2.自由都市マケット
さて、チュートリアルを終えたところでこのゲームのプレイヤー設定のおさらいだ。
プレイヤーたちはマレビトとよばれる、異世界からの旅人だ。
女神に導かれて……とかいうことはなく、なんとなく世界へ迷いこんだ。この世界ではよくあることらしい。
第三エディションから参加するマレビトたちは、メインストーリーで各地に生じた『世界の歪み』から現れたことになっている。そのため、『世界の歪み』が近くにある『自由都市マケット』『学園都市アルカディア』『廃都ルイネ』の三つから初期スポーン地点を選択できる。
ちなみに第一では廃都のみ、第二では自由都市、第三で学園都市が増えたそうな。
それぞれのスポーン地点によってお使いクエストも変わってくる。
きっちりメインストーリーの流れを追いたいなら廃都から、移動距離少なめでさっさと済ませたいなら自由都市、まだ情報が集まってないので手探りしたいなら学園都市、といった具合。
ちなみに過ぎたメインストーリーについては、話を聞いたり、石碑とかを読んで起きたことを知るだけだ。移動の途中にボスは出るけど、倒さなくても次の街へ行けるし、ついでに言えばそのボスに十分勝てるだけのLVに上がる経験値がお使いクエストで事前にもらえるという接待仕様となっている。
私はメインストーリーはなんとなく流れがわかる程度に攻略サイトで調べてある。あんまり「全部手探り、知らないのが楽しい!」ていうタイプではないもんで。
なのでルートとしては、さくさくお使いクエストを終わらせてから、各街回って流れをきっちり履修、の予定。
最初は廃都スタートと考えていたんだけど、戦い前提になるのでこのステータスでは不安。
そんなわけで私は『自由都市マケット』から始めることにしたのだ。
はい。
チュートリアルも無事終えたことだし、予定通りにお使いクエストの最初のを受けよう。
『薬草を譲ってほしい』という酒場のおっちゃんからの依頼で、これがチェーンしていき、お金と経験値が稼げてメインストーリーの流れが追える寸法だ。
おっちゃんに『薬草』を1つ譲って、お金と経験値をもらう。するとおっちゃんは「最近はマレビトがたくさん来たからポーションが品薄になって…」などと話し始める。そこで『薬屋に薬草を卸す』クエストが発生する。
薬屋へ行くまでの道に商業ギルドがあったのでジョブを登録。『見習い商人』になった。
このように所持しているスキルのジョブに就き、増やしていくのがこのゲームの基本である。
商人も冒険者ギルドのような仕入依頼があるが、それ以外にも『商売実績』という項目があり、こちらは商いを通じてやり取りした金額や商品数、商品のレア度など、実績目標が設定されており、それが達成されるとポイントが入る形式らしい。
冒険者ギルド以外はこの実績評価形式でジョブランクが上がるものが多いのだとか。
早速、サブジョブに『見習い商人』をセット。
『おめでとうございます。初めてサブジョブに就きました。SP10とプレゼントボックスを入手しました』
はい。
SPの大盤振舞だが、これは過去の限定イベントとかで配られたSPを配布する形で、後続が追いつくための配慮らしい。後続は後続で人柱とか少ないし、楽になってる分、配布されるのは7割くらいらしいけどね。
元々最初は初期5スキルだったのが7スキルになって更に種族スキルも最初からつくようになって(以前は種族の里に行くまで種族スキルは手に入らなかったそうな)、かなり初心者優遇になっているようだ。外部の掲示板でも『温すぎ』 『序盤育成がめちゃくちゃつまらなくなった』と嘆いている人も結構いた。
でもゲームって最初にやったときはすごい苦労したのに、2周目になると「なんであんなに苦労したんだろ?」てくらいさくさく行くじゃない? 思い出補正ってあるよね。だから下駄を履かせてもらっても、苦労が楽しい場所がなくなるわけではない、と思う。比べるものでもないけども。
ついでに道なりにテイマーギルド、錬金術ギルド、農業ギルド、と登録していく。
いろいろ気になるものもあったけど、今は自由都市で出来るお使いクエストを進めるのを優先だ。
ポコポコとロバのルイと共に街を駆けずり回り、ついでに受けられる別のお使いクエストなども物色しつつ、15個ほどチェーンした。
種族LVは9まで上がった。ちなみにジョブはレベルではなくランクなので、経験値ではなくクエスト報告であがる。それでもときどきお使いが冒険者ギルドを経由するので、見習いが取れてランク2の『冒険者』になった。サブジョブは見習いのままだが。
