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ブレーメンの錬金術師は散財したい  作者: 初鹿余フツカ
1章 初心者猫はお金が欲しい
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幕間:お使いクエストと狩猟祭・中

「ありがとうにゃん~! 『塩漬け肉』は売ってなかったから助かったにゃん」

「イベント前だから余計品薄だったんだろうね~、猫ちゃんはイベントチェックしてなかったの?」

「したにゃん。でも猫は無益な努力はしない主義にゃん~」

「ランちゃん、売買と食事で100pt以上稼ぐのは無理って思ったんだって」


 だって『料理』は3個も食べれば満腹になるものだ。そして空腹度の減りはゆるやか。スタミナ減るタイプのスキルやアーツ持ってない。

 そもそも妖精族は燃費がいい。特に小型種族はその傾向が強い。というわけで私はハイブリット燃費いい猫なのだ。大食いには向いてない。


「あ~~そういうことね。もし食事で稼ぐならジャーキー系がオススメよ。高いけど」

「ポイントを金で買うやつな」


 ジャーキーなど干し肉系は要求『料理』LVが高く、更に材料も多く必要になる。しかし空腹度の回復が少なめで、量を食べられるらしい。なので食事ポイントが稼げるアイテムなのだとか。ちなみにこれは『保存食』枠なので持ち越せるが、持ち越す人はまずいないらしい。それはそう。

 みんないろいろ考えるなあ。


 ちなみに『料理(焼く)』は焚き火調理でも比較的簡単にラーニング出来るので、狩り場でも荷車に乗り切らない肉などを思い思いに焼いて食べたりしているそうな。

 1zトレードでも売買ポイントが稼げるから、生肉トレード→焼く→焼き肉トレード→食べる、とくるくる回してポイントを稼ぐ方法などもあるとか。肉ロンダリング。


「猫はポイントよりお金が欲しいにゃんね~」

「たしかにランに有用なアイテムは、自力で稼げそうな範囲にはないっぽいな」

「狩猟祭は投擲とか弓が有利だからか、その辺は必要ポイントが高めなんだよねえ」


 エドさんとポユズさんは投擲や弓関連景品は事前にチェック済なのかうなずいている。

 猫も公式発表が出たときには一通り確認したのよ。大分前に発表あったから忘れてただけで、ちゃんとチェック自体はしました。

 イベント名が狩猟祭だからか、錬金術や農業に関連がありそうなアイテムはなかったんだよね。料理関係は結構いろいろあったけど、一番欲しい調理用コンロは1000ptとお高かった。『料理』有利だから高いのか? と思ったら、時短の特殊効果付きみたい。なるほどねえ。

 あとは強いていえば『お手伝い妖精』といわれる、各種生産スキル持ちの召喚妖精は気になったかな。しかし5000ptから。初心者には絶対無理なやつ。


「金銭的な話なら、商業ギルドに『塩漬け肉』卸すのがやっぱり安定かねえ。ポイントは渋いけど。あ、商業ギルドで『塩』買ったなら2個は卸しといた方が無難よ~」

「了解にゃん~!」


 商業ギルドというか『交易』は縁がものをいうスキルだ。その辺、ちゃんと返しておかないと何らかのかたちで返ってきそう。でも無難ってことは別にペナルティがあるわけじゃなさそう? 好感度的なものだろうか。


「そういえば『塩漬け肉』はなんで月末にならないと出てこないにゃん?」

「なんやラン、知らんかったんか。毎月29日は肉の日なんやで?」

「にゃん???」


 スーパーかフライドチキンの話?


「狩猟祭の肉三昧が忘れられなかった有志プレイヤーが、露店通りで『29日は肉の日!!』て始めたのがきっかけらしいな」

「今ではなぜかNPCも参加して月末のお肉市が定番化しちゃったのよ」


 なんとプレイヤー主催の肉祭が毎月あるのか。全然知らなかったなあ、て考えたら、猫はまだ始めて1ヶ月も経ってないのだった。

 わあ、時間が過ぎるのが早いような、遅いような。あっという間の気もするし、もうずっと遊んでるような気もする。すでに生活の一部だな…。


 ヤマビコさんいわく、月末の肉祭で山ほど生肉が出回るので『塩漬け肉』も作って売る、という流れになってるらしい。公式イベントではないから生肉もインベントリに入るし腐ったりしないのだが、それはそれ、これはこれ。

