24.料理ラーニング
さて生産施設へやってきた。料理でレンタル。今日こそラーニングしてやるぜ!
『初心者ラーニング手袋』を忘れずに装備して、と。
レトにはさすがに調理場は遠慮してもらうことにした。いったんお帰り。
今回はお菓子、蒸し料理、卵料理を作る。それでラーニング達成出来る見込みだ。あと茶葉を作るので、薬草とマリッソを乾燥させる。
本当は肉まん?を作る予定でいたのだが『ミミットの腿肉』を屋台のおじちゃんに売ってしまったので肉は消えた。
肉まんにすると『発酵』『捏ねる』なども『蒸す』と同時に出来るしいいと思っていたのだが。
饅頭部分は作るとして、中は何にしようか。
あるのは『橙プキン』『ペ豆』『玉オニ』『黄キャロ』、あと『マリッソ』に『薬草』、『ヒールミニトマト』『ルイネの林檎』。まあトマトと林檎は使わないけども。
うーん、南瓜餡にしよ。お焼きになりそうだが。
作業を始める前に箱で乾燥作業を行うべく、『マリッソ』と『薬草(若葉)』を並べる。『微風』して『経過』、これを作業の合間合間に繰り返す。
饅頭のレシピは掲示板で調べてきたので万端だ。
小麦粉を水で捏ねて寝かせて捏ねて丸めて寝かせて完成。なぜかこれで発酵するし、発酵が手に入るらしい。『料理(発酵)』じゃなくて『料理(パン)』なのではという噂もある。パンでもないが。
適当なサイズに切った『橙プキン』を茹でて蒸かし、潰してちょっと味見。十分甘いのでこれはこれでいい気もするけど、ちょっとの砂糖とバターを足して混ぜる。
うん、こんなもんかな?
饅頭のタネが8個分になるので、これも8個に分けて丸める。『橙プキン』1個で8個分、大丈夫そうだな。
餡をタネで包んで丸めたら、用意しておいた蒸し鍋で蒸かす。
蒸してる合間に茶葉作業。
マリッソの方が水分量が少ないのかカラカラになった。薬草は半分はそのまま、半分は揉みつつ乾燥してるのだが、そのままのは終わり、揉んでる方はもうちょっとかかりそう。
よし、『あんまん(プキン)』が完成!
鍋の蓋を開けたら白かったはずの饅頭がなぜかオレンジ色の饅頭になってたけど深くは追求しまい…。中身の色でガワが変わる仕様なの?
お次はクッキーを作る。
ローズマリークッキーとかもあるし、プレーンとマリッソのクッキーを作ろうかな。
材料はバターと砂糖と卵に小麦粉とふくらし粉(BP)。
バターに砂糖、卵を混ぜたら、粉を混ぜる前に二つに分けて、片方はプレーン、片方には粉に刻んだマリッソを混ぜたものを入れる。
クッキーのコツは粉を入れたら練らない、捏ねないことだ。ざっくり混ざってたらそれでよし!
アイスボックスクッキーにすれば『料理(冷凍)』が達成出来るので、これを棒状に伸ばして冷凍。ラップとかなくてもなんとかなる。合間合間に浄化してるし!
あとは卵料理。
そう、プリンである。
蒸し、製菓、卵のすべてをこれひとつで達成出来る…と思わせておいて、実はラーニングの『料理(蒸し)』と『料理(製菓)』がないと失敗する悲しい料理、それがプリンだ。
一部の料理は『料理』スキルがないと作れないのだが、その一部の料理に当たるのがプリンなのである。
つまり、『Q.プリンが作れません →A.『料理』スキル取ってね!』こう。
失敗した料理はラーニングの対象にならないので、プリンだけを作ろうとしている限り、プリンは永遠に作れない。
こういう微妙に作れそうで作れない罠料理が、初心者の頃の高級食材を材料としたりするのが、『料理』なんてなくても作れるじゃーんな人を陥れる巧妙な罠なのである。
こわいね。
閑話休題、そんなわけでラーニングの〆はプリンと相場が決まっている。(掲示板談)
「プリンから来ました」が「料理はラーニングしました」の隠語らしいから。
なので先にクッキーを焼いて『料理(製菓)』を取らねばならない。
薬草(揉み)の乾燥具合を確かめつつ『微風』をかけているうちに、クッキーが冷凍完了した。高速冷凍!
