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ブレーメンの錬金術師は散財したい  作者: 初鹿余フツカ
5章 金欠猫には旅をさせよ~わくわくの森旅編~

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27.地下遺跡

 今回の道中は本を読む平和な道のりとはいかない。気を引き締めてかからないとね。

 従魔メンバーはルイ、ラージ、ルビー。悩んだけどモリーとラモは畑でお留守番。

 召喚メンバーはレト、シロビ。レキは帰ってきていたので、今はマイルームの庭にいるはずだ。ボウフォルに行ってから遊びにいってほしいので、ちょっと待ってもらっている。少しなら話を聞いてもらえる関係になりました。レキも水場の水晶石を眺めるのが気に入っているみたい。

 そしてロニは猫と一緒にルイの上。レトはルビーの空飛ぶ絨毯、シロビは猫のマフラーのように肩に乗っている。戦闘になったら元に戻っちゃうんだろうけど、シロビの場合は戻っても50cmないので、猫のそばにいても問題ない。


 道中出る敵は赤ポルクス、白フルク、それから緑オークだ。ゴブリンなどの人間型のmobはLV25帯辺りから出てくるけど避けてきた。ついに対戦することになる。

 やはりラージだと防ぎきれず、接敵されてしまうと負傷してしまうことも多々。ノーダメージの楽な旅とはいかない。レトのヒールで危なげないとはいえ、オークが振りかぶってくるとなんか痛い気がしちゃう。にゃん~!


 肝心の新メンバー、シロビの魔法はというと、最初から『ファイアウォール』を覚えていたりとなかなか優秀。防御によし、範囲攻撃によし。ただし単一攻撃能力は劣る、というわけで1匹ずつ出てくる敵にはちょっと弱い。もちろんそこを補う『ファイアストライク』も覚えているので、ちゃんと単体相手もばっちりだ。

 範囲攻撃というものは、これまでの猫たちには欠けていた。白フルクの群れにも慌てず対応出来るようになってありがたい。


 それにしても猫は召喚でMPをほとんど取られるようになってしまったので、今は文鎮。魔法銃をぺちぺち撃つくらいしか出来ない。もちろん魔法銃にしてから猫の攻撃力は飛躍的に上がっているので、ちゃんと物理アタッカーとして機能はしているのだが。

 うーん、でも従魔のサポートもしてあげたい。他にバッファーやデバッファーも必要なのかも。単一攻撃力の高いアタッカーがほしい気もするし、次から次へと欲は尽きないにゃん~~!




 はい。

 地下遺跡に来てしまった……。


 いや、廃都エリア全体にある遺跡の名残、これの中には地下遺跡へ吸い込まれるものもあるって話をすっかりうっかり忘れてましたね…。『ヤドリギ』に『ヤノ蔦』、『石ころ』が拾えるので、こまめに探索していたらまんまと吸い込まれてしまった。ボウフォル行くなら『石ころ』いっぱいいるなって思ってたから、つい。


「にゃあ~…」


 地下遺跡の攻略方法は、以前ヨハンさんの教本で読んだので知っている。今の猫ならちょっと面倒くさいだけでクリア可能なこともわかっている。

 わかっているんだけど、ボウフォル行くぞ!と意気込んでいたところなのでテンション激しくダウンだ。何故なら、地下遺跡はクリアすると始まりの村ルイネに辿り着く。せっかく進んできた道を逆戻り!

 『リターン』可能だけど、その場合も以下略。にゃん~~!


 地団駄踏んで悔しがりたいところだが、そうもいかない。

 くぅ……!


 出てくる敵はジェリにマルモにフルクと、お馴染みのmobなので地上とのギャップがある。ああー。

 シロビがメラメラと『ファイアーウォール』で焼き払ってくれるので猫たちはすることがない。シロビ、MP高いから自然回復量も高いんだよね。そのぶんHPは雀の涙なんだけど。


 ラージとシロビにお任せしてどんどん進んでいく。あの教本は『思い出す』の対象だったので攻略も見られるし、と。

 おや??

