表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブレーメンの錬金術師は散財したい  作者: 初鹿余フツカ
3章 金欠猫には旅をさせよ~誘惑の山旅編~
154/281

59.廃村ダンジョン

 えーとまず『石ころ』、『ドーリンデンの枝』、そして『ラミラミ草』、と。

 これを……どうするんだ? スキルがないからよくわからんな。そもそもこれは何スキルなんだろ。木工? 石工?

 とりあえず石と枝を組み合わせて、草で束ねればいいはずだ。むむ……むむむ………?


 とんとん、と肩を叩かれて振り向くと、半裸のぬいぐるみが『任せろ!』とばかりに胸を叩いて後ろに転がった。よいしょと起き上がる。


「手伝ってくれるにゃん?」


 指があればサムズアップしただろう動き。

 おお、これはやってくれるか?


 早速お任せすると、何人かのぬいぐるみが集まってきてあれやこれやと話し合い(?)つつ、てきぱきと石斧を作っていく。おお、なるほど、まずは石を加工しないといけなかったのか。てことはやはり石工だったのかな、などと見守っている内に、あっという間に出来上がってしまった。

 そして出来上がった石斧がポン!と増える。


「にゃあ」

「ひとつでも道具を作ってあげると全員に行き渡るんですかね」

「なるほど??」


 猫が作ったとは到底言いがたい状況だけどいいのか…?

 それでも石斧オプションが足されたおかげか、5人1組だったぬいぐるみの伐採作業班が3人1組になり、作業効率は大幅に改良された。


 これは、オプションを随時作って足していくのがよさそう?



 木の伐採の次は崖が崩れたようなところへいき採掘。ここには『壊れたツルハシ』などがポロポロと落ちており、集めたら10個以上あったのでものは試しと錬金釜でチンしてみたら『ツルハシ』になって解決した。

 最低品質だったが、小人たちに渡すとエッサホイサとすごい勢いで掘り始めたので、渡すものの品質は問わないっぽい。


 ここで取れたのは『銅鉱石★』。星付き素材は、通常素材と名前は同じだけどイベントアイテムしか作れない上、イベントが終わると回収されてしまうアイテムだ。

 これが『?真鍮線』とかの材料になるんかな? 『?王錫』とかの材料は聞いてないけど、やはり金とかなんだろうか。どこで手に入れるんだ。



 次は淀んだ沼の清掃、らしい。水を塞き止めてしまっている『流木』やその他のアイテムを回収していく。

 ぬいぐるみたちが何のためらいもなく沼にダイブするのでペチカちゃんが悲鳴をあげていた。あれは誰が直すと思ってるんだの悲鳴だな。

 猫とペチカちゃんはひたすらぬいぐるみに『クリーン』をかけ続け、かれらが拾い上げてくるアイテムの回収に専念した。

 いや、だって沼、深いっぽいんだもん。猫は沈むやつ。ぬいぐるみもたまに溺れたりしているので、適宜『アポート』で救出。


「にゃん~、この『沼地の泥』も錬金素材にゃんね」

「じゃあいっぱい拾っておかないとですね!」


 たしか『?泥玉』の素材を作る素材で、圧縮していい素材だ。ぬいぐるみを見守りつつ釜チン出来ればよかったのだが、さすがにMPカツカツよ。

 もう少し撥水素材で出来てるとありがたかったんだが、そううまい話はないようだ。

 水を避けるアイテムが思いつかない。


「これは何を用意してあげればよかったんでしょうね…」

「イカダくらいしか思いつかないにゃん。でもイカダ作っても飛び込む気しかしないにゃん~」

「たしかに…! 回収、手作業みたいですもんねえ」


 あれこれ話しつつ見守ったが結局いい案は見つからず、ここでタイムアップ。

 今日のところはミニダンジョン1周でいい時間になってしまったので解散となった。




「あそこは沼カエルというmobを倒すと、レアで『カエルのキグルミ』が手に入りましたわ」


 翌日、既に回り終えてアイテム製作に入っているティアラさんからそう教えてもらった。

 どうもmobを倒しても素材は入手可能らしく、ある程度戦闘できるならmobと戦った方が効率はよかったみたい?

