幕間:思い立ったが吉日
連載開始半年記念の幕間です。
ポーツ→アルテザ間のどこかの話。
ちょっと休憩してマイルーム。
庭が癒しスペースではなくなってきたことに猫は最近、危機感を覚えている。
それはそれとして、リーさんたちにもらったホースマンドラコラの交雑はやってみたいんだよね。
……畑を乗っ取られてもやりたいこの好奇心…これがマッドサイエンティストの心境なのか…? いやいや??
さておき、マンドラコラである。
一通り調べたところによると、そもそもマンドラコラそのものが交雑しやすい。なので群生地以外で野良マンドラコラ(野良マンドラコラ???)が生まれた場合、野良は一代で終わるんだけど、野良マンドラコラの血統(血統???)が受け継がれて、そこにマンドラコラが突然変異する確率が高まるそうだ。
マンドラコラが畑を侵略する勢いで増殖するとか、畑に悪さするとかいうことは特にないんだけど(収穫の邪魔はしにくる)、それよりもマンドラコラは魔物に狙われやすいということの方が、農家にとってははるかに問題だったりする。
ゆえにマンドラコラは有用な植物ではあるけど、畑に生えると困るものでもあるそうな。
はい。
マイルームの庭なので、魔物が入る余地はない。その点は安心だ。これがギルド畑だったら、ちょっと考えないといけないのかもね。
まずは、おさらいだ。
マンドラコラの前段階と思われる、歩く大根こと白ラコラについて。
赤ラコラから白ラコラを作るにはまず赤ラコラの白変種の種を得る必要がある。
この白変種は最初は歩かない。これを初代として、白同士で結実した2代目から初めて白ラコラの種が採れる(それまでは赤ラコラ)。
ちなみにダンジョンの白ラコラを捕獲して栽培する方法もあるが、畑でやると花が咲く前に土から脱走して死ぬので、花を咲かせるのが困難らしい。…捕虜になったので自害みたいな感じか?
ちなみに白ラコラたちは、儀式(葬式?)によって受粉するっぽい。花が咲くとペタペタしてるのでたぶんそういうことなんだろう。まあある意味では自家受粉と言えなくもないが、虫媒に近いんかね?
猫んちの白ラコラは、シュガーマンドラコラと赤ラコラの交雑である。
覚えているだろうか、大根はアブラナ科だから交雑しやすい、と思ったことを。
……シュガーマンドラコラ、大根じゃなくない? 砂糖大根では??てあのあと思い直したのよ。
砂糖大根ことビーツはヒユ科だし、更にいうなら後々調べたところ、大根はアブラナ科のなかでも比較的交雑しにくい種だとか。
オワーッ間違えてたじゃんはずかしーッ!!
いやでもマンドラコラとしては交雑出来てるので結果オーライ!?
てことでまあいいか! 猫の迷言を聞いたフーテンさんたちは忘れてくれていることを祈ろう。
そんなわけで、猫んちの白ラコラはアブラナ科じゃないのも入ってる説。
つまり、ヒユ科と合わせてもイケるんじゃない?
白ラコラが青ラコラを作ってしまった件で、考えてたのだ。白ラコラ同士ではラコラたちにも進化に限界があるのではないかと。
何か別の種と交雑させた方が、マンドラコラへの道は開くのかもしれない。
となると、アブラナ科ではなくここでヒユ科を混ぜるのも手なのでは。
いやラコラをパワーアップさせていいのか!?という自問自答はもちろんあるんだけども!!
好奇心が抑えられない…!
これが…これがマッドサイエンティストのキモチ…!
てことで、庭にたぶんほうれん草な気がする『ポポ菜』を植えてみることにした。
…もしかしたら小松菜かもしれんが、小松菜だったらアブラナ科だし大根化が進むだけだろう、問題ない。
それにアルミハクさんによると、ポポ菜は白ラコラと交雑しやすいらしいので、なんとかなるはずだ!
さくっと『グロウシード』で発芽させて『タイムパス』で育てた『ポポ菜』の苗を、庭の畑へ植えにいく。
自分たちの嫁候補(??)だとわかるのか、ラコラたちに妨害されることはなかった。うんうん、大事にしてあげるんだぞ…。
はい、本題から外れた。
ホースマンドラコラを交雑させたかったのよ、うちのラコラじゃなくて。
うーん、せっかくだからカンラ菜にしようかな。カンラ菜はキャベツ。ホースラディッシュもアブラナ科だし、モンシロチョウの食害を受けるから、似たような系列ってことで。
ちなみに種はアルミハクさんたちから分けてもらったやつ。ランクでまだ買えない種ってことは、育てるのにLV足りないんじゃ?て思ったけど、そういうわけでもないらしい。
ランクが低い内は、広い畑で育てる薄利多売系の種は出にくい傾向にあるんだって。あとランクアップで売店に増える種はランダムなんだそうな。そうなの!? 『ポポ菜』が出たのは当たりの部類なんだって。
猫はセンジさん(フレ登録でお名前判明したフルク&ミモモとアゲハの使役主さん)のアゲハみて、ちょっとバタピーこと蝶々が気になってきたりもしている。
食害されない程度に育ててみたい気も少々。しかしマイルームや畑にくるものはテイム出来ないからなあ…。
余所事を考えつつ、まずは青ラコラたちを収穫。ほとんどは青大根として収穫して出荷。いずれ交雑に使うかもしれないので、1本は花を咲かせて(インベントリで)保管することにした。
そんなわけでベランダは再び空っぽになった。
んー、まずは交雑して種を取って、1代目の種を取るまでは『タイムパス』使いつつ、一気にいけるかな?