生産施設は時間レンタルなせいか、長時間かかるはずのものもだいたい5分ほどで終わる。機器の性能がすごくいい!ということらしい。
生地を取り出して切って、温めておいたオーブンで焼く。こちらも時短焼き。
買っておいた『紙袋(小)』に5個ずつ入れるとアイテム化、『クッキー』『マリッソクッキー』が完成。
無事『料理(製菓)』を得た。
プリンのレシピは掲示板にあったので特に問題はなく、さくさく作成。なおバニラエッセンスはめちゃくちゃお高いので買ってない。
掲示板のレシピにも入ってなかったし、初心者のうちはこれでいいらしい。普通に美味しいそうだ。
プリン用のカップは8個必要だったので購入。
『プリンカップ』が売店になぜかあるのもきっと罠だと思うの。しかも10zと安い。
砂糖を熱してカラメルを作り、卵は泡立てないように溶いて裏ごし。砂糖、牛乳を混ぜて卵液を作ったらまた裏ごし。裏ごし丁寧にするのがコツらしいよ。
それにしても、ヤマビコさんがくれた食材の量は多い気がするな。プリンとクッキー作っても砂糖がかなり余っちゃう。マンドラコラはかなりお高い魔物だったのだろうか。
『経過』で安全に狩れてよかったね、ではあるが、もし見かけたときにわからなかったら困るので、マンドラコラについては今度調べておこう。
冒険者ギルドの資料室にあるかな?
カップに卵液を注いで、プリンを蒸かしている間に薬草(揉み)の乾燥が終わった。
今度は『薬草茶葉』になった。
おお、場当たり的に成功?
ちなみに普通に乾燥させたものは『乾燥薬草』。マリッソは『ドライマリッソ』。
香草茶とかにはならないか。マリッソはさまざまなものに合う香草なので、これはこれで使えるだろう。
『マリッソ』自体の品質が良かったので、ドライも高品質に仕上がったし。
そうこうしているうちにプリンが蒸し上がりました。
『おめでとうございます。スキル『料理』がすべて統合されました。SP5とプレゼントボックスを入手しました』
やったぜ。
無事『初心者ラーニング手袋』も破れました。
掲示板で調べたけど、本来なら調理1回でラーニング出来るとは限らないし、ラーニング出来たとしても一度に1つずつしか出ないらしい。
どうやら『初心者ラーニング手袋』のおかげでかなりさくさく覚えられていたようだ。
料理ラーニング、何を作ったら何がラーニングされるか、そして細かいスキルをどれだけ集めると統合されるのかが判明するまではかなり大変な道のりだったらしい。
それを公開してくれた掲示板有志に感謝!
錬金術スレ民も見習ってほしい。スレ民がいるのかすら定かではないが…。
今回作ったものは『あんまん(プキン)』8個、『クッキー』5個『マリッソクッキー』5個、それから『薬草茶葉』15個に『乾燥薬草』30個『ドライマリッソ』30個。それから『カラメルプリン』が8個。
うーん、達成感。
ちなみに「ラーニングしたその瞬間の結果は、スキルを使ったのと同等の結果になる」というルールがあるので、出来上がった料理はスキル持ちが作ったものと同等の品質を保っている。
これで料理ギルドに登録出来るにゃーん!
予定をついにすべてこなせたぞ。
少し時間が余ったので、ヤカンでお湯を沸かしてお茶を淹れておくことにした。
ポコポコと沸くお湯を見つつ『魔力操作』の『拡大』…MPを多く消費して魔法の効果を拡大する、にはどの程度の効果が見込めるのか?と気になった。
実は「水に『浄化』をかけても浄水にはならない」が気になっていて、調べたのだ。
つまり、浄水を作れるのは家具だけなのか?ということなのだが。
そうしたら、教本で覚えられる『ピュリファイ』という魔法が浄化水を作る魔法らしい。これは誰でも買える教本で、価格は3万z。
インプット代は10倍になるので30万、浄水器(通称)は50万。『調薬』もMPを使うからと、今は家具派が多い。
魔法だとどこでも浄水が入手出来るというメリットはあるが、セーフティエリアならマイルーム戻ればいいわけだし。
ピュリファイは教本で簡単に覚えられたという人が多くいる珍しい魔法だ。しかし一方で、全く覚えられない人も少なくはない。
教本関係はいつもそうなので『教本ガチャ』で流されている。つまり教本そのものに当たり外れがあるのだろうっていう説だ。教本については謎が多い。
私が気づいたことを他の人が気づかないわけないって思うし、たぶん第三エディションで制限が緩和されたとか、なんらかのマイナーチェンジが行われたのではないかと思う。
さておき、『ピュリファイ』が『浄化』と同系統として、仮称『聖属性』としよう。
では『浄化』を拡大したら『ピュリファイ』と同等の効果は得られるのだろうか?
