表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレーメンの錬金術師は散財したい  作者: 初鹿余フツカ
5章 金欠猫には旅をさせよ~わくわくの森旅編~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

222/285

3.最初のダンジョン

 さて街観光!と思ったところで人出の多さに気がついた。これでは観光も後回しだな。


 今日は白月夜。

 今季、恵雨季めぐむあめのきは青白赤青という月の運行で、黒月がなく、青月が二度巡る季だ。青の大月とか、春の大月とか呼ばれている。どちらかの青月夜がそうというんじゃなくて、この季節のことをいうらしい。

 そういえば恵雨季は、雨に恵まれて夏に向けて植物が育っていく季節と書いてあったっけ。夏前の雨季といっても梅雨ではなくて、二十四節気でいうところの穀雨。

 もしかしてそれで森の植物に異常が出ているんだろうか?


 ちなみに猫は今季最初の青月、港街ポーツのアトノ島で過ごした。ポーツはもはや猫の別荘地ですな。畑がほしい…!

 とはいえ、魚釣りしてお参り以外には特になにもなかった。というのも、猫のLV?ランク?だと、精霊って5匹までしか仲間に出来ないようなのだ。なので新しい精霊の加入はなし。残念。

 ジョブ精霊使いのランクアップについては、隠者の村のナナちゃん先生に会いに行かないといけない。ナナちゃんに会うってことは必然的にジョンさんにも会う必要がある。無属性魔法、全然増えてない。『クリスタル』の教本も実はまだ読めてないのだ。

 そんなわけで足が遠退いており、まだ行けてなかったりする。転移代もかかるにゃんよ…。


 なので今回の白月夜も、猫としては新しい精霊の加入もないし、スルーしてもいいのだ。いいのだが、洞窟の中から見える月なんて、観光スポットとして気になっちゃうよね!

 それに月夜じゃないと手に入らない鉱石アイテムなんかもあるかもだし。


 夕方にはダンジョン入りするとして、それでもまだ少し時間がある。マイルームで庭の手入れとするか。


 現在、庭で育てているのは主に白ラコラ青ラコラとキャロ、牧草。

 白ラコラが最近、更に丸々と肥えてきた気がする。最初に育てていたときより明らかに大きいんだよね…。もちろん適宜収穫しているので、同じ個体がずっと育っているようなことはないんだけど。

 種の品質が高品質になったりも特にしてないので、単純な個体差?なのか、なんなのか。栄養状態は最初からそんなに変わらないと思うんだけども。

 猫の『牧畜』LVは微妙に上がっているので、もしかしたらそのせいかもしれない。

 『牧畜』LV5で『散歩』というアーツを手に入れている。牧畜している家畜をペットのように外へ連れ出せるアーツなのだが、使ったことはない。ラコラを連れ歩ける場所なんてないのだ。下手に草のある場所に連れていったが最後、脱走するのが目に見えているし。野良ラコラを増やすわけにはいかない。


 白ラコラがこのまま『牧畜』スキルのLVに応じて成長するなら、進化してマンドラコラになるのも、LV上がるのを待つしかないのかも。

 農業ギルドでも牧畜ギルドでも、白ラコラについては詳しい資料がなかった。初心者向けじゃないんだろう。


 猫は資料室に頼りきりで来たから、ここ以外の情報源がない。学園都市にいけば新しい本に出会えるのかと期待したこともあったが、そうでもないんだって。

 フーテンさんいわく「学園都市の本は資料室の本とは大分違うよ~分かりにくいっていうか、棚がジョブ毎にわかれてたりしないし、探すのに時間がかかる」「あとレベルとかジョブランクで解読できる幅が違うみたい?」とのこと。

 どっしり腰を据えての読書タイムを取ったとしても、ペーペーの猫では、たいした情報は得られなさそうだ。

 となると、本はあきらめてヒト頼りの方がいいのだろうなあ。


 農家のおばちゃんに聞いた、農家神官たちのマレビトダンジョンがある村にも行きたいと思っている。いるのだが、どうも猫はフラグが足りなくてまだ行けないみたいなんだよね。

 たぶん自由都市のメインクエスト(お使いクエスト)が終わってないからだろう。や、やることが多い…!

