39.猫の店~従魔のおやつと魔法玉屋~
『猫の店、開店にゃん!』
開店お知らせGPS付メールを希望者各位に送って、開店!
なんだかまたまたお久しぶりになってしまった露店だ。前に自由都市で従魔のおやつ屋を開いてから、結構経ってるんじゃない?
自由都市でのんびりしてると、時間がすぐ過ぎちゃうにゃん~。
あれからギルド書庫の本を読み漁ったり、お手紙セットを探し回ったり、荷車屋台をさくっと購入したりした。
屋台の購入は手続きかなり大変だったりしたんだけど、それはまあいいや、過ぎたことよ。今はマイルームの庭に置いてあります。
大根エリアに置く予定が、ルイエリアになってしまった。猫は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の大根を除かなければならぬと決意した。とはいえ猫は無力。
そんな感じでまったりしている内に今日はたぶん精霊関連の情報解禁日。
たぶん、というのは暗黒夜ということに決めたから。たぶん今夜がそうだけど、ズレることもあるのが暗黒夜だからね。
暗黒夜なら夜になればそうとわかるし、それから3日後が月夜でわかりやすい。
『月と精霊の扉』のおかげで、次は風光の季で、赤月夜になることも判明している。
精霊スポットも赤月夜は多め、ここがちょうどいいなってことになったらしい。
だから今、硝子連合はフル稼働だ。
フーテンさんたちもお手伝いってことで、猫の知らない砂漠やら鉱山なんかの、砂が取れるエリアで採掘採取戦闘三昧しているらしい。
『砂が取れるmobて普段はハズレなんだけど、今はやった~てなるわ~~。過疎地でよかった、不審がられちゃう』
『情報解禁したらきっと賑わうにゃんね~』
今もどこだかの砂漠でドバドバ砂を吐くサンドワームをボコボコにしているらしいフーテンさんはお暇してた。砂漠は風耐性のある敵が多いので、風魔法師はお役に立てないらしい。その分、他属性持ちの召喚妖精たちが働いているそうな。
『今日の俺は魔力電池よ~』と自虐していた。自虐ネタに事欠かない人だな。
生産商人のティアラさんも最近はとにかく作るのが忙しくて、売る方はなかなか露店が出来てないみたい。
元々しばらく休止していたから、掲示板では小人姫引退がささやかれているとかなんとか?
めちゃくちゃお元気に窯回してるけどね。
『ここでガラスに新情報が来たと疑われないところが、ガラスのガラスたる所以なのですわ…!』
『情報解禁が楽しみにゃん~』
こちらもこちらで自虐ネタが捗っている。
猫は冒険者ギルドに通って、最低品質の魔宝石をちょっと集めている。
カーバンクルはさすがになかったけど、魔宝石はまあまあ出回る。価格もまだそこまで上がってないので、3つほどだけど買えた。
…いや、違うこれは散財じゃないよ!
ロニたちの新しいおうち探しをしてたんだけど、どれも誰も入ってくれなかった。かなしい。買取所で買う前に確認するわけにはいかないからさ。
なので残念ながら効果は不明である…!
ちなみに魔宝石にも入れるって話は、今回の情報解禁には含まれない予定。
アトノ島での運送神との対話は、猫(とペチカちゃん)が手に入れたクリティカルな情報だから、もうしばらく独占していいと思う、というのが硝子連合の意見で、猫も反対する理由は特になかったからね。
ただ勘のいい人は当然、魔宝石も試すだろうし、隠しておけるものでもないだろうな、という感じだ。とはいえ最低品質が必要なことに気づかれるまでは、少々間があるだろう。
値上がり前にせっせと探して買って、解禁後に売るのもよい。先物取引というやつよ。
アトノ島の漬物石についても、今回は秘匿予定。
なにせ青月夜がまだ来てないので、再現性と、本当に漬物石が得られるのかの検証が済んでいない。
今季の青月夜は三番目の月だから、まだもうちょっとかかるかな。成功したら掲示板に載せるそう。砂の採れるポーツは更に賑わってしまうな。
そんなわけで、しばらくは精霊の住処といえば『ムーンストーン』『ムーンキャッチ』『硝子アクセサリー』の3種類と世間では認識されることになるだろう。
ガラス工大忙しなのもやむ無しだ。
『採掘持ちも足らん!』と陶芸家ゆえ採掘師として駆り出されているバンザイさんが嘆いていた。『ガラス工』を持たない鍛冶師たちもこき使われているらしい。『我々はティアラ王国の奴隷…』とメールが来ていて笑った。女王様が誕生しておる。
砂の採掘中は虚無なので(心が)暇になりがちらしく、よくメールが来る。だいたい変なネタなのでおもしろい。
猫も『採掘』持ってるけど、採掘師はまずドゥーアなど鉱山のある街へ行かないと就けないジョブだ。一度ついてしまえば出張所が開いて、自由都市でも報告出来るようになるんだって。
早くドゥーアに行きたいところだが、猫はまだポーツで砂浜巡りする方が採れるかも? 採掘、チュートリアルとポーツで岩をカンカンしたくらいで、まだLV2だもん。
さて、メインはいつもの買い取り露店。
最低品質素材、それからガラス瓶の高品質以上。後者はガラス工のLV上げが進むまでは全然ダメそうだけど、まあ期待をこめて。品数絞らなくても別にいいしね。
そう、猫もついに『初心者のゴザ』を卒業し、『普通の敷物』デビュー。買っちゃった!
色は青、7品目置けるようになった。
といっても半分以上買取なのは変わらない。より多くの品目を買い取れるようになったからいいの!
