67.リザルトと『転変』
今回のリザルト。
BOSS戦がなかった分、経験値としては少なめ、かと思いきや、クエストリザルトでの経験値報酬がかなり多めだった。これは生産職参加が多くなるクエストだからかな。
戦闘出来ない純生産な裁縫師互助会では、何人かLVUP花火がポンポン上がっていた。おめでとうおめでとう。
生産もみんながっつりやったのでスキル経験値もたくさん、各種レシピも手に入ってほくほくだったみたい。猫も錬金術のクエストレシピを写させてもらい、『変成』の分も含めて3つ覚えた。
そう、釜をフル回転させていたら、ついに錬金術LV30になることが出来たのだ。やったぜ。まだ試してないけどね!
他には、山ほど作られた小人さんのぬいぐるみ、かれらは村へ帰ってしまった。スプーキー・インプたちと共に暮らすようだ。
アルテザの絵文字が浮かんだりしていたので、アルテザにいたら、小人の靴屋よろしく手伝いにきてくれるのかもしれない。
今回の報酬は小人さんかなと思ってたので、ちょっと当てが外れたな。
やはりアトノ島みたいに、全然関係ない報酬が出るやつなのかも?
とか思ってたら判明した。
獣の神が言った『面嵌命、月光授』が気になったショーユラさんと、エドさんとナマナマさんが結託して、神殿で購入した獣のお面に嵌め込んだら効果が出たらしい。
『転変の面』でその名の通り、『転変』スキルが使えるようになる。
獣の神のところでもらった精霊さん――つまり猫はロミコだが、効果がMP増強と土属性強化だったから、何の違和感も持ってなかったや。さすが生産職は目の付け所が違う。
ちなみに転変スキルがついたら属性強化は消えるらしい。MP増加は残るけど。
今回参加したみんなは試作も兼ねて無料でお面にする、とのことでお言葉に甘えて猫もお面にしてもらった。
原石だった宝石も磨いてもらってしまった。
出来上がったお面が虎ではなく黒猫になってたのはご愛敬だ。ショーユラさんいわく『トパーズの金目に合わなかったんで!』とのことだが、虎は普通、金目では!?
まあ、黒猫とても可愛いのでよし!
みんなの仮面が出来上がってから、テスト報告も兼ねてお試し会をしたらカオスになった。
『転変』は装備者を転変させるスキル。たとえば獣人であれば、その混ざってる獣に一定時間、変化できるらしい。オードリーさんは体長3mのアライグマになった。着ぐるみよりでかい!
転変は種族に依存するらしく、巨人族は始祖と呼ばれる更に大きな巨人族に、ルイネアであれば精霊に似た姿に、妖精族であれば妖精に似た姿に、人間であればその血のどこかで混ざっているナニカに(つまるところたぶんランダム?)に、転変できるそうだ。
装備スキルだが『10/10』のように数字が書いてあり、使用するとカウントされる。もしかしたら使いきりかもしれない、とのこと。
「残り回数1回になったら別の石に移動してもらうとかかも?」
なるほど継ぎ足し式?
猫は宝石にしたからか、回数は30回だった。アイテムのレア度に関係するんかな? うっかり壊れたら絶対嫌だから気をつけねば。
ちなみに猫の転変は普通の猫ちゃん。つまりイエネコ。灰色の美猫よ。四足歩行になるんだけど全然不便はなくて、ただ視点がめちゃくちゃ低いのだけが困った。でも慣れるといろいろなところへいけそう。なお効果時間は15分、自力解除も可能。
これは猫が戦闘には不向きな変化だったからで、戦闘に有利な獣人やルイネアの変化は3分と短めなんだって。
なお猫が黒猫じゃなかったことからわかるように、お面の形とは無関係に、完全に種族依存で転変する。
意外な転変だったのが小人族で、第三の眼が額に開いてびっくりした。元々、始祖は三眼だったのかもって話。
「種族クエスト……アレですわね!?」
「アレが小人族だとは思わないじゃん!?」
「謎が解けたよな~」
エドさんも種族クエスト行き詰まってたらしくて、なんかヒントがあった模様。よかったね。
なお効果は視力がめっちゃよくなるらしく、戦闘・斥候系で効果時間は5分。弓が撃ちやすそう、とのこと。
ランダムかと思われた人族だが、どうやらスキルに引っ張られてそう。
「系譜スキルが影響してるっぽいね~」
『純魔の系譜』持ちのフーテンさんは魔法系(髪が伸びる)、『鉄壁の系譜』持ちのヤマビコさんは盾系(角が生える)。効果時間はともに3分。
そもそも系譜スキルって、人族しか取れないんだって。なるほど。
リーさんは系譜スキルを持ってないので、ランダムかそうでないかは謎だが獣化していた。完全獣化ではなく、うさ耳の生える獣化。魔法系上昇の戦闘系とのこと。ちなみにペチカちゃんもこれ。魔法系統だとこうなるとか? こちらは効果時間は7分。強力なほど効果時間短めになるっぽい?