 『塩漬け肉』はお使いクエストの要求アイテムでもあるので、有志が肉祭ついでにマケボにも流しているが、売切での補充はされない。『塩漬け肉』から作る『ポトフ』系の料理はバフ飯として優秀で、その方面でも人気があるアイテムなんだって。だから特に転売とかもなく消費されていき、月始にはマケボからは消えている…という状態らしい。


「ちなみに毎月7日8日は薬草の日だよ」

「…!!??」

「そうそう、もし猫ちゃんが薬草売るなら、その近辺はマケボも避けた方がいいよ~、といっても今月はもう過ぎちゃったけども」


 ポユズさんにフーテンさんが補足して、忠告が遅くてごめんね~と言ったが、猫はマケボに薬草を置いていないので問題ない。マケボ、まだ3枠だから置くとこないし。


「せや、今日は生産施設までいかんでも、『調理場』て看板出てるところはインスタンスでキッチンになってんで。あちこちにあるから、ランもそこ使い」

「にゃん~! 助かるにゃん!」


 おお、それなら料理して露店するのもそこまで大変ではないのかもしれない。これは途中で情報収集を投げ出した猫の失敗だったな。

 まったく参加できない、しても無意味、てことがないようになってるもんだなあ。出来そうにないイベントも、ちゃんと調べないとダメだね。


 お肉の受け渡しを終えたら、ヤマビコさんは『料理』、他の4人でまた狩りへと旅立つようだ。タンクいないけどいいんだろうか?と思ったらその辺の野良タンクをスカウトしたり、フレを呼んだり、レイドに紛れたりするからいいんだって。

 固定と思いきやわりとフレキシブルなのね。

 猫はLV帯も合わないので、その場でお別れだ。


「それじゃあランちゃんも、よい狩猟祭を!」

「ありがとにゃん~! リーにゃんたちもよい狩猟祭を!」




 さて、猫は適当な『調理場』スポットに飛び込んで『塩漬け肉』の作成にかかる。

 これ、とても楽なレシピだった。めちゃくちゃ猫向け。『生肉』の上に『塩』をドサッとしてムギュッとしたら完成。え、ほんとに??て思ったけど本当にこれだけだった。

 そういえばヤマビコさんがたまにレシピが雑になるって言ってたっけな…。でもこういうレシピは大歓迎よ。楽ちん。

 そんなわけでドサッとムギュッと『塩漬け肉』8個はすぐ完成した。やったぜ。

 ちなみに後で聞いたらこれは狩猟祭仕様で、通常の塩漬け肉はもっと手順がいるんだそうな。猫向きと思ったのに残念。


 サクサク『塩漬け肉』が出来上がったので、とりあえずは商業ギルドへ義理を果たしにいく。

 渋ーい顔してた受付青年が『塩漬け肉』3個でニッコリ笑顔になるなら納品の甲斐もあるというもの。

 …これ、納品しなかったらずっと渋顔対応なのだろうか。逆に気になってしまうな…。やらんけど。

 商業ギルドへの納品はイベントポイント3pt。そして『塩』買った分のお金は余裕で戻ってきた。『塩』を買っておけって情報くれた二人には感謝だ。


 残りの『塩漬け肉』5個のうち、1個はお使いイベントで納品するとして、あと4個はどうしよう。

 いろいろなところへ納品出来るっていうし、猫のNPC知り合いを回ってみようかな?


 まずはうっかり目的を忘れて肉を使いきらないように、先にお使いクエストの納品を済ませておこう。

 そうと決まればルイに乗って鳩ポッポ商店街へ移動。ちなみにレトは肉には興味ないようで、ルイの頭の上で船を漕いでいる。マルモは雑食だけど、餓えない限り獣の肉は食べないらしいからなあ。


 商店街へ到着。ギルド前通りだけが肉露店かと思ったら、こっちでも幟が立って肉露店や屋台がひしめいてる。あ、でもこっちの店はNPCだけっぽい。

 相変わらず串焼きのおじちゃんの屋台は混んでるな、と横目に眺めつつ、奥の通りの料理屋へ。


 料理屋のクエストは「明日の仕込みに使う『塩漬け肉』をうっかり切らしてしまったので買ってきてほしい」だ。

 いったいいつまで切らしているのかなんて、野暮なことを聞いてはいけない。プレイヤーが来なければNPCのアシストが入り、店はちゃんと営業されている。

 ちなみに納品すると店主のうっかりは治るそうな。1ヶ月近くうっかりさせててすまんな…と思いつつそっと納品。


 マレビトが増えたから料理屋も繁盛、でも仕込みが読めないことも増えてきた。また頼むことがあるかもしれないけどよろしくね、肉を狩るなら南平原が安全でおすすめ、北はポルクスが出るよ、という話を聞く。