 ドロップアイテムを確認すると見覚えのないアイテムがある。猫の毛皮。

 これ、チェスニャッコか!


 チェスニャッコはおもにダンジョンのモンスターハウスで現れる。

 特に有名なのは廃都の地下遺跡ダンジョン。擬態を得意とし、周辺で戦闘が始まると擬態を解いてしれっと混ざり、邪魔するだけしてしれっと消えていることも多いという。カーバンクルと同じく、プレイヤーには嫌われているmobだ。

 反面、味方にすると優秀なバッファー・デバッファーになるとも聞く。猫ちゃんなので機嫌をとるのが大変、なんて話もあるのだが。


 持っててよかったニャルコール。レアmobのはずのチェスニャッコに遭遇出来たのは、きっとこれのおかげに違いない。


 ……といっても、チェスニャッコはコニャッコたちと違って大きい。だいたい猫と同じくらいのサイズ――つまり1mほどの、長毛種の猫だそうだ。罠を仕掛けるわけにもいかないし、うろうろしつつ探すしかあるまい。

 うろうろするにも限度があるので、ついつい遺跡の先へ進んじゃうんだけども。


「にゃん!」


 シロビに開幕ファイアーウォールを控えてもらいつつ戦うなか、チェスニャッコの姿を確認!

 早速『テイム』しようと手を伸ばす。しかしニャア~ンと間延びした鳴き声と共に姿を消してしまった。もしかして『インビジブル』か。こんなきれいに消えてしまうものなの?

 チェスニャッコの姿は見えないけど、デバフは飛んでくる。ちょっと、これはたしかに戦いづらい! デバフってかなり厄介なんだね!?

 シロビに前方すべて焼き払ってもらえば解決する話ではあるが、戦えないほどではないので悩む。ええと、たしか隠れた敵を見つけるのは『発見』に『魔力感知』――『マジックセンス』だ!

 使用した視界では、魔力を使っているものはもれなく光る。


「見つけたにゃっ、『テイム』!」


 既にある程度弱っており、劣勢だったチェスニャッコは『テイム』1回で仲間になった。やったぜ。


『従魔に名前をつけてください』

「スーニャ」


 チェスニャッコの真ん中からとりました。わかりやすさ重視だ。

 にゃうん、と転がったふてぶてしいにゃんこ、スーニャはなかなかに大きい。毛の色は青、目は金色。リアルには存在しない色だけどなかなかかわいい。長毛種といってもペルシャ猫のようなラグジュアリーな感じではなく、もさもさのもっふもふモップ猫風味だ。これはいかん。ブラッシングしなければ…。

 人間でいえばメカクレってやつだろうか。ふさふさの長い毛でほとんど目元が隠れてしまっている。視力が心配になるところだが、こういうデザインであるらしい。何回撫でても髪型(?)が変わらなかった。ブラッシングしたら変わるかもしれないのでそれに期待だ。


 スーニャは『光魔法』『闇魔法』持ち。光は『インビジブル』のみで、闇が『シャドウバインド』『ダークミスト』を持っていた。

 チェスニャッコはだいたい『光魔法』『闇魔法』持ちで、光を鍛えるとバッファーに、闇を鍛えるとデバッファーになるといわれている。スーニャはあらかじめ闇の方が魔法が多いし、デバフに適正があるのだろう。

 むむ、猫のお株が奪われた。まあ猫にも従魔法というバフはある。……うーん、MP効率が悪いんだよなあ。今度、バフアイテムを調べてみるのもいいかもしれないな。


 ……。

 チェスニャッコをテイムしたら元々ない攻略意欲がどん底まで低下してしまったため、残りはシロビに頑張ってもらい前方を燃やしながら楽々攻略した。

 ここは攻略しても、大したものは出てこないって話だったはず。

 ちなみに地下遺跡に封印されていたものが『狂った精霊』だったという落ちがあるんだよね。プレイヤーが攻略して解き放ち、倒してしまった精霊さん。

 なので今、この遺跡にはもう何もないのである。


 『狂った精霊』は最初、銀髪でルイネアに似た姿をしていたと攻略サイトで見た。それで、ユーリハーの関係者なんじゃないかと話題になったんだって。結局、知人関係ではなかったらしいんだが。

