22.神官猫の店~錬金アイテム専門店~
ルイネで巡礼を終えたあと、このために取っておいたSP20を使用して『光属性魔法』を取得。ポーツへ向かって、運送神様の神像にお祈り。無事に運送神の神官のジョブを賜った。
神官になるっていうんだからエフェクトキラキラ~てしたり荘厳な感じの何かが起こるんだろうな~と期待してたのに、そういった儀式的なものはめちゃくちゃあっさりで、さくっと神官になれてしまって拍子抜けではあった。
なお神官になったときの運送神さまからのお言葉は『我が手となり足となり、ありとあらゆるものを運べ』でした。神の下僕感。
神官装備として神殿でカソックをもらったら、あっという間に猫神官の誕生だ。
これで猫も運送神の特殊神聖魔法『キャリッジ』や『チャリオット』が使えるようになったわけだ。あと神官にお馴染み『ターンアンデッド』も。ちなみに神官になった瞬間から増えました。
神官LVが上がると専用神聖魔法を覚えるらしいので、楽しみ。なお神官LVは教義にあることを行うと上がる。つまり猫は運送してると上がるっぽい。もちろん『運搬』スキルと連動する。猫としてはこれまで通りでLVが上がるのでお得感がある。
特殊神聖魔法『キャリッジ』は積載量が多ければ多いほど移動速度が上がる魔法。以前、運送神官のジェノンさんにかけてもらった魔法だ。猫のLVだとまだひとり用だが、従魔は関係なくプレイヤー単位でかかるので猫PT全体の移動速度向上が見込める。猫はルイやリカなしでは足が遅いのでありがたい。
いずれはジェノンさんのように超スピード出して魔物を撥ね飛ばしたりもしてみたい。まずはLV上げだな!
『チャリオット』は4頭だての馬車が出現して、敵に積載量に応じた大ダメージを与える魔法。積載量はPTもしくは『キャリッジ』の対象者依存だそう。クールタイムは5分、連発は出来ないけどそこそこ使い勝手のいい魔法みたいだ。
前に見たときはメタリック星が出るほどのダメージだったので、猫の奥の手になるといいな。期待している。
『ターンアンデッド』は不死属性をもつmobを葬る魔法。成否判定はなく、相手が不死属性なら問答無用で葬り去る。神官がLV上げに使えるTU専用ダンジョンなんかもあるらしい。
ちょっと気になるけど、MPに難のある猫には厳しそうかな。TUの消費MPは連発するには可愛くない数値だもん。
神官猫の詳細はそんな感じだ。あとは『光属性魔法』を取ったので『ライトボール』を覚えたくらい。光属性の単体攻撃魔法ですな。猫の場合は攻撃手段というより、これで『錬金術』で新しい属性宝硝子を作れるようになったことの方が大きい。
猫も光と無の二属性魔法士になってしまった。単独魔法士でいるフーテンさんは我慢強いのだなと改めて思ったりする。
さて、新しい魔法を手に入れたら試してみたくなるのが『魔法玉』。
残念ながら特殊神聖魔法は込められなかったが、『ターンアンデッド』は込めることが出来た。TU玉、成功率は70%に落ちちゃうみたいだけど、意外といいアイテムなんじゃない? 必要なのは猫のMPと最低品質素材、鍵玉と並べて量産したいアイテムだ。
『ライトボール』は他の属性魔法と同じく、素材の属性や特性を合わせる必要があって量産の難しいアイテムだ。光属性のmobは高LVが多いから、最低品質といえどもそう安くはない。汎用性が高いアイテムではあるが、優先的に作るほどではないかな。
そうそう、新しく硝子連合が作り出した属性宝硝子は品質がまだ低くて、猫にとっては宝の山、ありがたく買わせていただいた。これを使うとより高い属性値の『魔硝子』が出来るというわけ。
硝子連合が手順に慣れるまでの期間限定とはいえ、たくさんの低品質素材が手に入って喜ばしい。今のうちにたくさん作るぞ! そして硝子にかわる代替品も探さなきゃね!