『おめでとうございます。初めて見習いを卒業しました。SP10とプレゼントボックスを入手しました』
わあ。
SP40になってしまった。
ポコポコ話が進むしLVも上がるので楽だが、お使いだけあって移動距離がそこそこある。ちょっと疲れたので、もう休憩したい。
『プレゼントボックス』も5つ手に入ったから全部で22個、一度マイルームに入ってボックス開封したり、スキル見たりしようっと。
マイルームに入るには『不思議な鍵』を使用するだけだ。鍵を振ると、取り付けられた鈴がちりりんと呼び鈴のように鳴って、ドアが現れる。その鍵穴に鍵を差したら中へ入れる仕様。
マイルームに入る前にロバのルイは一旦送還。この送還って、マイルームに帰っているのではなく、どこか謎の空間にある牧場に帰っているらしい。場所が整えば送還場所としてマイルームも指定できるようになるようだが、今は無理。
さて愛しのマイルームだが、なんとも殺風景な四畳半だ。あるものは木造の床と壁だけ。ひたすらシンプル、家具も飾りもない。狭いなあ。
さて、まずはお使いの報酬でもらった家具でも設置するか。さすがにここにぽつねんと座るのは寂しすぎるもんね。
もらったのは『窓枠』『机』『椅子』『棚』の4つなので、ぱっぱと出して設置。自分で持ち上げたりせずともAR表示のように現れて決定すればそこに出現するので簡単。現実の模様替えもこうなってくれ。
設置した『窓枠』に触れると、外に映る景色を選択できる。景色は今のところ『自由都市』か『何処でもない場所』のふたつ。
行った都市や場所が増えたり、マイルームが拡張されて庭を作ったりするとそこを映したり出来るようになるようだ。
『何処でもない場所』は虹色空間でやべえので『自由都市』にしておいた。3階くらいからの景色らしく、そこそこ見晴らしがよいし、街並みも綺麗。窓を開けることが出来ないのが残念だ。
机の上に『錬金釜』、棚の上に『植木鉢』を置くともう既に圧迫感がある。めっちゃ狭い。
これ何処で寝るんだ…。先にベッドを置くべきだったのでは?
時間経過で植物が育つ『植木鉢』には何か植えておこうと思ったが、肝心の土がない。農業ギルドで買っておけばよかった。買い物メモに書いておこう。
チュートリアルや都市に来る前に採取した『薬草』類はお使いクエストで使いきったし、鉄や木は錬金術するより売る方がいい。魚は焼きたいが料理のためのアイテムを持ってないので、入手せねばマイルームでの調理は出来ない。
一瞬、猫だし生でもいけるのでは?と思ったが、川魚の生食はたとえゲームでも気が進まない。まだ満腹度に余裕あるし、『串焼き』もあるし。生食は最後の手段よ。
チュートリアルで作った『雑草玉』はあと3個。『投石玉』『薬草玉』は3個ずつある。それから農業で取った『毒草(根付き)』と『ヒールミニトマト』。『毒草(根付き)』はこのまま土に入れたら育たないかなーなどと期待している。
よし、荷物の確認も済んだし、あとは『プレゼントボックス』を開封しちゃお。
内訳はランダムプレゼントボックスというガチャ箱が17個、中身の分かってるプレゼントボックスが5個。
中身の分かるものは、
『初心者ポーション詰め合わせ』
『初心者応援アイテム詰め合わせ』
『第三エディション購入サンクスキャンペーンアイテム詰め合わせ』
『第二エディション発売サンクスキャンペーンアイテム詰め合わせ』
『サービス開始サンクスキャンペーンアイテム詰め合わせ』
…となっている。
これらは『詰め合わせ』と書いてある通り、開けるとアイテム欄が溢れるので、マイルーム以外で開けると危険らしい。
マイルームで『棚』を設置するとその家具サイズに応じて収納が広がり、アイテムを納めるスペースが増える。これを利用して一室倉庫にするというのもスタンダードらしい。
目の前にあるこの『棚』は30枠×999個入るので安心だ。
まずは初心者系ボックスをパカパカ。
ポーション詰め合わせは『初心者ポーション』という重量は軽いが回復量は普通の下級ポーションと同じだけあり、LV20以下しか使えないポーションが30個。
同じく『初心者魔力ポーション』と『初心者スタミナポーション』、それから『初心者状態異常回復薬』がそれぞれ30個入っていた。
あとなぜか薬草も30個。これで作れということか?
