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ブレーメンの錬金術師は散財したい  作者: 初鹿余フツカ
1章 初心者猫はお金が欲しい
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1.チュートリアル

 そんなわけでポーンと再びフィールドに放り出されて始まるスキルチュートリアル。


 まず『採取』。

 植物、特に草や藻類を入手するスキル。持っていると採取スポットが見えるようになる。

 『薬草』を10個拾い、『初心者草刈り鎌』を入手した。


 『採掘』。

 『ツルハシ』などを使って岩壁や岩を崩し、石や鉱石を入手するスキル。持っていると採掘スポット以下略。

 鉄鉱石10個掘り、『初心者ツルハシ』を入手した。


 『伐採』。

 『斧』を使って木と名のつくものから枝や材木を入手するスキル。持っていると伐採以下略。

 青ブナの木を10本伐り、『初心者伐採斧』を入手した。


 『釣り』。

 『釣り竿』や『網』を使って魚と名のつくものや水棲生物を入手するスキル。持っていると以下略。

 『リバーフィッシュ(小)』を10匹釣り、『初心者釣り竿』を入手した。


 ふむふむ。

 操作感としては『採取』はともかく、『採掘』と『伐採』はなかなかキツいね。非力種族なのと、スキルLVが低いせいだろう。

 特に『採掘』では、ツルハシを持ち上げるのも大変だったし、いざ振り上げれば後ろへおっとっと、振り下ろせば強い衝撃でツルハシを取り落としてしまう、というトラブルもあった。めげずに繰り返し、2個掘ってLV1になってからは、わりとスムーズに掘れたけど。


 『伐採』は『採掘』の後だったからか、斧がすっぽぬけるようなトラブルはなく進めることが出来た。しかし進みが遅い。結果的に木の四方をぐるぐる回りながら伐ることになり、なんだか無駄に疲れてしまった。


 『釣り』は5cm程度の小魚だったからか、楽々釣れた…と思ったらでかいのが引っ掛かってきて何度か竿ごと持っていかれた。

 チュートリアルだからすぐ『釣り竿』のおかわりがもらえて良かったが、こんなん毎度起きるなら何本あっても足らんぞ。

 非力種族って結構大変…。


 それから『運搬』。

 これは荷物を多く運ぶためのスキル。

 チュートリアルでは荷物を10個運び、『初心者背負い袋』を入手した。

 重い荷物を背負って移動する作業だったので何度も潰れそうになったが、各種チュートリアルで慣れてきたのか、どうにかこなせた。これがいちばん大変だった。

 ほんっと非力種族って…!!


 すでに息切れしてるけど、スキルはまだ7つもある。行くぞ!



 次は『使役』。

 魔物を仲間にするスキルだ。一応の攻撃手段と、あと騎乗できる魔物もいるようなのでそれ狙いで取ったスキルだ。


 実践形式でテイムのしかたを教えてくれるらしい。初めてのちゃんと講師がいるタイプのチュートリアルだ。

 テイム対象はこの周辺にいる魔物や動物ならなんでもいい、というのでミニフィールドをうろうろと歩き回り、ロバを発見。もぐもぐ草を食べていた。ちゃんと乗れることは確認して、テイム。突然よじ登られても気にしないなんて、めちゃくちゃおっとりした子だった。テイム成功。

 移動手段確保だ! 猫足だと歩幅が狭いのか、うろうろするの大変だったのでとても助かる。


 名前は『ルイ』にした。雄で、まだ成長過程なので小柄とのこと。

 自由都市に行ったら荷物と私を一緒に乗せられる鞍が欲しい、あと手綱も。オシャレに赤いスカーフとかもつけたいね!


 ルイが食事している間、私も周辺の草を刈り、『石ころ』などを拾う。『雑草』でもいいし、『石ころ』も『錬金術』の練度上げに使えるはずだ。『小枝』なんかは薪に使えそう。

 採取ポイントが光って見えるのでわかりやすい。あと光ってなくても落ちてる枝なんかは拾えるし、ルイが食べてる横でも採取が出来た。ルイの食い扶持を奪ったわけではなく、何食べてるのかなって思って横で手を伸ばしたら取れてしまったんだよ…!