その前にまず『カンラ菜』の花を咲かせなければ……、おお、なんて立派なキャベツ。これを更に『タイムパス』するのはすごく心が痛む!しかし 好奇心が心を鬼にする!
はい、花が咲きましたー。
そういえば交雑するから種がばらつくんだっけ。今回は最低品質も圧縮せず取っておいて育てようかな。
相互に受粉させて『タイムパス』と。
はい、種が取れました。
品質にやたらばらつきのある『カンラ菜の種』と、品質にとてもばらつきのある『白ラコラの種』になった。
やはりマンドラコラの方は『白ラコラ』になるんだなあ。緑とか、青にはならない。白が基本で、そこから別の色に変化していくものなんだろうか?
……考えると沼が深すぎるのであまり深く考えんとこ…。
種の数は交雑させずに育てるより大量になる、というのは以前やったときと同じだな。これも謎だが、ほとんどが最低品質だから種が小さくなるとか、そういう感じなのかね?
リアルだと水に浮かべて沈んだ種だけ育てたりするけど、ゲームでもそういうの、有効?
ものはためしとバケツに『ピュリファイ』して浄水を出し、最低品質の『カンラ菜の種』をバラバラと。
わー……、ほとんど浮く。沈むの数粒だけだ。
沈んだのを植えることにして、残りは錬金術だな。あんまり種多すぎても植えるところないしね!
同様に『白ラコラ』の種も。……ありゃ、こっちは全部浮く。
うーむ、まあ『白ラコラの種』は圧縮して『紫ラコラの種』になったりしたし、属性魔法アレコレ試す材料だ。
結果としてカンラ菜は植えられるのが5粒(うち3粒は最低品質)、白ラコラは2粒とかなり少なめ。
マンドラコラからの交雑で種を手に入れるのはかなり効率が悪いのかもしれない。
プランターに採れたカンラ菜の通常品質2粒と白ラコラ2粒をそれぞれ植えて、最低品質で沈んだ種に『グロウシード』を数回かけてどうにか発芽させたものを別のプランターで育てることに。
んー、次世代は動いてもちょっとだろうし、このまま種までいくか。
予想に反して葉っぱがピコピコしたのは『白ラコラ』だけで、『カンラ菜』は最低品質はピコピコしたけど、通常品質の方はしなかった。性質が違うやつになったってことなんかね?
無事に花は咲いたけど、さてどの組み合わせにすべきか。
最低品質の『カンラ菜』はマンドラコラ強めに出てるっぽいから、『白ラコラ』と交雑。
通常品質の『カンラ菜』は『カンラ菜』同士で。
『白ラコラ』の残りも『白ラコラ』と。
そーれ種になーれ『タイムパス』!
はい。
やはり違う品種掛け合わせると数が爆発するな。最低品質『カンラ菜』と『白ラコラ』を掛け合わせた種がすごいことになった。
そして『カンラ菜』から採れた種なのになぜか『白ラコラの種』になっちゃってるの多い。全部は最低品質。通常品質は合わせて10粒以下。
更に3株合わせて1粒だけ『緑ラコラの種』の通常品質が採れた。おお、新種!
『緑ラコラ』は歌うっておばちゃん言ってたっけ? なんかそんな記憶。
ちなみに『カンラ菜』同士を掛け合わせた種は普通に『カンラ菜』だ。『白ラコラ』も同じく。
数が爆発した最低品質の種は水に沈めるとほぼ浮いたので、これは錬金術用。たくさん実験できるぜ。
100粒はありそうだから、毒属性で『紫ラコラの種』を作って低品質まで上げるか、他の属性を試してみるか悩むわあ。
買っててよかった初級錬金釜(予備)!
ということで早速圧縮実験といこう。
前回は数がなかったので無・木・光・毒に絞って実験した、とメモしてある。ちゃんとメモしてる猫、えらいぞ。
てことは地水火風、回復、闇、氷、雷、空間、時空、聖、で15属性。星、金、幻を足して18属性。
さすがに140粒はない……と思ったらあるな。2回掛け合わせたからなあ。
つまり全部実験できる。が、火は結果わかりきってるので一番最後にしよう。
特別何か変わりそうなやつからいくとして……。
……はい。
結論から行くと変化したのは、回復属性と聖属性の『白雪ラコラの種』、雷属性の『黄ラコラの種』、共に最低品質。他は変化無し。
『白雪ラコラ』は掲示板で見たことある。回復する大根だ。おでんがオススメらしい。動かないならヤマビコさんにあげるとこだが、残念ながらかなり活発に走るらしい。
ダンジョンでは走り屋と言われるくらいにはしゃいでるようなのでお察しである。う、うーん。
『黄ラコラ』は見たことも聞いたこともないなあ。
これで最低品質だが黄色と紫、通常品質の緑と青があるわけだが、さてどう育てるべきか……。
増えすぎても逆に困ってしまうもんだなあ。
マッドサイエンティストもこうして途方にくれるのかもしれないな!
とりあえずベランダでは、植木鉢で『緑ラコラの種』と『紫ラコラの種』をそれぞれ育ててみることにしよう。両方とも発芽までは『タイムパス』をかけて、後はゆっくり育てる。
うーん、充実の実験でしたね博士!
…。
現実は見ないのが実験のコツだな……。
久々の農業回でした。
記念なのにラコラでいいのか?? みんなとワチャワチャするイベント番外編のがよくない?とか思ったんですけど、ホースマンドラコラ植える話は3章のどこかで書いておきたかったので、脈絡なく農業を挟めるチャンスは今!とすかさず挟むことにしました。
幕間というより本編ですが、脈絡なく農(以下略)。
月曜からは戻ってアルテザ観光です。
評価、ブクマ、イイネ、感想、誤字報告ありがとうございます。
次回更新は7/8(月)です。
今週もお疲れさまでした。