『猫の店、開店にゃん~~!』
はい、今日も自由都市の露店通りにて開店。希望者に一斉送信したら準備は完了。
今日の売り物は新作のTU玉を含む各種『魔法玉』、それから属性値の上がった『魔硝子』に、ちょっとお試しで『古式錬金釜』を置いてみる。『術型錬金釜』も作ってあるけど、それは店頭には並べない。
最近は錬金術師がROMな職じゃなくなったおかげで、錬金アイテムを置いていても勧誘されなくなった。煩わしさが減ってめでたや。
自由都市でひっそりオープンした『錬金釜』が使える施設も、今はちょっとずつ浸透している。『錬金術』のラーニングを試す層も増えてきた。その影響もあってか、『雑草』や『薬草』、『石ころ』なんかが一時期無駄に高騰したりもしたけど、今は落ち着いている。どうも同じレシピをひたすら作るだけでは、ラーニング出来ないみたいだ。そう簡単にSPは節約出来ないってことらしい。
そんなわけで『古式錬金釜』である。自由都市にいなくても『錬金術』が出来るアイテム、なかなかいいんじゃないです? お値段は18万z。ギルドで購入できる初級釜よりちょっとお安くなっております。
『錬金術』を持っていないとギルドの道具売店は使えないし、『初級錬金釜』は中級釜を手に入れたからといって手放すアイテムではない。つまり転売以外での入手は難しい。20万を切るのはお手頃価格のはずだ。
その分初級釜より大きいし、ちょっと不恰好。その辺を踏まえてのお値段だ。猫としては鍋釜と魔鉄代、インクの材料費しかかかってないので、売れると儲けが大きい。まあポコポコ売れるアイテムではないだろうから、1個しか作ってきてないんだけどね。
ちなみにリーさんには相談の結果『術型錬金釜』を送ってある。リーさんも魔力と器用だったら器用型であるらしい。なんと50万で買ってくれた。新しい道具アイテムならそのくらいして当たり前とのこと。最近は収入が多くて猫としてはありがたい限りである。
なお『錬金術』のラーニングを目指すフーテンさんはリーさんに『初級錬金釜』を代理購入してもらい、最近はアレコレ『錬金術』を試しているらしい。『アイテムがあっという間になくなるわ~』と嘆いていた。そうでしょうそうでしょう。
ラーニングが完了したら『魔型錬金釜』を作ってあげる約束をしている。フーテンさん魔力すごそうだから、なんかすごいものが作れそうで期待大だ。
さて、そんなわけで今日はのんびり露店。相変わらず買取枠が多めだし、売れ筋のアイテムもないのでまったりだ。
教本を読もうかとも思ったのだが、今日はコンロを持ってきている。インクがそろそろなくなってしまうので、調合しておこうかと思って。
大釜でひたすら『マーロのイガ』を煮込んでいく作業。イーッヒッヒッヒ。まあ『タイムパス』しちゃうんだけどね。
さくさく煮込んでは『マーロの煮出し液』を『ガラス瓶』に詰めていく。
続けて、『灰茶のインク』も少し作る。
購入した『ラガの雫』が残っているし、雑貨屋さんに売りにいく以外にも、本屋さんに差し入れにいこうかと思って。…いや、本屋さんは『悩めるインク』の方がいいんだろうか? まあ両方持っていけば間違いないか。
大鍋をぐるぐるかき混ぜている猫を見て立ち止まって眺めていく客は意外と多い。猫の魔女感がお気に召すのだろうか。そういうときは買取枠がよく動く。にゃふん、客寄せパンダの気分。
「すみませーん、猫さんは何のアイテムを作ってるんですか?」
「にゃあ、インクを作ってるにゃんよ~」
立ち止まった客から聞かれたので答える。
露店での生産はレシピの詳細はわからなくても、鍋をかき混ぜていることは見えるからだろう。
「インクなんて何に使うんです?」
「お手紙書いたり、物々交換に使ったり、『魔道工』や『製本師』が使ったりするにゃんね~」
「販売はしませんか?」
「にゃあ、購入したいにゃ? 猫から買うより、雑貨屋さんから買う方が安いにゃんよ」
「雑貨屋でも買えるんですね。じゃあそっちに回ってみようかな。ありがとうございます」
「買い物を楽しむといいにゃん~」
見送っていたら『古式錬金釜』が売れてた。いつの間に!?
1個しか作ってなかったから予備がないな。
鍋釜はバンザイさんが料理系道具を『鍛冶』で作れるっていうからお任せして、いくつか作ってもらったんだよね。ついでに「鍋でいいなら土鍋でもいいんじゃない!?」ていって土鍋も作ってもらった。
火焔式土器みたいな芸術的な土鍋を渡されて困惑したんだけど、それを『古式錬金釜』にしたものは爆笑されたのちナマナマさんが買い取っていった。猫もちょっと土器型錬金釜いいなって思ってしまったので今度また、火焔式土器を頼んでみる予定だ。
さておき、鍋釜は道具店で買ったものよりちょっとコンパクトで洗練されたデザインのバンザイさん作がある。インクもあるし、『羊皮紙』もある、『魔鉄』もマケボで買えばある。
思ったより早く売りきれちゃったから、作っちゃおうかな? 『魔道工』のLV上げもしたいし。
そうと決まればレッツ・アルケミー。
残っていた『悩めるインク』で釜に陣を書き付けて、『魔鉄』をポイポイしてポン!
ちょっとスマートな『古式錬金釜』の完成だ。
同じ価格で店頭に並べる。
「今のはもしかして『魔道工』!? あっ、『錬金釜』……、『古式錬金釜』ってなに!?」
驚いた顔の地人族の青年が猫の店で立ち止まる。
「いらっしゃいにゃん~」
「あ、すみません、興奮しちゃって。もしかして『錬金釜』のレシピをお持ちなんですか?」
「持ってるにゃんよ~。お兄さんも『魔道工』にゃ?」
「あ、はい。実はなったばかりで。そうか、やはり『錬金釜』にもレシピはあるんだ…」
なんだかしみじみと感動した様子のお兄さん。
「『錬成陣』のレシピがあるからにはあると思ってたんです」
「にゃ、にゃにゃん!?」
『錬成陣』のレシピですと!?
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