たとえば火属性魔法の『ファイア』と『ファイアボール』は実はそういう関係らしい。
「込める魔力が違うとこんなに違う魔法になるのだ」とチュートリアル講師が話してたそうな。
そんな訳で実験。
『浄化』はMP5消費なので、まあMP50消費にしておけば間違いないかな?
拡大の範囲を『効果』と想定する。
この魔力操作の項目は感覚的なものだが、魔法を放つ前に変更しようとすると視界にグリッドのようなガイドが現れて、まず魔力量を拡大か縮小かを手の動きで決める。そしてそのMP分を効果に与えるか範囲に与えるかをまた手の動きで指示する、という感じだ。
慣れてくると右手で拡大縮小、左手で効果か範囲、みたいに同時指定出来るようになるそうな。
でも杖持ってると左右は難しい…と思ったが指の動きで問題ないっぽい。杖を持つ親指側に拡大縮小、人差指に効果か範囲のスイッチがあると考えればカチカチするイメージでいける。ガイドが動くから分かりやすい。
そんな訳で『拡大』して、効果だけを倍増する。対象はお湯、と。
ペカッ!とヤカンが光った。
おお!?
あ、『浄水』になってる!
それにちょっとチャージと、ディレイ?がわかったかもしれん。
杖を持ってても痺れのようなものがわかったので、これは持ってないとかなりきつかったのかも。でも杖に魔力が入りきってなかったからかも?な気もするな。この杖に50MP一気に込めるのは無理だったのかもしれんし。
杖の耐久って殴ったりして減るのかと思ってたけど、こうやって魔力をこめて減るのか。うん、そりゃ減るだろうね。なるほどなー。
やはり『理力』も取るべきか。いや、でも魔法戦闘するかわからないし…。SPは貴重。悩ましい。
考えつつもティーポットに茶葉を淹れてお湯を注ぎ、しばし蒸してからカップに注ぐ。
焙じ茶とハーブティーでは淹れ方が違うのでちょっと変えてみた。少し深みのある緑の、緑茶より少し甘みの強い香りだ。
味は渋みと苦みのバランスがよく、さっぱりして美味しい。少なくとも薬草汁ではない。よしよし。
ヤカン1杯分で6個淹れて、1個はこの場で飲みきってしまう。
ちなみに『薬草茶』で品質は普通。HP回復は50なのでポーションにはなれないが、美味しいのでよし。魔力回復なら、バフ飯にもなれたかもねー。でもいいの、お茶だから。
もう一度お湯を沸かして『浄水』にして、お湯のまま保管。これでお茶を飲みきってももう一回淹れられる!
時間になったので施設を出る。
実験も出来たので満足!
レトを召喚するとMPが残り30ほどになったので、その場でマイルームに帰ることにした。
ルイも呼んで赤ラコラだけをあげて、帰還させる。またね。はやくルイをマイルームに入れてあげたいぜ。
マイルームに帰ったら『インパクト教本』を開く。レトがテテッと私の肩に回り、一緒に本を覗き込んでいる。
本当に本が好きだなあ。文字は読めないはずなんだけど、なにかを感じるんだろうか? まあ文字も絵のようなものだし、読み続けたら覚えたりするのかも。文字で意思疎通出来たら、便利だよねえ。
つらつら読んでるけどわからん…。ラストまで読み終えて、MPは100になった。うーん? 何もわからなかったし、このままもう一周しよう。
……お、お?
渦と同じやつが出てきたな。
これがこう…、なるほど、無属性ってそういう感じなのか。
どこも尖ってない、丸くてシンプルで、一見どこから魔力を流していいかわからない。流す、というよりも押す、押し回す感じ?
他の属性がチャージ中に魔力を属性に寄せていくのに対して、無属性は属性に寄らないように回し続ける。だから円、そして球なのか。それで『渦』が無属性の基礎なのね!
『インパクト』は『渦』を大きくして、一定量まで保持した上で押し出す魔法だ。保持するのに必要なのが…ふむ、ふむふむ。
お。『インパクト』を覚えた! やったぜ。
結局、この本はレト召喚時の最大値まで戻った120で読める範囲の本だったらしい。MPは『魔法師』になったときにLVが上がっているので170に増えている。
なら『アンチポイズマ教本』も今いけるか?と読んでみたが、これは全然無理だった。また減らしたときにチャレンジかな?