 この辺は10LVくらいで通るはずだったルートだから情報がその辺のLV向けだ。

 経験値を少々と、お駄賃程度のお金、それからイベントポイントを10ptもらった。おや、これは儲けたな。

 次のお使いクエストは、明日の仕込みを始めて手が離せなくなる店主に変わって、お隣に回覧板を届けにいくこと。納品アイテムもないしすぐ終わりそうだから受けておくか。ほんとにお使いだなあ。


 たーのもーとお隣に行ったら、こちらも料理屋だった。

 回覧板を届け、近頃北平原ではミミットが減っているみたい、ポルクス以外にももしかしたら理由があるのかも?な話を聞く。

 これはメインクエストであったらしい『ミミット大行進』のイベントを踏襲した流れだ。ここからミミット博士(?)に話を聞きに行き、北で異界の扉が開きかけて魔物氾濫が起きたという話を聞きに行くそうな。攻略サイトと掲示板で予習済みです。

 ミミット博士は鳩ポッポ商店街ではなくて、自由都市内にある合同神殿にいるから遠いし、今日の分のお使いクエストはこれで終了とします。

 なにせ博士に話を聞いたあとは外に出て、ミミットを10匹倒しにいかないといけない。イベント中はミミットが激減してるらしいからそこで止まってしまうし、続きはまた今度!


 お店を出ようとしたら、『塩漬け肉』を持っていないかと聞かれたので、ここでも卸す。イベントポイント10pt。まいどありにゃ~ん。

 街中で卸すと商業ギルドと違ってポイントしかもらえないようだ。なるほど、ギルドのが金銭的にはお得なわけね。


 本日の予定を終えたので、後はブラブラする。

 まずはいつも通りに野菜売りのおばちゃんに会いに行く。今日も豊作すぎちゃった最低品質お野菜があったので買う。ちなみに本日は『黄キャロ』。


「おかげさまで在庫が片づいたよ! これで『塩漬け肉』をたくさん村に買って帰れる。ありがとうね!」

「『塩漬け肉』買って帰るにゃん?」

「そりゃせっかくの狩猟祭だもの。いいお肉がたくさんだろう? 買って帰らなきゃ損だよ!」

「にゃん~、猫も買ったお肉で『塩漬け肉』作ったにゃんよ~!」

「おやおや、いいねえ! 何のお肉で作ったんだい?」

「メガトンブルにゃんね、北平原にいたらしいにゃあ」

「おやまあ、そいつはいい肉だね! よければちょっと分けてくれないかい?」


 おお、『塩漬け肉』を渡せる選択肢が出た。 早速1個あげると、おばちゃんは嬉しそうにお代を支払ってくれた。なお10pt、料理屋と同じ。NPCへのお渡しは10pt固定なのかもね。


「ありがとうねえ、村にいい土産が出来たよ! それにしてもメガトンブルが北上するなんて、ドゥルダタンバンバが巣を発ったのかねえ」

「ドゥル……なんて?」

「ドゥルダタンバンバだよ。こーんな大きな鳥でねえ」


 おばちゃんが両手を広げて身振り手振りで教えてくれる。

 ドゥルダタンバンバは超でっかい鳥で、牛を鉤爪で引っ掻けて持っていく。ロック鳥か?

 巣立ちの頃はまだ小さいが、それでもでかい鳥なので、メガトンブルが追いたてられて北上してくることがあるそうだ。


 うーん、イベント用のストーリーかな?

 イベントボス的な??



狩猟祭が3日間で終わるのは「フィールドのモンスターやBOSSが大規模に入れ替わってしまう」という特殊性から。

他イベントのときは1週間~10日ほど期間がある。

たまに狩猟祭のような短期イベントがあり、平日休みの人が泣く。頻度はかなり劣るとはいえ、平日中心の短期イベントもあることはあるよ。


猫はエンジョイ勢なのでイベントもエンジョイする所存、ではあるが、内容と報酬の両方ともに興味を持てない場合はスルーしがち。やるからにはやっぱり報酬は必要にゃん?



評価、ブクマ、イイネ、感想、誤字報告ありがとうございます。

変換ミスがまだまだポロポロあるようで、指摘ありがたや~。

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