応援アイテム詰め合わせは、『初心者ポーション』と『初心者魔力ポーション』が30個ずつ、それから初心者装備引換券が3枚、家具引換券が2枚、携帯食糧30個、5000z。
初心者ポーションが大量だ。
このままお使いクエストすると、ポーション使わないままLV20越えてしまうことになる。何処かで戦闘したり、MPやスタミナを使いまくったりするべきか。
ひとまず『初心者装備引換券』……つまりは装備ガチャ券、これも3枚さくさくと使っちゃう。
ナイフ、ベスト(青)、帽子。奇跡的にかぶりがない。それぞれ装備。
それから『家具引換券』2枚も使用。
『玄関マット』『サイドテーブル』と微妙。前者はギリ引けるが、後者は部屋を拡張するまで置くところがなさそう。
ちなみにアイテム30個が多いのは、初期インベントリには30個×50枠制限があるせいだろう。
LV20に上がるとインベントリ制限は取れて、いくつでも持てるようになる。重量制限内ならね。
なお『運搬』持ちの私は既に50個入る。
チュートリアルでもらった『初心者背負い袋』は、装備時にインベントリを拡張するアクセサリー『鞄』だ。『運搬』はいうなれば、この鞄の効果を拡張するスキルなのである。
『初心者背負い袋』は1枠につき+10個入る効果、さらに『運搬』スキルの効果で+10個となり、1種類50個持てる。ちなみに同一アイテムが50を越えた場合は枠をまたぐ。たとえば99だったら、50個の枠と49個の枠に別れるといった具合。
なお初期インベントリの重量制限は1000(+筋力によって加算)。こちらも『運搬』で+500されてる。
『運搬』っていいスキルでしょ? でもインベントリにいくつでも入るようになる種族LV20からはかなり色褪せるスキルなので、実は人気がない。
しかし荷運び用の従魔がいる場合は必須スキルなのよ。
さて、お次はサンクスキャンペーンシリーズを開けていく。これは下から開けた方がいいかな?
『サービス開始』はポーション類、初心者装備引換券が3枚、3000z。
ラインナップが被ってるなー。
強いて言えばポーション類が初心者シリーズではなくただの『下級ポーション』なのが救いか。こちらは魔力ポーションはあるが、スタミナポーションはなし。状態異常回復薬もなしだった。
『第二エディション』は初心者ポーション類、家具引換券5枚、家具『ベッド』、家具『青空の壁紙』、マイルーム拡張券2枚、自由都市装備セット、1万z。
初心者ポーション類は盛大に溢れるが、なかなか素敵なラインナップ。特にマイルーム拡張券とベッドはうれしい。
早速拡張券を使用すると、四畳半が六畳間になった。
拡張の幅が、狭い…ッ!
まあベッドとサイドテーブルは置けるけども!
ちなみに拡張券3枚で次の拡張が出来るようだ。または、3万zで工事可能。1枚1万z分?
広くなった部分に早速『ベッド』を置く。これで睡眠もバッチリだ。
マイルームに寝具を置いてちゃんと寝ると『ぐっすりバフ』と呼ばれる一定時間幸運値上昇がかかるらしい。レアに遭いやすくなったり、生産の成功確率が上がったりする。
自由都市装備セットは、自由都市で入手できる冒険者装備をイメージした装備セットらしい。
もちろん初心者装備より性能がいい、が、LV20からしか装備出来ない。残念。
装備セットはメインジョブに影響して性能や見た目が変わるらしい。見本が公式サイトにあったけど、結構いろいろあって、同じ『装備セット』から出たアイテムでもかなり趣が違う。差し色が赤で統一されてるのが特徴かな。何のジョブで開けよう、楽しみだ。
お待ちかねの『第三エディション』は、初心者ポーション類、マイルーム増築券2枚、マイルーム拡張券5枚、家具引換券5枚、学園都市装備セット、スキル引換券3枚、ランダムプレゼントボックス(R以上確定)5個、3万z。
やはり購入特典だけあって、かなり豪華。
学園都市装備セットもLV20からの装備。これは学園都市の制服をイメージした装備となっている。ジョブ毎の性能、見た目変化ももちろんあるけど、こちらは全体として制服っぽさを逸脱しないので、なんだかお揃い感がある。ベースカラーは紺で、銀の差し色。
スキル引換券はスキルガチャだ。習得SP無しでスキルを覚えられるスキルオーブが入手できる。オーブは譲渡不可。魔法系スキルが人気だ、使用SPが大きいから。
スキルに困ってないし、スキルガチャはまだいいや。
お次はランダムプレゼントボックス(N)をまず10個パカパカする。
こういうのは10連とか20連でやるのがいいのだ。なので6個は取っておいてまた今度にします。
N箱は最大でもSRまでしか出ない、SRも確率が激渋で都市伝説レベル、Rが出ればやったねって感じの箱である。その代わり、クエスト報酬とかでもポコポコ手に入る。
Rでもマイルーム拡張券とか書いてあるので、まあそこまでダメな箱ではない。雑草とかも出るらしいが。
『毒草』『雑草』『薬草』『薬草』『薬草』……草しか出ないのか??
