4.のどかで何もない旅は続く
周辺の草などを採取したあとは、『ミミットポテ』の最後の1個を食べて休憩。料理は『あんまん(プキン)』と『クッキー』が少しずつ残っている。
最近はヤマビコさんが野菜買うついでにお裾分けしてくれる料理(うまい)を食べていたので、自分の作った料理が余り気味だった。今回の旅はちょうどいい消費になる。
いや、自分で作ったやつもおいしいよ? おいしいけど、人の作った飯はそもそもうまい。しかも高LV調理師のごはんだもの。そりゃ比べられませんな。
カップに淹れた『薬草茶』もこれで終わり。茶葉はまだあるし、もらった紅茶もあるけど、お湯がもうない。
畑を始めたら庭で焚き火が出来なくなったので、マイルームでお湯を沸かせなくなってしまった。地味にさみしい。お湯のためだけに総合生産施設へいくのもなんだし、かといって料理するにも、野菜ばっかりだし。
肉を手に入れねば。あと魚も。チュートリアル以来『釣り』が出来てないので、港街ポーツへ行ったらやりたい。
そりゃね、料理ギルドで家具『システムキッチン』は売ってるよ。めっっちゃ高いけど。なんだ500万zて。びっくりしたわ。荷馬車が買えちゃう。
もちろんそれ以外にも『竃』(室内に設置する場合、別途『土間』が必要)とかある。こっちはまあまあ良心的な価格だが、土間と合わせる家具なので、マイルーム1部屋使う。しかも拡張してないと入らない。料理用の工房家具シリーズと思えば、そんなもんかもしれんけど。
家具が買えない初級者のために『携帯用焜炉』などもある。道具としてはお高め。魔道具なので使用中は魔石をセットするか、MPを吸われる仕様。料理は料理で、アーツを使うのに別途MPかかったりするので、MP少ない人々は苦戦を強いられる一品。
『料理』も他の生産と同じく、生産できる施設でやれってことなんだろうね。ちなみに『調薬』も似たような感じだとか。
そんなわけでお手軽にお茶を飲むのはなかなか難しいのだ。まあ、お湯沸かすだけなら『携帯用焜炉』買えば十分なんだけど、お湯のためだけに買うのもな、でやっぱりループしている。たぶんそのうち勢いで買っちゃうなこれ…。
さて、ルイも食事を終えて少し休めたようだし、もうひと頑張りをお願いする。
目的地は街道のそばにあるという『遺跡の残骸』。そこはセーフティーエリアになっていて、雨風もしのげるらしい。フィールドの天気はそう変わらないとはいえ、ときどき大雨が降るので屋根はあると安心だ。
いざゆかん、セーフティーエリア!
結局暇を持てあまして教本を読んだ。
メールがありなら掲示板見るのも一緒じゃない?それなら教本との違いって電子書籍か物理書籍かくらいしかなくない?と思ってしまって。
ちなみに掲示板、気になるスレも特になかったし、錬金術スレはカンコだし、生活魔法に至ってはスレも立ってない。
農業スレは畑の害獣対策で盛り上がっていた。レンタル畑は屋外扱いだから、虫だけじゃなくて害獣も出るらしい。増築拡張するよりははるかに安いから仕方ないとはいえ、害獣との戦いが熾烈を極めているらしい。
害獣に徘徊ボスが出るとかで、農家専用レイド組まれてて面白いんだが。
農家は戦闘職が片手間にやってることが多い。治癒神官が多いのはもちろんだが、それ以外でも、魔法使わんかったら基本放置の生産だからね。
専業農家はオーガニック農業みたいなもので、小規模に質のいいものを出すけど、種類は多くないのであまり競合しないとか。
農家専用レイドは参加者が治癒神官だらけでアタッカーもタンクもいないと揉めてるが、豊穣神の神官はやろうと思えばタンクも出来るしアタッカーも出来るはずだ。高回復セルフヒールで死なないし、クワとかスキとか持つと害獣特効じゃん。きっとヒーラーだけでレイドもこなすのだろう。めっちゃ観たい。動画あげてくれ。
そんなわけで農家スレは面白かったんだけど、そう量があるわけでもなく、すぐ読み終わってしまった。残念~。
さて、教本。
『マジックセンス』と『トランスファー』は覚えてきたから『ロック』を読む。
魔法鍵の仕組みについて…から始まる。これは長い予感。
『生活魔法教本』は2冊とも、魔力の属性構造についての説明があり、あとは魔法式の解説と図解に終始していた。複数の魔法が入ってる本だから、内容がぎゅっとコンパクトで短かったのだ。
しかしそれ以外の教本は、まず魔法の使い道について、それから魔法式(図解)、段階的な説明とコツ、使用の際の注意点、最後に応用編、と本の内容が長い。これすべて読んで魔法式を理解したら魔法を覚える。
その間、MPを一定に保たないといけないのだから、教本を覚えるのはLV帯で段階的に、がよいのだろう。減らして服毒して読むのは裏技だし、現実的じゃない。
NPCは教本学習が当たり前みたいだから、もしかして、MPを減らして一定に保つ方法があるのではなかろうか? 受付さんに聞いてくればよかったな。
瞑想とか、魔力をこう、一定の量を放出して回すようなやつがあったりしそう。チャクラ?みたいなやつ。魔法的な修行。ありそうよね。
…ええと、魔法鍵は開閉が可能なアイテムに付与する魔法。蝶番と相性がいい。物理的な鍵と違って魔法は一種類しかないから、他の人がアンロック使ったら開いちゃう。だから開けられないように、暗号とセットにする。暗号ロックは魔法師の嗜み。昔の魔法師はこれで遺産を隠し、宝探しのように弟子に託したりした…。
こういう宝探し謎ときは問題そのものが間違ってて解けないパターンもあるって、本になかったっけ?