 『牧草』だった。

 これはルイのご飯として採取しておこう。『牧草』はルイの横でしか取れないらしい。食事の邪魔をしているようでちょっと気が引けるが、気にしてないようなのでまあいいか。


 『従魔の証』を入手した。これはテイマーギルドで手に入るアイテムで、この証の数だけ従魔を連れ歩くことが出来る。なおテイム出来る上限はスキルLVに依存、1LVでは1匹テイムのみ。LV5になるとテイム数は増えるようだが、『従魔の証』がないと連れ歩けるのは1匹、となる。



 次、『生活魔法』。

 第三エディションから登場のスキル。お使いクエストに重宝するらしい、魔法スキルは後で取ると高いので初期に取っておいた。


 チュートリアルでは教本を与えられて魔法を覚えた。講師はいない。魔法を習ってみたかったのに残念。


 教本にあったのは『点火』『流水』『微風』『耕土』『光源』『暗源』『浄化』『手当』『集積』『経過』の10個の魔法で、この中から5個覚えたら終了だって。

 生活魔法そのものにはLVや習熟度がなく、それぞれの魔法からスキルが派生しやすくなる、と教本に書いてある。

 『点火』とかあるのはサバイバル仕様なのか?それともフレーバースキル? あるいは火魔法へのスキル派生用か。


 『流水』『耕土』『光源』『微風』『手当』をまず覚えることにした。なお『農業』に役立ちそうなものを優先的に。

 『手当』は接触していないと使えないが、毒の状態異常回復と、HP回復が同時に出来る。といってもMP5消費してHPを20回復するしょぼい仕様だ。MPが多くてHPが少ない一部の種族やジョブにしか恩恵がない。私はその一部の種族なので問題ない。MPが多いというよりHPが紙すぎるだけだが。


 教本は読むだけで魔法が覚えられるらしい。なかなか魔法について書いてある本は面白く、さくさくと読めて5個覚えてしまった。

 『生活魔法教本』はそのままもらえた。また後で読もうっと。



 次は『錬金術』。

 微妙なアイテムの使い道開拓として第二エディションで追加されたスキル。とても私向きだと思う。


 これも『使役』のように講師がいて教えてくれるチュートリアルだ。

 アイテムを『錬金釜』に入れてグツグツ、チンするとポンと出来る。……あれ、錬金釜って煮るタイプ?『点火』取っておけばよかったな!


 チュートリアル終わったら取ろう、と思ったが、試してみたら『生活魔法教本』を出すことが出来た。教本を読みつつ辿々しく使っていると『点火』を覚えることが出来た。やったぜ。


 さておき、もらった『薬草』10個を『錬金釜』に放り込み、釜の手前にある引出しを開けて、燃料(?)に『点火』する。するとグツグツと釜が揺れて、チン!と蓋が開く。


『薬草玉』

濃縮された薬草。とても苦い。HP30回復。


 『薬草』だけ食べてもHP10回復することを考えると、消費量からして30回復は低すぎる。

 お察しの通り、『錬金術』はあまり人気のないスキルだ。でもこれじゃないと作れないものもあるので、別に不遇とかではない。趣味スキル枠。


 他にも『石ころ』10個で『投石玉』、『雑草』10個で『雑草玉』などを教わる。


「『錬金術』は価値のないものから価値あるものを作り出す技術。価値のある素材は他の生産に任せるのがオススメだよ」

 とはチュートリアル講師たる錬金術師の言。


 いうて出来たものも大分クズアイテムでは? まあ更にこれを濃縮していくと何かになるんでしょうね、おそらくは…! そう信じたい。


 なお『投石玉』はちょっと大きい『石ころ』で、ダメージがあがる。『石ころ』が1ダメ、『投石玉』は5固定ダメージだ。『石ころ』は『投擲』などのスキルで投げればちゃんとダメージが出るが、『投石玉』はスキルで投げても固定で5ダメ出るという違いがあるようだ。


 『雑草玉』は『雑草』を固めたもので、効果はない。干し草のように枯れて茶色になってしまっている。『薬草玉』が丸薬のようなサイズなのに大して、これは手のひらより大きい、ただの塊だ。燃料か肥料には出来そう、か?