 ちなみに掲示板に白ラコラの話題はない。アルミハクさんくらいだよ、白ラコラ農家してるのは。畑をやる人にとって、白ラコラは害獣並に面倒な輩なのだから仕方ないね。猫も庭ならともかく、畑に白ラコラは持ち込みたくない。ラコラ王国は庭で十分だ。


 ベランダで育ててるのは紫ラコラ、緑ラコラ。他に竜果と、魔力の木の実もこっちで育てている。まだ全然変化はない、のんびり進行。

 紫は毒属性なので育てるときは『タイムパス』で一息に育ててしまう。緑も基本は時短農業だ。そのついでに竜果と魔力の木の実にも『タイムパス』することがあるが、全然変わらない。まあ、木だから仕方ないね。

 最近加わったバロメッツもベランダ。心なしか蹄が大きくなったものの、まだ蹄から先は出てきていない。にょきにょき生えてきたら怖いので『タイムパス』はしてない。これもまったり進行。


 ベランダハーブ農園はなくなったけど、ハーブやその他の野菜、薬草やハッピー豆、おまじない用のホウセンカなんかはギルド畑で育てている。

 畑はマイルームの庭より難易度が高いといわれるだけあって虫食いとかが多くなるので、基本は行けたときに種を植えて収穫までしちゃう時短農業だ。

 ロニがプルプルポメラニアンになって猫のMPは激減したけど、せっせと『トランスファー』してくれるので助かっている。畑では猫の足元でプルプルしているのが定位置だ。土汚れもついちゃうけど、ハートや音符がポコポコ出ているので楽しいのだろう。


 畑を土のまま放置してるのも良くないっていうんで、普段は農業ギルドで買った『ポンポン草』を植えている。これはシロツメクサのような緑肥植物らしく、植えておくと土壌を改良して益虫を呼んでくれる効果があるらしい。更に収穫した『ポンポン草』は農業ギルドや運送ギルドで買い取ってくれるので一石二鳥。

 収穫と種まきの手間はあるけど、猫にとってはありがたい植物だ。


 さて、庭のラコラを適宜収穫して、ベランダのラコラも収穫したらちょうどいい時間。



 ドゥーアにあるダンジョンは、最初のダンジョンと呼ばれる。

 理由は単純で、ゲームで初めてお目見えしたダンジョンがここだからだ。ゲーム内では「あの山のダンジョン」と呼ばれていて、特に名前のない悲しいダンジョンでもある。

 そもそも最初はダンジョンの機能――従魔の呼び出しが出来ないとか、マイルームに入れないとか――のお披露目のために作られたような、一本道のダンジョンだったそうだ。

 今は第二エディション、第三エディションと追加パッチが当たって、中も少しずつ複雑化してきている。

 敵もノーマルのコボルトしか出なかったのが、ゴーレムが出るようになり、それからだんだんバリエーションも増えて、にぎやかになってきたらしい。

 特に第三エディションでは新たに廃坑ダンジョンと繋がったとかで、なかなか人気のダンジョンでもある。


 そんな最初のダンジョンに入ってみたのだが、中に精霊スポットがあるとあって、そこそこ混んでいる。

 コボルトと戦って召喚契約したいと思っていたけど、これはなかなか厳しそうだ。猫は投擲が主な攻撃手段だから、混雑時はヘイトの確保が難しい。ラージはタンクだけど、挑発などのヘイトを取るスキルはまだ覚えていないのだ。


 ん~~、まあ今回はあきらめるか。

 ゴーレムなんかは出る度にワーッと歓声が上がり争奪戦だ。漏れ聞こえる会話を聞くに、月夜の限定ドロップがレアで出ているみたい? なるほど、そういうことか。

 限定レアは気になるけど、混雑のなか争奪戦に参加して頑張るほどじゃないな。たぶん鍛冶素材だろう。これが錬金素材だったら………、いや、やっぱり頑張れないかもしれない。はい。


 周りが頑張ってくれるので安全な道を進んでいく。さすがに荷車を引いてくることは遠慮したが、いつも通りルイには乗っている。先頭をモニモニ進むラージに、鞍にはロニを乗せて、ふよふよ絨毯で着いてくるルビーとレト。レキは相変わらずお使いへ行っている。

 そして猫のタマゴポケットにいるモンシラのタマちゃん(仮)は明日孵化予定だ。7日、長かったなあ!