なおリーさんは耳が立ってたけど、ペチカちゃんはロップイヤーだった。その違いもランダムなんかな?
ポユズさんの精霊化は大変美しかった。全身が金色に輝いて、燃えるみたいにオーラが渦巻くのだ。全体的にステータス上昇だそう。
地人族のバンザイさんも精霊化に似ていて、金ではなく赤く燃えていた。こちらもまんべんなく増加するそうで、基本は戦闘用だが、生産にも使えそう、とのこと。なるほど。
裁縫師互助会は系譜スキル持ちはいなかったので、みんなランダムっぽい。しかし着ぐるみだったため、変化が良くわからなかった。中身の変化は本人にしかわからない。
概ね戦闘系や、たまに探索型(猫のように小動物変化)だったそうで、生産系補助とはいえず、ちょっと残念な結果に。
やっぱりこの精霊にまつわるクエストって、いちばん頑張ったところにご褒美がないちょっと意地悪なクエストだよね。
でも本人たちは面白いスキルが手に入ったと喜んでいたのでまあ、いいのかな。
今回は神殿で購入したお面への加工だったけど、もしお面から自作したらもっと違う効果が出るかも、ていうんで、件の三人でちょっと研究してみるらしい。設計のナマナマさん、製作のエドさん、仕上げのショーユラさんのチームだ。どうなるか楽しみ!
あとはそう、林檎。
林檎、6個採れた。これはたぶん参加PT数でしょうな、てことで各PTに1個ずつ分配。
林檎はマレビトダンジョンの拡張にも使えるらしくて、裁縫師互助会のPTはみなダンジョンに捧げていた。それが揉めなくていいよね。
硝子連合も『ガラス工』でマレビトダンジョン作ったときのために保管するらしい。
フーテンさんたちPTは猫にくれた。これでチャラってことですな。
残る猫とペチカちゃんのPTは、どうするか迷って結局、またふたりで遊んだときにこういうことがあったら使おうね、ということで保留、猫が持っておくことになった。
にゃふん、荷車もあるので重いものは歓迎ですにゃん。
終わってみれば報酬は林檎、大量のレシピ、精霊の住処と換金性のないアイテムばかり。ミニダンジョンで手に入れたアイテムは限定ばかりだったのでほとんど消えてしまったし、金銭的には全然よろしくないクエストだったのが意外だ。むしろ経験値効率がいいとは思わなかったな!
最初の小人作りで持ち出しのあったショーユラさんたち、もしかしなくても大赤字だったのでは、と心配したが『レシピがこんだけ手に入ればむしろ黒ですよ!』とのことだったのでよかった。
ショーユラさんは小人に手伝ってもらったスピードを忘れられないらしく、『青い森の小人さん』を入手すべく、再現に挑むつもりらしい。
「ヤンデレはダメにゃんよ~」
「ぼくほど健全な愛の持ち主はいませんよ!」
ペチカちゃんは訳知り顔で「そういう人ほどはまると深い沼があるんですよね」とうなずいていた。そういうものなの…?止めてあげてよ!