 単純に、元はルイネアだったんだろうなあ。どういう歴史があって狂った精霊になってしまったのかは、謎だけれど。元は地下遺跡にいたという辺り、なんとも考察の捗りそうな題材である。


 事前情報通り、特にめぼしいアイテムもなく、新発見もなく遺跡探検は終了した。まあ、チェスニャッコのスーニャを仲間に出来たからよしとしよう。


 帰ってくるときは、ルイネの精霊の祠の中に帰還することになる。

 ルイネア以外の種族が精霊の祠に入る裏技とも言われているけど、出来ることといったらヨハンの墓参りくらいしかない。墓参り正攻法が苦手な人(NPCと話すのが苦手な人)などは、こちらから侵入してダイレクト墓参りする方法もあったというわけだ。


 せっかくなので猫も墓参りしていこう。

 『灯』をつけて、ルイで進んでいく。祠のなかをロバでいくのはちょっと申し訳なさあるが、何しろ広い。ヨハンの墓の位置が遠いので、許されたい。


 えーと一番奥の右端、と…。

 うん、ヨハン・フロントの名前がある。そしてそこには素朴な花束が置かれている。おそらく、ユーリハーが捧げたものだろう。


『おめでとうございます。隠された秘密に辿り着きました。スキル『第六感』が取得可能になります。SP10とプレゼントボックスを入手しました』


 アナウンス来ました。

 『第六感』スキルは『罠感知』『発見』『真贋』『魔力感知』などの感知系スキルを持たなくても、あやしいところやものがなんとなくわかるようになるスキル。いろいろ兼ねるけど、本職のスキルには敵わないスキル、という位置付けだろうか。

 猫は『発見』も『真贋』も持ってるし微妙。ちょっと残念、いいスキルだと思ったんだけどな。


 にゃあん、まあSP10もらえたからいいか。



 ルイネまで戻ってしまったので、一旦マイルームまで戻ってきた。

 庭でみんなを遊ばせつつ、やらねばなるまいよ、白ラコラ農業を…!

 くぅ、せっかく庭がフリーになったのに、シロビの好物なら育てないわけにはいかない。今度こそ王国化しないように注意して育てなければ……いや、もうすでに乗っ取られる未来が見えている気がするけど気のせい!


 お部屋着に着替えて魔法農業しつつ、メニューを開いて新メンバーの装備を考える。

 シロビにしてもスーニャにしても、魔力の上がるアクセサリーは欠かせない。2匹とも戦闘特化だから、鞄やその他のアクセサリーは合わないかも。3つ揃えるのは難しくても、ひとつくらいはアクセサリーをあげたいところ。

 ひとまず『魔法のタッセル』を買うべきか、いやボウフォルへ行ってからそこで選ぶべきか。

 やるならみんなの装備変更をしたいところだけど、今はそこまで懐に余裕がない。ちまちまあれこれ売っては稼いでいるけど、マケボに張りついているわけではないし難しい。

 金策、金策が必要にゃん。

 石壁の街ボウフォルへいって青林檎の話にたどり着けなかったら、猫のLV帯でいける金策探そうっと。

やり残しフラグ回収回。


評価、ブクマ、イイネ、感想、誤字報告ありがとうございます。

次回から辺境編、石壁の街ボウフォルを旅します。

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― 新着の感想 ―
ラモを従魔にした時点で従魔の証取らなきゃなぁみたいな話してたのに、モリーとスーニャの分あったの?
『第六感』スキルも取ったら『罠感知』『発見』『真贋』『魔力感知』なんかとネットワーク形成してシナジー効果が生まれそうな気もしますが
更新ありがとうございますにゃ~ん 次も楽しみにしていますにゃ~ん ラコラ王国残党および革命軍を弾圧しなければ! 独裁者になるにゃ〜ん マンドラゴラあればいけるんじゃない?
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