 不要なもの10個をまとめる『圧縮』が、『錬金術』の基本となるアーツだそうだ。

 教わりつつアイテムを10個作ったら終了。

 作成したアイテムと『初心者錬金釜』を入手。



 次、『軽業』。

 体の動きを助けるスキル。後々『騎乗』が生えるらしいのでその前提スキルだ。行動蓄積で覚えることもできるが、覚えるのは『体さばき』という『軽業』の前提スキルらしいので、初期から取ってしまった。


 チュートリアルはアスレチックのような場所で鬼ごっこをすることになった。途中に巨大ブランコや滑り台、あるいはクライミングコースなどもあり、時間いっぱい駆け回った。

 …つい童心に帰ってしまった…。

 体が小さくてめちゃくちゃ軽くて動きやすいし、猫型だからか四つ足で走るのがすごく早くて楽しくて!

 高いところからくるくる回りながら着地したり、綱の上を走り抜けたり、木に取りついて上ったら意外といけたので、クライミングコースも上ってみたり……と制限時間内いっぱい駆け巡った。

 最後まで鬼には捕まらなかったので、経験値にボーナスがもらえた。やったぜ。

 『初心者靴』を入手。

 パッシブスキルは持ってない部位の初心者装備をもらえるらしい。他にも帽子、靴、手袋、マントなどがあったようだ。



 次は『農業』。

 生活ライフ系スキル。『農業』以外に『牧畜』などもある。マイルームでも狭いながら畑は出来るし、中型獣までなら少数育てられる、らしい。その場合は拡張するまでマイルームでもテント生活になるそうだが。

 軽く調べたら農業は植木鉢を使って室内で育てることも出来ることがわかったのが決め手となって選択した。元々ライフ系したかったんだしね。


 チュートリアルは『種』と『植木鉢』をもらい、収穫までを行う。講師はいない孤独な作業。さみしい。


『植木鉢に小石を入れて土を入れましょう』


 植木鉢に触れたら指示が表示された。なんと親切仕様。

 入れる前の土に『耕土』を使って柔らかくほぐす。『肥料があればここで入れます』と表示されたけども、使っていいラインナップに肥料はない。まあ手にいれたら、てことか。


 あ、でも『錬金術』で教本が使えたということは、他のアイテムもつかっていいのかもしれない。

 ということで『雑草玉』を土に放り込み、もう一度『耕土』…うん、混ざったようだ。

 植木鉢にこの土を入れて、種を蒔いて、水をやる。如雨露も水瓶も用意されていたけど、練度をあげたかったので『流水』を使う。

 ……あれ、これ待ち時間あるやつ?

 そういえば生活魔法に『経過』てあったな。これが待ち時間縮めるやつでは?てことで教本を手にうんうんと実践。お、出来た出来た。やったぜ。


 ポポポンと芽が出たので、また水をやって、『経過』。ちょっと育ったら一番大きいのを残して、他を抜いてしまう。この植木鉢では全部は育てられそうになかったから。


 抜くと『???草』としてアイテム入手出来た。育つまで何かわからないやつ?

 水やりと『経過』を繰り返し、ときどきMP回復のために実際に放置しつつ、土汚れを取るのに『浄化』欲しいなと教本片手にうんうん練習したりする。


『肥料があれば追肥するとよい花が咲きます』


 早速『雑草玉』を混ぜた土を足す。『雑草玉』そのものは固く、解さないと使えそうにないのだ。

 MP回復の待ち時間に『浄化』を覚えた。お手々キレイ。


 水やりと『経過』、ときどき肥料、伸びてきたら支柱を足したり脇芽を取ったり、せっかく覚えたので『浄化』もかけてみたり、下葉をむしったりと世話をしていると、黄色い小さな花が咲いた。葉が出たときから思ってたけど、ミニトマトっぽい。


