25.リターン教本
今週末土日は更新お休みします
次回更新は3/11(月)です
港町ポーツへ戻るのに、ひとつ課題が出来てしまった。
猫、実はまだ『リターン』を覚えてないのである。
LV上がったから、転移ポーション飲めなくなっちゃったんだよねえ。
MP少し上がったから教本読めるかも? と期待したけど、うん、足りないんですわ。
減らしつつ確認したけど、『リターン』と『ポータル』は現段階では無理でした。たぶん500MPくらいはいるんだろうな~。
猫、ロニ込みレト無しで今450くらい。MP増強装備を足すか、LV上げるか、MPの上がるスキルないしステータスに振るか。しかし装備とLV以外の選択肢はさすがに短絡的と言わざるを得ない。
それなら今回は見送りして、帰還石で帰る方がいいだろう。しかし帰還石は転移石より安いとはいえ、そこそこお高い。『買うのが嫌ならリターン覚えればぁ?』と言わんばかりの足下を見た価格設定をしている。
うーん、LVなあ。
猫は種族的に、LV上がってもMPの伸びが悪い。もう3LVくらい上がらないと500に届かない気がする。ステ振りでどれだけMPが上がるのかも運要素があるので、短絡的にステには振るのも考えもの。
すると、やはりMP増強装備が現実的だ。ひとまず500MPになる程度に足したいので、50MP以上欲しい。買うにしても、MP増強装備は種類が山ほどあるから、まず調べないといけないし、どうしたものかな、と久々に箪笥を開けてみて思い出した。
LV20越えたってことは、『学園都市装備セット』と『自由都市装備セット』が使えるようになるじゃない。
この装備セットは開封したときのメインジョブを参照して、装備の中身が変わるようになっている。てことは『魔法師』にして開けたら一部位くらいMP増強装備が出るのでは? でも『自由都市装備セット』は『錬金術師』で開けようかと思ってたんだよなあ。
むう。掲示板みるか。
……掲示板をあちこち参照しつつ悩んだ結果、『学園都市装備セット』は保留にして、『自由都市装備セット』を『魔法師』で開けることにした。
学園都市の方を保留にしたのは『精霊使い』のジョブがもしかしたらどこかで得られるのかも?と思ったからだ。そうならちょっと気になる。学園都市装備セットの方は40LVくらいまで使えるものもあるようなので、開けるのがちょっと遅くなっても問題ない。
『自由都市装備セット』を『魔法師』にするのはもちろんMP増強装備があるからだ。『錬金術師』の装備は、見た目はかっこいいが性能がかなり微妙だった。どうやら『装備セット』、生産職の装備は性能があまりよくないってんで不評らしい。
そんなわけでメインジョブを『魔法師』にして、装備セットを開封、パカッとな。
自由都市装備セットの装備は枕詞が『自由なる〇〇の~』になる。そんなわけで魔法師装備は『自由なる魔法師の~』だ。
中身は帽子、ローブ(シャツ)、ケープ(上着)、手袋、杖、靴だ。ローブが長いのでズボンはない。ノーパン。
この世界は『ウィザード・ドレス』が男性用にも変化するように、ローブ装備も可愛く着るか、スマートに着るかはその人次第になる。
着方アレンジ自由自在、てこともないけど、多少は自分で変化をつけられるのだ。大胆なアレンジがしたいならそこは『裁縫師』のお仕事。
さておき、『魔法師』の装備は生成りのローブに臙脂色のケープ、帽子はつばなしの三角帽子、やっぱり臙脂色。ブーツは臙脂色のとんがり靴、手袋は飴色。いかにも魔法師!て感じの装備だ。
ローブがくるぶしを覆うほど長くてなんかすっころびそう。そういうのはないとわかってるけど、感覚的に。
そして単体で着るとパジャマというかネグリジェっぽい。初心者のローブもこんな感じだったな。ゆるゆるお部屋着感…。これはマイルームで着ることにしよ。
装備的にもMP+250以外には特に効果がない。ついでに防御が紙。MP増強はそれだけですでに価値が高いので、それ以外の効果がついてないことも珍しくない。ちなみにカソックも防御は紙らしいから、農家神官さんたち(特に前衛で体張ってた人々)はすごいね。
ケープは魔力(ステータス)増強と『魔力操作』にプラス効果。防御は紙。魔法師装備だから仕方ないねえ。