 明日からは畑で赤ラコラかカンラ菜、赤シスルを育てまくる予定だ。前回準備が早すぎたから、種を多めに取っておいた。促成栽培用のMPが心配ではあるが、ロニもいるし、『タイムパス』ならレトも出来るし、まあなんとかなるだろう。

 農家の総力をあげて、必ずや立派な成虫にしてやるぞ。


 さて、採掘。

 戦闘しないならこれしかすることがない。なにせ最初のダンジョンは採掘ポイントがたくさんあるのだ。

 採掘ポイントもなかなか混んでいるが、このゲームは早い者勝ちではなく、それぞれが採取できて時間回復タイプだ。順番に掘っていけば問題ない。


 掘れるのは『石ころ』『岩石』『赤錆びた土』、レアで『鉄鉱石』といった具合。

 宝石の原石が取れたという話が定期的に掲示板に上がるが、確証はまだないらしい。岩石ガチャじゃないかという噂も根強くある。採掘テーブルが時間や時期で変わるなんて話もあるので、その辺どうなってるかは確証が取れないんだって。

 猫は元々『初心者のツルハシ』しか持ってないし、レア狙いはあきらめている。

 猫の狙いは『赤錆びた土』。今のところ何にも使えない、採掘ギルドの買取専用アイテム。いわゆるハズレ枠。

 ハズレアイテムといえば、そう、錬金術師の出番だろう。きっとこれは何かになる。猫の勘がささやいてるのさ…。


 そういうときに限って『石ころ』しか出ないっていうね!

 いいの、『石ころ』も使い道はあるから…。

 と噛み締めつつ採掘していると、隣で掘っていたグループがどさりとアイテムを捨てた。


「月夜のレアなんて全然出なくない!?」

「やっぱり噂は噂だってよ」

「『鉄鉱石』こんだけ出て出ないってことは無し!」

「あと1回!あと1回だけぇ~!」


 おお、『採掘』にもレアがあるなんて噂があるのか。それは知らなかった。だからみんなやたら真剣に掘ってるのか。『鉄鉱石』なんてそんなに高くもないのに不思議だなと思ってたんだよね。

 あと1回というのは採掘ポイントの回復を待ってもう1周掘るってことかな。それはかなり大変そう。というか何周掘ったんだろうか。

 頼んでるのは地人族っぽいプレイヤーなので、鍛冶師なんだろう。

 結局彼らはワチャワチャとしながらダンジョンの入り口へ戻っていった。もう1周するみたいだ。元気だな…。

 そして置いていかれたアイテムは光になって消える。ううん、もったいない。こうして掘出し物屋へ送られるのだ。しばらくはまた岩石祭になりそうだね。


 お、『赤錆びた土』出た。猫もしばらく『採掘』頑張ろうかな!

評価、ブクマ、イイネ、感想、誤字報告ありがとうございます。

感想返信をお休みします。これまで本当にたくさんの感想をありがとうございました!


今週、そして今月もお疲れさまでした。

次回更新は3/3(月)です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
222(にゃんにゃんにゃん)話 おめでとうございます! 猫ちゃんのブレーメン亜種隊の描写タスカルゥ( ¯꒳¯ )♡ゾロゾロにゃんにゃん
222(にゃんにゃんにゃん)話目おめでとうございますにゃん。 いつも愛読していますにゃん〜。 素敵な小説をありがとうございますにゃん!
『赤錆た土』は猫には有用に使えそうな感じします 丸めて固めても、成分抽出とか錬金術の材料としては面白そうだけど、鍛冶師や細工師には不要だよね モンシラの幼虫、漸く孵りますね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