 ただ、採取してくる方が品質はいいようで、それはそれで感謝された。メリットがあるならよかったね。

 猫たちはすっかり忘れていたガラスの素材、『?砂』は、自由だなあと思っていたルビーの『郵便鞄』に山ほど詰め込まれていた。砂浴びじゃなかった。ちゃんと採取してるルビー先生、えらい。そういえば砂も必須素材だったよ…。うっかりにゃん。



 昨日の解散後にみんなで集めた素材を集合させて、それぞれがレシピからアイテムを製作している。猫も釜を回転させて細かい素材作りをお手伝いしたし、ペチカちゃんも『裁縫』の細かい素材のお手伝いをしていたそうだ。



 今夜は赤月夜。

 しかしまだまだ夜時間まで間があるので、生産スキルはあるけど30越えてない猫たちは、時間いっぱいミニダンジョン周回だ。3回はいけそう。


 ちなみに生産スキルのないフーテンさんとオードリーさんも周回組だ。一緒じゃないのは、二人とも戦闘の方が実入りがいいからである。LV的にソロで問題ないことがわかったので、孤独に無双してmobから素材を巻き上げる予定らしい。

 二人とも孤独にソロ周回なのは、LV差が大きいからだって。風魔法は範囲型で吹き飛ばし(ノックバック)付きが多い。タゲが剥がれやすい分、本人は比較的安全だが、LVの合わないタンクとはPT相性がよろしくない。仕方ないねえ。


 そうそう、フーテンさんといえば絨毯はちゃんと渡しました。渡したというか、売ったんだけど。

 お試しにルビーに魔法をかけてもらって乗ったフーテンさんは大興奮で買ってくれた。60万でサクッと即決、さすが大商人はお金持ち。

 なお魔法をかけてから乗る、順番を間違えるとスッ転ぶので注意が必要だ。猫は何も見てないよ。


「ありがとうありがとう、星魔法は『軽』しか持ってないけど、『フライ』探してみるねえ~!」

「もし見つけたら猫にも教えてほしいにゃん!」


 どうやらフーテンさんの爆発してる教本売店でも星魔法は出ていないらしい。残念だ。やはり16属性以降の魔法はひとつずつ集めていくタイプなのかな? ややこしそう。


 閑話休題、ミニダンジョン。

 沼対策に他の班から出たという『カエルのキグルミ』、他にも何やら使い道のわからないレアアイテムをいくつかお預かりして、いざいかん2回目の廃村(?)へ!




「にゃあ、すっきりしてるにゃん」

「巻き戻るかと思ったら違うんですねえ」


 昨日と違って草丈は揃って綺麗な小道に、わさわさの倒木もなくなって、崖崩れの跡も綺麗になっている。

 しかし昨日終わらせてなかった沼は淀んだままで、結構取り除いた流木や泥もおかわりされている。


「経過が残るタイプっぽいです?」

「アライアンス共通じゃなくて、PTのみ反映みたいにゃんね~」


 しかし我々にはこのもらってきた『カエルのキグルミ』がある!

 ついでに昨日よりぬいぐるみもバージョンアップしており、『青い森の小人さん』も参戦しているし、更には『小さなお洋服』も装備されている。死角はない。

 かれらに『カエルのキグルミ』を渡すと、ポン!と増えて全員がキグルミ姿になった。

 全員でゲコーッのポーズ。…芸が細かい。


「わあ、はやい!」

「すごいにゃん!」


 昨日のはなんだったのかというくらい作業が早い! そしてお世話も特に必要ないくらいスイスイ進む。猫たちの仕事といえば、小人たちが拾ってきたアイテムをインベントリに詰め込むくらいだ。道具って大事だな!