レトは私が読み終わっても教本が気になるようだ。
本を読ませてあげたいのは山々だが、君には別の仕事を頼みたい。
教本はしまって、レトを連れて庭へ行く。
わあ、庭の草はかなり伸びてるな。
プランターと植木鉢の雑草抜きと虫チェック、水やりだけ終わらせて、レトをガーデンベンチの上に下ろす。
「レトには庭の虫退治をお願いしたいにゃ」
掲示板で『青空の壁紙』使用の際、そこで植物を育てると雑草の伸びる速度が早まること、そして虫が出ることは確認した。
『花壇』など、虫も出ないし1日3本花が収穫出来る家具なら、庭に雑草が沸く速度は変わらないらしい。
つまりマイルームの庭で農業しようとすると邪魔してくる仕様なのだ。といっても農業ギルドで借りる『畑』と同仕様になるだけなので、邪魔というのも正確ではないのだけど。
きれいな観賞用の庭にしたいなら、全部その手の園芸家具で埋めるのが手軽でいいそうな。
しかしうちは家庭菜園なので、そういうわけにはいかない。
「レトが前に食べてたようなバッタ…『ホッパー』は特にとってほしいにゃ。もし食べきれない場合は倒してここに入れておいてくれたら回収するにゃん。あとでおやつにしてもいいし」
深皿をひとつ、ガーデンベンチの上に置く。
レトは『森の仲間たち』の絵本を読んでいたので、とっちゃダメな虫…ミミズやカマキリ、ハチについては、説明するとわかってくれたようで、ふんふんうなずいている。
あの絵本、一緒に読んでおいてよかったなあ。
反面、本では見なかった芋虫や虫の卵、アブラムシについては詳しくわからないみたいだ。私の説明がへたくそなのかもしれん。
まあ、今のレトの仕事はバッタ採り。多くは望むまい。後はおいおいね。
「ここに生活魔法教本も置いておくから、ホッパー退治に飽きたら読んでもいいにゃん。でも大事にしてほしいにゃん?」
『生活魔法教本』をガーデンベンチにおくとキラキラした目で立ち上がってソワソワしていた。本当に、本が好きだなこの子。
『召喚』はログアウト中も維持することが出来る。だから生産の手伝いをする召喚妖精や、素材を生み出す召喚獣(糸吐き蜘蛛など)もいる。それらはかなり人気らしい。
ポワ、とレトが光ったので指示が出来たのだろう。なんか貢ぎ物しておくべきかな?と思ったので『水晶石』『ビー玉』を再び差し出してみると、やっぱり『ビー玉』がいいみたいだ。
前に持ってくるくる回しているのが一芸みたいで面白かった。
猫はついに料理をラーニングした!
『料理』はラーニング方法は判明しているが、材料集めがめんどい(金かかる)ので『料理(焼く)』『料理(煮る)』などで止めている人も多い。
ラーニング統合しないとスキルレベルは上がらないが、街で買える食材程度なら焼いたり煮たり調理出来る。
猫は手袋のおかげでさくさくラーニングして失敗料理も特になかったが、手袋無しだと何もラーニング出来ず絶妙に不味い料理が量産されたりする。
生産施設まで行かないと料理できない、料理用のコンロやキッチン(家具)は職ギルドの売店でしか買えない、などが邪魔をするので、スキル無しの野生の料理人などはいない。たまにマイルームの庭にレンガで竈を作るような猛者はいる。猫のような焚き火派もいるが、焚き火では焼く煮る以上は取れない仕様。
「料理ってラーニングできるんだ…手順もわかってるし、SP手に入るならやってみようかな…」と思いつつ、いつまでもやらないパターンがあるある。
統合でSPが手に入るので、行き詰まった高レベルが一念発起して頑張り、料理沼にはまったりもするのもあるある。
ちなみに調薬用のコンロとビーカーでスープなどを煮ると何をどうやっても『薬膳』になり、『調薬』が邪魔をして微妙に料理ラーニング出来ない謎の仕様がある。
なお薬膳になると絶妙に苦くなる。
評価、ブクマ、イイネ、感想、誤字報告、ありがとうございます。
ほんとに読んでくれてる人がいるんだなあ、と日々不思議な感慨に包まれています。ありがたや…