年よりずっとマークディアが多いんだ」
マークディアは自由都市エリアに生息する鹿の一種だ。大きさは大したことないんだけど、すばしっこいのと、土魔法を使うのが特徴、だったはず。
「このままだと冒険者ギルドに依頼しなくちゃならなくなるし、まったく、嫌だねえ…」
「にゃん~…」
もうすぐマークディア大発生の依頼が出ますよ、てこと?
うーん?? なんか気になるな。
『こんにちは、先日はありがとうにゃ! ちょっと聞きたいことがあるにゃ、NPC農家さんのことなんだけども』
セイッとメールを送信。
相手は先日お世話になった猫のライバル農家、牛獣人のノーカさんだ。名前聞いたとき、思わず「なんて?」て聞き返しちゃったよね。よくある反応です、て笑ってくれたけど。
他にもフレ登録してくれた農家さんはいるのだが、セーフティエリアにいるのが彼だけだった。
そう、相手がセーフティエリアにいるかどうかの表示とか出来るのだ。前にダンジョン攻略中のフーテンさんにメールしてから反省して機能を探してオンにしておきました。
『メールなんだし相手が何処にいても気にせず送れ!』というのが運営側の意向らしいのだが、やはり気にする人も多いので、プレイヤー側でオンオフ出来る機能となっているのだとか。
なおフレに自分がセーフティエリアにいるかどうかを知らせるオンオフもあり、これがオンになってる人じゃないと通知されない。
フーテンさんはオフだ! 役に立たん!!
いや、今役に立ってる! てことでほどなくして返信が来た。
『こちらこそお世話になりました。NPC農家については私も全然詳しくないですが、どういった件でしょうか?』
ノーカさんお堅い…。でも敬語が素なので気にしないで、て人らしい。ヤマビコさんが年単位で話してても敬語が崩れないといってたので猫も気にしないことにする。
執事さんも敬語だけど、あの人はもうああいう芸風だと思ってるから気にならないなそういえば。なかなか会えないのだが、きっと鳥を追ってるんだろう。
『NPC農家さんが今年はマークディアが多くて困ってる、このままだと冒険者ギルドに依頼しないといけない、て話をしてるんだけど、これって放置しても大丈夫なやつにゃん??』
『それは放置しない方がいいやつですね。向こうから依頼とかはありませんでしたか?』
『世間話で終わっちゃったにゃ。こないだのレイドの話を既に農家さんが知ってて、猫が豊穣神の神官さんが大活躍だった話をしたら、豊穣神の神官さんはすごいねえ、うちの村にも来てほしい、て流れで出てきたにゃ。これは神官じゃないと発展しない感じにゃ?』
『なるほど、それだと神官クエストの可能性もありますね。ランさんは豊穣神の加護はお持ちで?』
『持ってるにゃ』
『でも起動はしない、となるとやはり神官が対象っぽいですね。差支えなければ、その農家さんのGPSっていただけます?』
『にゃん~送るにゃ!』
送ると今から向かってみます、とお返事があった。迅速~!
それほど間をおかずにノーカさんがやって来た。
街中で見ると更に背の高さが際立つ。群衆より頭ひとつ以上高いのですぐわかる。
今日はカソックじゃなく、街着だ。といっても作業着に近い。デニムのオーバーオールにTシャツ、首かけタオル……、いやこれ作業着だな。作業着何着持ってるんだ、こないだのと違う!
「こんにちは、ランさん」
「来てくれてありがとうにゃん~! いつもお世話になってる農家さんだったから気になっちゃったにゃん」
NPC農家のおばちゃんに、こないだの畑大ノシシ退治で知り合った神官さんにゃん~とノーカさんを紹介して、話をしてもらう。
するとクエストが始まった?らしく、農家さんとノーカさん(ややこしい)の話は猫には聞こえなくなった。クエストが発生した場合、参加資格がないとこういう現象が起きたりするそうな。なるほど、これが噂の。
そしてしばらく話が進み、なぜか突然ノーカさんの胸元がキラキラと輝いた。
「にゃあ?」
なんだろ??
ノーカさんが話を終えて、猫に向き直る。わざわざ屈んで話をしてくれる優しさよ。
「ランさん、大当たりです。知らせて下さってありがとうございます。啓示ですね」
「にゃん? レイドにゃ??」
「はい。場所はどうも知らない村のようで、このクエストのための村なのか、それとも解放予定なのかはわからないのですが。とにかく鹿型らしいので、また農家スレが盛り上がりますね」
「農家大集合は心強いにゃん~~。でも、啓示押し付けちゃって大丈夫だったにゃ?」
神々からの啓示を受けた場合、レイド不参加になるのはあまりよくなかったはずだ。
「問題ない、というかありがたいですよ、神官の貢献ポイントも入りますし、大規模戦も好きですから」
「ならよかったにゃん! おばちゃんの村を守ってあげてにゃ~~」
「はい、必ず」
農家スレの盛り上がりを期待して、ノーカさんとはその場で別れた。
参加出来ないのは残念だけど、神官がクエストの起動に必要ってことは中堅より上のLVだろうから、仕方ないねえ。
そのあとおばちゃんと話すと「神官さんを紹介してくれてありがとうねえ」と感謝されてしまった。
「猫はよわよわで鹿には勝てないけど、人脈はあるにゃんよ~~」
「猫は愛嬌で勝負よねえ!」
わはは、とおばちゃんは笑っていた。
それ、うんそれでいこう。愛され猫を目指すにゃん?
ノーカ・イナカノ:
ライフ系で農家やるためにゲームを始めたけど、豊穣神の加護を得て特殊魔法目当てに神官になり、そのまま戦闘もやるようになった人。ゲームの購入動機が他と違ったため「あれ、なにかやっちゃいました?」系で独自路線を歩んできた。ビルドがかなり特殊。作業着が私服。なんなら戦闘用装備も作業着ベース。カソック姿は希少だった。
『ごろ寝マット』と『クッション』と青ブナの木材を家具屋に持ち込むと『素敵なソファ』を『素敵なラブソファ』にしてもらえるクエストがある。
ラブ(二人掛け)にしても座らせる人がいないさみしい人々にとっては床にふて寝セットとなっている。
評価、ブクマ、イイネ、感想ありがとうございます。