これもマイルームのお部屋着だな。二つセットで瞑想するときによさそう。
こうなってくるとクローゼットが欲しい。でもあれ、結構高いんだよね。
そういえばお使いクエスト進めると3セット分登録出来るクローゼットがもらえるんだっけ? お使いクエストも進めないとなあ。
あ。もうLV上がっても問題ないから各種ジョブランク上げてもいいのか。自由都市にいるうちに報告行っておこうっと。
クローゼット、普通に買うやつは20セットから登録出来る。セット数に応じてお値段いろいろ。
セット多すぎない?て思うけど、ジョブで装備変えたり、狩り場によって変えるとそのくらい平気で必要になるらしい。大変だね。セットしておくために同じ装備品を複数持ってたりも珍しくないそうな。猫などお呼びでないお金持ちの世界だ。
『自由なる魔法師の靴』も同じく魔力増強の紙装備だったが、『自由なる魔法師の手袋』は器用と魔力が上がるものだった。手袋装備は持ってなかったから、これは普通に使おう。
そして『自由なる魔法師の杖』は魔道杖。初めて入手したぞ魔道杖。『ウィザード・ロッド』は売っちゃったし。出来れば発動体指輪が欲しかったけど無理は言うまい。
オーソドックスなチャージ機能付きのようなので、普通に使ってみよ。ちなみに背の高さくらいあるので、指揮杖と違ってスリングショット持ち替えとかは無理そう。魔法しか使わないときの装備だね。
なお装備セットにアクセサリーは入ってない。鞄以外のアクセサリーは高嶺の花よ、装備LV的にもお値段的にも。いや、鞄もそう安くはないし、あんまり売ってないけど。
結局普段の装備としては手袋が増えただけで終わってしまった。
でも部屋着は手に入ったから!いいの!
そんなわけで早速、お部屋着(自由なる魔法師装備とお言い)に着替えて全快を待ち、『リターン教本』を開いてみる。
読めないので『ジュエル』を作ってレトに渡しつつ、MP450まで刻んでいく。刻んで駄目だったらレトを帰還させて再チャレンジだ。
幸いにして、レトを還すまでもなく読めるようになった。やはり500は必要だったんだな。
『リターン』は空属性魔法、帰還の導のある場所に肉体をテレポートさせる術である…。
うん……読めるんだけど、なんかすごく難解だなこれ。
ところどころ説明が飛んでいるし、初出単語が何の説明もなく進んでいく。おかげで何をしてどうなってるのかがさっぱりわからん。もしかしなくてもこれ、先にテレポートを覚えてないと覚えにくいやつ?
てことでローブからチュニックに着替えて、改めて『テレポート教本』を開く。
LVが上がったからテレポートはレト召喚してても読めるようになっている。
『テレポート』は空属性魔法、世界に打たれた存在の導を空間を歪めてずらす魔法である……。
存在の導とはGPSのことらしい。それを空間を歪めて別の位置へずらす。
はい。なるほど?
そのずらしかたについては何通りかあって、己の想像しやすいイメージで行うとよい、と。
……この魔法は魔力を拡大、縮小して使用することは出来ない。空間に干渉する魔力とは多すぎても少なすぎてもならないからだ。距離を伸ばしたり短くしたりは、己の魔力行使の方法で決まる。――
なんかややこしいこと言い出したな。
テレポートは『魔力操作』ではなく『理力』で使うらしい。空間を折り曲げて点と点を繋ぎ合わせるイメージが一般的で、これがいちばん成功しやすいそうだ。
空間を折る方向、折る深さなどから出現地点を想定しやすい。その反面、空間そのものに影響を受けやすく、空間そのものが歪んでいた場合にうまくいかないことがある。
あー。これダンジョンだとテレポートがミスりやすいってやつかな? 思った位置に出現できなくて罠にはまったりすることがあるので、緊急時以外はテレポートしない方がいいんだとか。
これを防ぐには、先に出現地点を決めてそこへ移る方法を使う。自身の存在の導を感じ、それをずらすことで移動する……。
つまりGPSを先にずらす方法。こっちは空間そのものではなく、空間が司っている位置情報に手を加える。
自分の存在位置だからこそ導を意識すれば出来るはず…みたいなことが書いてあるが、そんなんどう意識しろと言うのか。存在エネルギー?的な??