 あっという間に沼地は消え、小人たちが石を積んで整えたかと思うと、塞き止められていた水は綺麗な小川となって流れ始めた。


「泉が復活しそうですね!」

「その前に切り株のキノコ狩りみたいにゃん」


 小人たちがキグルミを脱いでキノコに向かっているので、たぶん順路はあちら。

 ちなみにキグルミは消耗品。そう聞いていたので、複数もらってきているから問題ない。


 ついでにあのキノコは採取スポットに見えて実はmobらしいので、投擲で倒す。魔法だと増えちゃうタイプなんだって。ショーユラさんが犠牲になって得た情報である。南無。


 ペチカちゃんが木の枝と紐を使って即席のスリングショットを作ろうと格闘していると、小人たちが手伝いにきて作ってくれた。そして出来上がる投擲軍団。


 猫も従魔法で支援しつつ投擲だ。久々にレトも投擲していたが鈍くなったので飛距離が出ていない、残念。君はもう魔法師なのよ…。

 ルイは牧草を見つけたらしくマイペースに草を食み、ルビーは『地団駄』で支援してくれた。見事にやってることバラバラだな!

 とはいえペチカちゃんのところもピピちゃんは岩を投げて支援したかと思えばマッスルポーズを決めてるし、ペペちゃんはやることねーやとばかりに座り込んでるし、自由である。さてはペチカちゃんも『統率』『指揮』辺りは取ってないな。


 そんな自由すぎるPTでも、小人さんたちがいれば百人力、ペチペチ小さな石礫も雨のように降り注げば立派な戦力だ。キノコたちもアアーと倒れていく。…よく見るとキノコかわいいな。

 キノコが倒れたらサクサク回収だ。これは染料とか、塗料になるんだって。たまに黄色とか青とかのキノコがあり、それはレアらしい。



 キノコを終えたら、ちょっと広くなった川辺へ突入していくぬいぐるみたち。


「また濡れるにゃん…!」

「キグルミ着て!!」


 走ってぬいぐるみを取っ捕まえるペチカちゃんは頼もしかった。


「王錫の金はどうするんだろう?て思ってたにゃんね…」

「まさか砂金拾いとは…気の長い話ですね」

「きっと合金にゃん。実はぜんぶ真鍮かもしれない」

「愚者の金…!」


 砂金拾いとはいうが、落ちているのがナゲット(砂金が固まったもの)なので、割と目視で拾っていける。リアルではない体験ですな。

 アイテム名としては「自然金★」で、品質は低め。サイズが品質に現れるタイプのアイテムっぽいな。


 ペチカちゃんと猫も足を川に晒しつつ、ちょっと拾ってみたりした。淀んだ沼には入りたくないけど綺麗な川には入る現金な猫たちである。


 目視で拾える砂金ナゲットなどそう数が多くないので、拾い終えるのもすぐだ。いくら小さい人形とはいえ、王冠やら王錫やらを作るには到底足りない気がする。なにか道具がないと難しいかな?

 でもバケツにしてもザルにしても、その辺の道具で作れるようなアイテムじゃないし、お預かりしたレアアイテムにもそれっぽい道具はないんだよねえ。


石斧はスキル持ちが作っていれば小人1人につき1本伐ってくれるようになります。猫はスキル無しだったけど「作り与えようとした」ことでヒント的に恩恵をちょっとだけ得てます。


評価、ブクマ、イイネ、感想、誤字報告ありがとうございます。

今週も月曜から金曜まで猫をお届け!

まったりいきましょう~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ぬいぐるみ「もっと私に頼っていいのよ!」みたいな …ダメ生産職製造機にゃん [一言] 郵便鞄とぬいぐるみの中には砂と泥がいっぱい詰まってるにゃん 洗っても洗っても隙間から入り込んだ砂が残っ…
[良い点] 戦闘以外で活躍できるダンジョンいいですね。努力賞で効率アップは採点甘めで優しい。 そしてアアーとやられていくかわいいキノコ達、と聞くとポップでコミカルな場面を想像しちゃいます。敵も味方も…
[良い点] 更新ありがとうございます。 次も楽しみにしています。 [一言] これはただのダンジョンやないな。 復興させたら何かあるな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