『上級ポーション』、Rだけど別にいらないやつ。
『毒草』『毒草』『鉄のナイフ』『料理鍋』、以上。
かなり微妙。
まあN箱なんてこんなものよ。
『初心者ナイフ』が使う前にお役御免となり、『鉄のナイフ』に変更。壊れたときの予備として『初心者ナイフ』も持っておくけど。
『料理鍋』はあってもコンロがないので料理は出来ない。
よし、増築も出来るし拡張も出来るし、家具引換券こと家具ガチャも10連回すか!
そーれパカパカ。
『サイドチェスト』『素敵な出窓(R)』『ガーデンベンチ』『柵(5×2)』『オシャレな花瓶』
『観葉植物(蔦)』『大きな箪笥(R)』『鎧甲冑(R)』『くまのぬいぐるみ』『レースのカーテン』
鎧甲冑……。お屋敷に飾ってあるやつだ…これはいらんなあ。
いらない家具の販売とかは出来るんだろうか? 後で調べておこう。
『サイドチェスト』と『大きな箪笥』が倉庫代わりになるのでうれしい、と思ったが、『大きな箪笥』はマジで大きくて部屋に入らなかった。ベッドと箪笥しか置けなくなってしまう。とりあえず箪笥はまだいいや。
『サイドテーブル』はしまって、『サイドチェスト』を代わりに置く。これで+20枠、倉庫が確保できた。
『窓枠』を『素敵な出窓』に変えてみると、白い繊細な装飾の出窓になり、外の風景が海に代わる。出窓大きいから部屋の雰囲気も変わっていいね。
レースのカーテンを掛けるとなんだかホテルの窓際のようだ。
サイドチェストの上に置かれていた植木鉢を出窓に置き、『オシャレな花瓶』も置いてみる。
花瓶は青いガラスで出来たシンプルな花瓶で、オシャ…レ…? 『青い花瓶』じゃダメだったのか? 花はささってなかったのでいずれは育てた花でも飾ろう。
観葉植物は意外とデカイ鉢だったが、机の横にギリギリ置けた。蔦って言うからアイビーのようなものを想像していたのだが、どちらかというとポトスっぽい。ポトスのでかい木、あの感じ。
しかしここだと光が当たらないだろうか? そういうの気にしなくてもいいのかどうか、ちょっと悩む。
こっちの壁にも窓枠をつければ光が差すか? やってみたがいまいちだったので、とりあえず『光源』を上に浮かべて置いた。あまり明るくはないが3時間持つらしいので、5つほど浮かべておけば光合成出来るのでは。『流水』でしっかり水やりをして、あと『微風』も当てておくか。
フェイクプランツだったら意味ないなと思ったが、『農業』LVが上がったので、本物だったようだ。そして植物を育てるものはまるっと『農業』に入るっぽい。大きく育てよー。
拡張券あるからこの部屋を拡張するか、増築して新しい部屋を拡張するか悩む。
新しい部屋は畑にしようか、倉庫にしようかも悩む。
マイルームの増築は10万zとそこそこお高い。最初の一室がこの価格で、2部屋目は30万、3部屋目からは50万となっている。
なお増築券は1枚10万z分として使える。太っ腹。
よし。
増築はいずれ結局するし、今してしまおう!
241106 プロローグをいれるため改稿(3話まで)