8話
宴会が終わり真夜中の村長宅よりこっそりと荷物を纏めて出ていく人影が一つ。
その人物は村長の家に一礼して村から出ようとしていた。
(……村長さんごめんなさい。武器をお借りします。)
その者の背には片手剣が装備されている。
これは村長宅の倉庫入り口いた物だ。何故置かれていたかと言うと村長の息子が街まで出かける為の旅の一式が片付けるのを忘れて置かれていたのをその者は拝借したのだ。
「君は思慮深く思い遣りが有り、そして自分の事を余り大切にしないお人好しの様だな。昔のフォルを見てる様だ。」
「誰?!」
リンが声をかけられた方へと身構えると誰もいなく、次は背後から人の気配を感じ裏拳を放つ。
「多少武術の心得が有る動きだな、少々お転婆な娘のようだ。伸び代はありそうでなりよりだ。」
「は、離しなさいよ!」
リンの裏拳はディムガルフの左手によりあっさりと止められてリンが手から逃れようとしてもびくともしない。
「私は君を害すつもりはないよ、日本より来た〖救世主様〗だからな。」
「そんなのどう信じろと言うの!?」
リンが受け取った手紙にはリンには神に選ばれた使徒であり世界を救う使命がある、速やかに教会に所属する必用があると書かれていた。
「……君は神の眷属と契約を結ぶ時に承諾したはずだ、『第二の人生を与える変わりに使徒として異世界で救って欲しい。』とそして対価として新たな肉体とスキルを得た……違うか?」
「そんなの無かった!真っ白な人のようなのが『あとは頼む。』とか言ってこっちに放りだされたのよ、信じるなんて出来ない!」
ディムガルフは右手に刻まれた紋章をリンに向けると輝きだしそしてリンの右手も同じ紋章が表れた。
そしてリンの身体に変化が起きる。
全身から青白いオーラが吹き出しリンの目の前に集まりだした。
そしてとある光景が一瞬だがリンには見えていた。
「これは何?」
ディムガルフは苦笑して答えずにリンの質問を受け流すとオーラに目線を移した。
「やはりか、いたずらは程々にされた方がよろしいですよ。」
オーラは次第に輪郭を形づくり現れたのは……。
「精霊様。」
「うう……ごめんよちょっと話しかけるタイミングを逃したというかね。だからリン許し……。」
「ゆ、許すわけないでしょ!バカロキー!!」
「ニャァァ!?」
リンはロキをモフり倒してロキに制裁を加えロキはお仕置きに敗北しリン手の中で白目を向いてピクピクしている。
「フニャ~~」
「ふぅ……それで何この紋章は?」
リンはストレス発散できてスッキリした笑顔で苦笑していたディムガルフに問いかける。
「ん?それは私と君の神が与えた契約繋がりだ、そしていたずら好きな精霊様が君が神より授かった〖神器〗……のはずだが君は選んでないのだろ?」
「ないわよ。神の眷属とやらが人違いで私を選んだとかじゃないかしら?………もしかしたら弟がそうだったのかも?あいつ何か思わせ振りな事言ってたし。」
思い当たる節が最近の弟の行動にはあった、科学の本やサバイバル講習、自家製の調味料の作り方等々を手当たり次第試してたので不思議にリンは又『どうせ三日坊主で飽きる癖に、バカな事始めてたな~』と思っていた。
そう考えるとムカムカして来てロキを抱え込んでい腕に力がはいる。
「グェエエ!ギブキブーー!出ちゃう中身でちゃううう!!助けてディムえもんー!」
「私の名はディムガルフだが?」
「デ、ディムえもん?ギミァアア────!。」
ディムガルフはリンに話しかける前に遮音の魔術により大きな声を出しても騒ぎにならないよう配慮していた。
ロキが叫んでも大丈夫だ、村人達安眠は守られている。