あとのひとつは補助的に『ターゲット』などの照準魔法を使って導を作ること。うむ、ちゃんと飛ぶときはこれがいちばん楽だと思う、MPは余計にかかるんだろうけど。
いうて『ターゲット』まだ覚えてないけどさ。
そんなわけで『テレポート』は覚えました。空間折り曲げ法で。感覚的には折り畳んだ空間の山を跨いで一歩進んだら、遠くの地点へ移動してる感じ。思ったより混乱もなくすんなり移動できる。
テレポートというよりめちゃくちゃジャンプ力がついたような感覚だ。ぴょんとすると超移動できる。おもしろーい!
続けて、ローブに着替えて『リターン教本』を読む。
おお、わかる、わかるぞ。
存在の導、がさっきわからなかったんだよね。別の単語が当てはまってた感じ。こういう『読めなさ』もあるな教本。渦とインパクトの関係みたいな。
ちなみに無属性魔法のいちばん簡単な魔法は『接』なのだが、これは渦を巻いてなくて面白かった。拡大すると『トランスファー』になりそうなんだけどならない、不思議な魔法だ。魔力が渦を巻かないので、丸まらずに飛んでいっちゃう、という。
各属性の最初の教本は簡単に読めるので朝の農作業の合間にチマチマ読み進めている。といってもまだ4冊。先は長い。
さて、『リターン』は存在の導を、帰還の導に重ね合わせる魔法だ。
……テレポートを覚えていれば空間を折り曲げて畳む、ということは出来るはずだが、距離が長大になるので折り畳むだけでは難しいこともある。ゆえにこの魔法は己の存在の導を感じ、それをずらす方法で行われる。――
そんなん出来んわ、と思って先送りにしたやつがすぐに追いかけてきたわあ…。
うーんうーんと考えつつ読んでいたのだけど、ピンをずらすという言葉が出てきてからはなんとなくイメージがすぐ出来た。なんてことはない、マップのピンをずらす感覚だ。
私がいる場所を把握することが存在の導を感じることならば、地図上そこに刺してあるピンをイメージすれば感じているといえるようなのだ。で、そのピンを抜いて、帰還地点へ再び刺す。
これが『リターン』である。
なるほどねー! わかってみれば実に簡単だった。そしてこれが出来ればテレポートの距離が伸びるというのも納得だ。テレポートの到着地点を視認する必要がなくなる。
今の自分の地点をコンパスの中心として、針の届く範囲内という制限はあるのだろうけど、意識してみるとそれはかなり広そうな気がする。
これなら旅路も楽々かもしれん。いや、それはそれでルイとの旅がつまらなくなっちゃうかもだが。でも廃都のひたすら街道を行くみたいな、延々と何事もない草原を眺めて行く道程は、何日も歩くとさすがに飽きちゃうし。
この調子で『ポータル』も、と思ったがそちらはレトを帰還させてもMP足らなかった。ちぇ。
ワチャワチャしてたのでなんだか久々に感じてしまう、のんびり読書…というか教本回。そしてさりげない新装備(※ただし部屋着)。
評価、ブクマ、イイネ、感想、いつもありがとうございます
昨日はあとがきの編集をうっかり忘れていました。
前書きにも書きました通り、次回更新は月曜日になります。
実はこれから月末にかけて、書く隙のない時期が1週間以上予想されます。そのため突然更新が途切れるよりは、先に少しずつ休みを挟んでおく方針としました。
今より少しスローペースになりますが、これからも猫のハッピーまったり散財ライフをよろしくお願いします。