『花が咲いたら受粉させましょう。受粉にはさまざまな方法があります』


 ミニトマトと信じて花房をポヨポヨもむと、ポワンと光を放つ。この光が受粉完了の合図らしい。しかし受粉まであるとは結構本格的だな、農業。

 追肥して水やりして経過して、と更に繰り返すと緑の実がなり、綺麗に赤く色づいた。


『おめでとうございます、収穫可能です』


 やったぜ。

 ハサミを持ってサクサクと収穫していく。

 これは『ヒールミニトマト』らしい。やはりミニトマトだった。ではさっきの草は何になるのか?と見ると『毒草』になっていた。……いや、うん、トマトの茎や葉は毒だからね、うん。

 『ヒールミニトマト』10個、『毒草(根つき)』4個、それから『初心者植木鉢』を入手した。



 次、『隠れる』。

 文字通り身を隠すと気配が薄くなるスキル。ヘイト管理にもおすすめらしいが、遮蔽物がないと効果が薄いのが難点。


 チュートリアルはかくれんぼだった。

 何処かの廃屋で、謎の鬼に追われるスニーキングミッション。隙間や影に潜んで、時間いっぱい見つからないように息を殺す。

 ヒィ、足音とか影が映ったりしてホラーなんだよぉ!

 終わるとすごく疲れた。いちばん疲れたかもしれん。見つからなかったのでボーナスもらったけどめちゃくちゃ怖かった。

 『初心者マント』を入手した。



 最後、『交易』。

 アイテムを売買して儲けるためのスキル。露店を開いたり出来る。


 ということでチュートリアルは小さな街の市場に行って、最初に預けられた500zを倍の1000zに増やしてこいと言われた。講師はいたが最初だけで、後は丸投げ!

 ちなみにお金の単位はゼニである。


 なお自分の持ってるアイテムを売って金額を倍にしても達成出来るが、最初の費用は回収される、チュートリアル中の買取価格は低いとあって損をする方法だとか。そのへん気にせず時間を取るのでもよいのだけど。

 せっかくなので売り買いして稼いでみるかな?

 チュートリアル中だけだが、『屋台』という自分の店も開けるらしい。屋台と露店の違いは移動の可否。リアカーのような荷車を引くのが屋台だって。


 どうやって稼ごうかな。

 迷いつつまずは市場の散策。明らかに価格に差のある商品を調べてみたりなんだりとしてみたが、結局は回転がよくてめちゃくちゃ忙しそうな串焼き屋に交渉して雇ってもらうことにした。


 お料理は出来ないけど、商品の受け渡しと会計なら出来ますにゃん。猫の手貸しますにゃん?


 お給料を500zにして交渉すると雇ってもらえたので、早速売り子になって売って売って売りさばいた。ときどき「追加の肉買ってこい」とか、「ちょっと炭を見てろ」とか、店主が労働条件を守ってくれなかったけどその分多めに請求してやる、後で見ておれ!


 すでにチュートリアルを終えた『運搬』のおかげもあり肉の調達は楽だったし、炭を見てるのもたまに『微風』を使って扇いでる程度で済んだ。


 店主が「焦がさないように肉を見ておけ」とか言い出したので串をくるくるしたりもした。


 バイトを終えると『串焼き』5本をもらえて、お給料500zと肉のお使いのお釣50zが報酬となり、クリアとなった。労働条件違反による給料アップはお釣で済まされた。まあ1割と思えば…。『串焼き』も1本50zで販売していたのでまあ、うん。


 ついでに『料理(焼く)』のスキルを覚えた。これは(煮る)とか(炒める)とかあれこれ合わせて覚えると『料理』スキルがSP無しで習得できる、ラーニングスキルというやつだ。


 焼けば大体のものは食べられるし、これで魚も焼ける。やったぜ。


 店主に手を振って別れてチュートリアルをクリア。

『初心者のゴザ』を入手した。ゴザは市場で店を開くためのアイテムだ。3アイテムまで販売出来る。


 こうして私は長い長い、スキルチュートリアルを終えたのだった。

 いや、ほんと長かったな…?


241106 プロローグを入れるため改稿(3話まで)

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薬草玉をさらに圧縮して初手敵の口の中に放り込みたくなってきた
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