『青い森の小人さん』を作るには『祈陶玉』が必須で、陶芸家バンザイさんの協力が不可欠だ。ここでもタッグが組まれた。もちろん『祈陶玉』の製作には『泥玉』が必要なので、リーさんと猫の錬金術師コンビも参加。
ついでに人形製作にはここがいちばん近そう、てことでガラス工で人形遣い志望のナマナマさんも特別参加。バンザイ先生の弟子になるらしい。
「有能なガラス工を奪うつもりですの!?」
「誤解!!!」
「私のために争わないで!」
お約束的にティアラさんが荒れたけど、まあ予定調和。なおナマナマさんは爆笑していた。仲がいいなあ。
裁縫師互助会には、ペチカちゃん共々かなり感謝されてしまった。
「今回は本当にもう!とてもお世話になりました!」
「にゃん~、むしろ猫たちがたくさんお世話になったにゃん~」
「そうです! 私たちふたりじゃ絶対どうにもならなかったと思うので、本当にありがとうございました!」
「いえいえ、あきらめていたクエストに参加させてもらった上、役目もしっかりもらって、マレビトダンジョンに林檎まで……家宝、いえ、クランの宝にします!」
マレビトダンジョンはたしかにクランの宝としてふさわしいとは思うので、大事にしていってほしい。ツリーハウスみたいになるのかな? 整って人を招待してもいいようになったら、お邪魔させてもらう約束をした。楽しみ!
ちゃんとフレ登録もしてもらいました。アイコンも着ぐるみだったので、誰が誰かわからなくなる、なんてことはなくてよかった。
リザルトとしてはそんなもんかな。
猫としては今回のクエストのおかけで、錬金術師がついにランクアップしたのは大きかった。
ランク5は『じっくり錬金術師』。これは長時間かかる『圧縮』ばかりやっていたからだろう。つまり、犯人はロマン羽根…! ある意味ロマン錬金術師といえるかもしれない。言わなくていいけど。
ランク5お祝いのSP10ありがたや~。
それから後回しにし続けていた商人のランクアップもしました。……ランク5『成金商人』になった。知ってた!
でもショーユラさんが『成金商人』持ちで、『成金商人』の効果は「NPCから金銭的報酬がちょっとUPですよ!」て言うから!
人聞きは悪いけどそこまで悪いものでもないらしい。フーテンさんいわく「悪口称号の一種なので多少NPC反応に影響はある」とのことだったので悩んだ。悩んだけども!
成金称号って、低LVのうちに巨額の金を動かすとどうしてもつくんだって。つまり荷車屋台を買ってしまった猫が成金を取らずに逃げ切るには、かなりLV上がるまでランク報告を遅らせるしかないのよ。
さすがにそこまでして避けることもないかな~それが猫の歩んできた道なわけだしな、てことで覚悟を決めてとった。どうも、成金猫です。
こちらもようやくランク5、SP10だ。SPラッシュ、やったぜ。
あとこれも後回しにしてた『牧畜』。ランク2あがって、『牧畜家』からの『駆け出し牧畜家』、そしてランク4『ラコラ・ブリーダー』になった。
別に…別に増やそうとしたわけじゃないのに!
それからついでとばかりに農業もランクアップ。いっそラコラ農家になってやる!と思ったけどこちらは予想が外れて、ランク4『小さな農家』からランク5『小地主』になった。SP10獲得。
『小地主』は自分以外の使役、または雇用した存在に農業を任せているとつく称号らしい。たしかにラコラは自分で王国を築き上げてますね…。
所持している土地の力にわずかながらプラス効果がつく称号なので、マイルームの庭の繁殖力?が上がるらしい。
……。
ラコラがますます繁栄してしまう。早くどうにかしないと…!
そうそう、アルテザで樵のランクアップもした。こちらは『見習い樵』から『樵』になれただけなんだけどね。
猫のランクアップはそのくらい。
冒険者は上がったばかりなのであがらなかったにゃん~。
これにて『アルテザのお化け』編は終わりです。
隠者の村が因習村ミステリーだったので、アルテザ編はメルヘンホラーでお届けしました。
評価、ブクマ、イイネありがとうございます。
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