たとえば『カーバンクルの魔宝石(最低品質)』買い取りなんかも冗談で入れておけちゃう。相当安めになってるので、売る人もなかろうけど。
買取だけなのもなんなので、おばちゃんの世間話ついでに購入すると貯まっていくお野菜なども販売する。『ハッピー豆』目当てにしばらく通っていたらすごいことになってしまった。
だっておばちゃん、完売しないとラインナップが変わらんのだもん。通常品質以上の野菜のときはNPCも買うのか早めに売り切れるんだけど、最低品質のときは売れ残りやすいみたい。
猫も、ルイの『黄キャロ』(おやつ)を完全に自家生産に切り替えたので最低品質野菜はもう買わなくてもいい。でも『ハッピー豆』ガチャしてたのと、何度か時間変えても売れ残ってるの見ちゃうと、まあ、買っちゃうよね! おばちゃんの完売ラララ~が見たくてつい。
おばちゃんから聞くマークディアのレイド戦、神官農家たちがいかにすごかったかの話も面白かったなあ。
村にはちょっと被害が出ちゃった(家が壊れたところがあったらしい)けど、畑はまったく無傷で守ってもらえたと嬉しそうだった。
「うちらは畑さえ残っていれば、いくらでもやり直せるからね!」とのことで、まったく強くて頭の下がるおばちゃんである。
はい、そうして手に入れた野菜たちがこちらです、ドーン! まさに売るほどある。売るぞ!
お化けブロッコリーこと『緑ラペ』の新種『白ラペ』も入荷しております。カリフラワーか?
なお『白ラペ』は通常サイズは拳大、お化けな最低品質サイズは手のひら大。猫の手ではなくおばちゃんの手換算。このくらいのサイズになっちゃうと食感が変わって売れなくなっちゃう、とのこと。食感は大事よな。
『白ラペ』に『紫チェナ』……これはレタスだな、それから『カンラ菜』、こっちはキャベツ。
全体的にデカイ!
あと1品なんか置けちゃう。
ん~~、この前回作ったもののビミョーに余ってしまった10分だけ光る『光水』でも置くか……、いや微妙か。これならまだ『光魔法玉』とか、『鍵魔法玉』の方がよさそう。
そうそう、自由都市にある錬金術師の店も行ってきた。
『魔法玉』売ってたし、店売り価格のがマケボよりだいぶ安いということもわかった。
だから露店で売っても、店で売ってる品物は「店で買ってきた」て言えるから、錬金術師と明かす必要はない、と判明。よかった。
鷹の目商店街にある店は主に魔道具で、発動体指輪とか、いろいろ売ってた。魔道杖なんかも。
レト用に魔道杖を、と思ったんだけど、ここでは魔道杖の発動体になる石部分を作っているから、全体デザインになると杖屋に行かないとダメなんだって。
召喚獣や従魔は、人用の武器を渡すとサイズによっては減衰が起きる。レトは最小サイズにあたるので、実はかなりマイナスされているのだ。
レトがスリングは使えるのにスリングショットは使えないのも、装備減衰が起きてダメージ判定がマイナスになるって理由で「装備不可」だったみたい。
猫、レトがスリングショット装備できないのうっかり忘れて『コズミックシュート』を渡してしまってたけど、あれは「装備依存の威力固定武器」だったからレトも使えてたっぽい。
そんなわけで、今渡してある『自由なる魔法師の杖』も、レトには装備減衰が起きてしまっている。だから専用杖を買ってあげたかったんだよねえ。
とはいえ、錬金術の店から「杖がほしいならあっち」と言われた鷹の目商店街の杖屋さん、なんと招待制で一見さんお断り、入れなかった。ぐわー!
今度フーテンさんに聞いてみよ、てところで出張に行ってるフーテンさん待ちで終わっている。
ちなみに錬金術師のお店、委託販売らしくて、店主は錬金術師じゃなかった…。ざーんねん。
主に魔法玉を扱っている、鳩ポッポ商店街の錬金術店も同じく委託販売。NPCも錬金術師隠れてるってこと!?
というか、たぶんクエスト人物だからそう簡単には会えない、とかそんな感じなんだろう。きっと。そうであってくれ。
本格的に探すのは、とりあえずポーツで少年に叔父さんの個人情報もらえるか試してからかな!
ハイ。
露店に出す最後の一品は『鍵魔法玉』に決定。5個限定でマケボよりちょっとお安い。1人1個まで。
そんなわけで開店~~!
今日も露店通りは流れるエスカレーター状態、どんぶらこっこと流れていく人々を眺める作業、それが露店。
お暇潰しに教本でも読むかな~。
「あっ!」
「にゃ?」
インベントリという名の鞄を覗き込んでいたら声をかけられる。おや?
装備からして街着、灰色の髪の人族青年が、猫を見て驚いた顔をしている。
…誰だっけ?
首をかしげていたら、苦笑した青年がフルクと、金色のモフッとした毛玉を召喚した。
……ああ!
以前ミモモのおやつを探して緑ラペを買い込んでいったお兄さん!
「いらっしゃいにゃん~! 今日もミモモのおやつをお求めにゃん? ミモモ大きくなったにゃんね~」
「おかげさまで『緑ラペ』と『草原ホッパー』で進化までいけたよ。いつか会えたらお礼をと思っていたんだ。ありがとうね」
「にゃん~、困ったときはお互いさまにゃん!」
無事進化できたのならなによりだ。
たしかに、前はフルクの首もとに潜れるくらい小さかったのに、今は毛玉が乗っかってるってハッキリわかるくらい大きくなっている。モッフモフ。
お久しぶり露店回。
『緑ラペ』、ミモモのお兄さん→2章30話
『コズミックシュート』性能→1章28話
レトが装備して撃ってるのは2章42話
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