『たからさがしなぞなぞ』ていうレトが読んでた絵本だったと思ったけど。最後の問題が全然わからなくて答えを見たら、『この問題は解けません』てあって卓袱台(概念)返しそうになったやつ。
それは『宝探しには、このように問題そのものが間違っていて解けないものも数多くあります。どうしても解けないときには、問題の前提を疑ってみることも必要です』とか解説があったんだよ。そんなことある?てなったけど、この教本みてると母数が多そうだし、そういうのも普通にありそうね。
ロックの魔法はアンロックでしか解錠出来ず、上書きが出来ない。本人であっても暗号ロックを忘れると開けられなくなる。無理矢理解錠するには『ディスペル』か『ブレイクマジック』を使用すること。その際、鍵を付与したアイテムは破壊される。これを利用して本そのものにロックを施し、謎を解けぬものに知恵を与えぬようにしたものも多く存在する…。
『ディスペル』は聖属性魔法、というか神官共通の魔法にあったはず。呪いを解く魔法。
『ブレイクマジック』は聞いたことないけど、響きからしてたぶん無属性だろうな。
無属性魔法はやはり、第三エディションから追加された要素なんかな? それにしては錬金術が無属性推しだし、前からそれを前提にしてそうな魔法があるのは気になる。
『生活魔法』以外の方法で手に入れることが出来たけど、獲得者が少なすぎて話題にならなかったとか、そういうのかね?
獲得した人が黙っていれば、何もわからないのがこのゲームだ。
猫も生活魔法とか教本の覚え方とか、掲示板に載せてないし。いずれ生活魔法を初期取得してきた人が気づいて書き込むだろう、と思っていたけど、音沙汰がない。三ヶ月くらい経って誰も書き込まないようなら、生活魔法スレでも立てようかな…と思ってはいる。思っては。錬金術に便利って話もあるし、時間の問題と思うけど。
猫は出来ればROM専でいたいにゃん。
さて、『ロック』を覚えたぞ。MPが合致してさえいれば、教本学習は難しくない。
ぽくぽくと歩きつつ、『ジュエル』の習熟度稼ぎをしている内に、昼下がりには今日の野営予定地に到着。遺跡の残骸だ。
「お疲れさまルイ~~」
浄水の樽を出して飲ませてやり(ルイはすっかり贅沢を覚えて浄水しか飲まなくなってしまった)、ブラシをかけ、黄キャロをあげて労う。
その間、レトにもじっとしてたご褒美として『畑ホッパー』をあげて、半径30mの放し飼い。
周辺を軽くチェック。特に何事もなく。人影もなく、静かなものだ。
今日はマイルームに戻らず、ここでテントをはって過ごすつもり。
そのために畑の作物は『白ラコラ』だけにしてある。樽に浄水を入れて用意しておいたので、自分で水浴びなり撒くなりするはずだ。奴らは成長が遅いので、一日くらい放置しても何の問題もない。害虫とも戦えるし。
ベランダハーブ農園の方は昨日のうちにすべて収穫してしまって、いったんお休みにしている。そうじゃないと気になっちゃうからね。護衛『白ラコラ』は植木鉢ごと庭に移動した。みんなと仲良くするんだぞ…。
さて、先にテント張っちゃうかな。この辺のゴロゴロしてる石は採取してしまおう。
遺跡の残骸は石壁や柱の名残だけが残る場所だ。少しだけ石畳のようなものも見えるが、ほとんど草原に呑まれている。
石壁も蔦が蔓延り、柱のそばには大きな木もあり、おそらく長い時間をかけて緑がすべてを侵食してきたのだろう。そんな雰囲気。
あ、そういえばこの蔦、採取出来るんだっけ? なんかドルイド装備の材料になるとかなんとか。採取ポイントにはなってないからすっかり忘れてたわ。
早速ドルイドナイフを持ち出して、蔦を採取していく。蔦は繊維とかロープとかにするものが多いから、なるべく長さを取るように切ったらよかったはず。意外と絡まってて大変。
『ヤノ蔦』と『ヤドリギ』が採取できた。
『ヤノ蔦』は天然のロープで、ただ結ぶだけでロープとして使える。もちろん加工すれば丈夫なロープを作ることも出来る。とりあえずロープっぽいものってひとつも持ってなかったので、これはインベントリに入れておこう。何かに使えるかもしれない。
『ヤドリギ』はドルイド装備の材料になる素材。これから染料と糸を作って編んだり織ったり染めたりして作るらしい。大変だなあ。しかも確率採取なので採れる量はほんの少し。
『ヤドリギ』100本とその他材料を集めれば、技術の街アルテザのNPCがドルイド装備を作ってくれるらしい。生産プレイヤーよりはるかに材料が多くかかるけど、当時はそっちを頼る人の方が圧倒的に多かったそうな。まあ『裁縫師』の人数とかLVの問題とか、いろいろあったんだろうねえ。
さてテントの準備は出来た。
うーん、まだしばらく明るいようだし、ちょっと狩りに行ってくるかな? ミミット10匹のクエストもあることだしね。
猫は『ロック』を覚えた!
旅をしているはずなのに、マイルームと同じ過ごし方をしている猫であった…。安全って、暇ってことなのさ。
しかし暇でばかりもいられないのが旅というもの。
猫が読んでいる農家スレは、幕間のスレではなくその次スレ。前スレまで遡ってはいないので、畑レイドが起きる経緯までは把握していない。
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