5話
闇ギルド【デーモンズハンド】は途中の中継地点である村の廃墟に到着しメンバーの面々は食事と仮眠を取っていた。
ギタクは別の街で同じく誘拐をしてくる手筈の他の四人の幹部達と合流するのを待っていた。
「此処までは順調だが、やはり【幻死】の奴が気がかりだ………。」
「噂は良く聞きやすが、奴が闇ギルドと事を構えた話は聞いた事ありやせんぜ?」
「【幻死】がいくら強くても、闇ギルド事構えるのは回避しているのでは?確かあの男は目的以外は大抵無視してるようですし。」
【幻死】と呼ばれている男は敵対した者が例え国王でも容赦なく徹底的に叩き潰す。
しかしそれは【幻死】自身や仲間に危害が及んだ場合であり、悪行を知っても危害が及ばないなら無視をするスタンスだ。
「知らず知らずに奴の逆鱗に触れる事もあり得るからな………用心に越した事ない。ディフェルモ、ガキ共の様子はどうだ?」
『イイグアイニ、ヨワッテ、イル。ウツワトシテ、モオシ……………。』
ディフェルモが急に空の一点を凝視して話さない事にギタクは疑問に思い尋ねたのだが、次の瞬間には闇が凝縮して無数の黒槍を形ずくり一気に放たれた。
放たれた槍が何もない空間に突き刺さる、そして刺さった物がけたたましい音を立て落下しそれは起き上がる。
『グオォォオオオ!アオアアアア!!!』
「何、ドラゴンゾンビだとぉ!?」
「ギタク様!お逃げを!!」
ドラゴンゾンビは誘拐した者達が詰め込まれている馬車を凝視しておりギタクは舌うちした。
「逃げるのはお前らだ、転移陣を起動してさっさとアジトに戻って事の起こりを伝えろ!くそ〖ルゥブィヤ〗に伝えれば此処に喜んで来るはずた!」
『シンカ、マジカ、ノ、コタイ、ダ、ウツワ、ガ、クワレル、ト、コノ、コクド、ハ、シノ、クニニナル。………ユクゾ、ギタク。』
ディフェルモがギタクに纏わりつくと揺らめく漆黒の影鎧になり威圧感を出している。
ギタクが魔力を込めて地面に剣を突き刺すと影から体型の異なる黒い人形の影が現れ様々は武具を影から生み出し武器を構える。
「は!ドラゴン狩りと行くか、ディフェルモ!」
『フン、コロシテ、オレ、カテニ、シテ、クレル。』
ドラゴンゾンビもギタク達を敵とみて臨戦態勢に入り生き死にをかけた戦いが始まった。
──────
「なぁぁんて事に成ってる今がチャンスだよ君たち。」
「え、いや、うん………お前本当に精霊様なのか?まるであく…」
「あはは!!精霊様に決まってるじゃん!私達を助けてくれたんだよ!ビィル君は心配しすぎ!。」
(一歩間違ったら私達が喰われる事、平気で提案するんだもの、ほんと〖ロキ〗は悪魔よ、悪魔。)
ジーとリンは名付けをして、マスコット精霊改めて〖ロキ〗に冷たい視線を向けるとロキはウインクして答えリンはため息をはいた。
捕まってたのは5人で脱走に協力的な二人以外は逃げるのを拒んだ。
リンは驚いたが、彼等はギタク達からある程度内容を聞き契約魔法で合意してしまっていて国に助けを求めてくれと頼まれてしまった。
「ではではニュラちゃん、ビールくん、リン気をしっかりもってね、もう一度時空精霊に成るから此処からビュビュと飛んで行くよ。」
三人は頷くと手を繋ぐ。
そしてロキは自分の精霊体を変換しノイズが走る精霊体にかわると三人は呼吸が苦しなり必死に呼吸を整える。
「ここから□□□本番だ□□□激痛がは□□走るから歯を喰いしばって耐え□ね。」
一番最初の練習かねた精霊力の転移は無事目的の上位アンデッドを引き寄せる事に成功した。
ちなみに馬車には感知疎外の魔道具が装備されておりロキは呼び寄せられてもAランクの死霊だと思っている。
SランクからSSランクに上がる直前のドラゴンゾンビが来てしまったのを知らない………結構紙一重な賭けだった。
確かに闇ギルドからは逃げてない……ドラゴンゾンビから逃げている。
転移の為の力はロキに集中する。
そしてそれは馬車の外に漏れだす程に集まった為に当然気付く者達もいる。
『グオオオ、ギィアアア!!』
「ぐぅ、こんな時に新手か?!」
『チガウ……シカシ、マサカ?、…………ウツワハ、ステル、カワリニ、コイツ、ヲ、カクジツ、二、シトメル、ゾ。』
ドラゴンゾンビはドラゴンの原型が崩れるほどに戦闘特化の姿に変わり出していた。
骨の腕が阿修羅の様に生え、その上かなり伸び縮みし毒のブレスを吐き、可燃性なのかしばらくすると爆発する。
黒い人形達が様々な方法でドラゴンゾンビへの攻撃の隙を造り出そうとしていた。
メイジタイプが地形変化させドラゴンゾンの体制を崩し、ゴーレムタイプが動きを押さえ込み、大剣を使うソルジャータイプが身体を切り裂く。
当然膨大な魔力の消費がされる為かなり危険な状態だ。
「〖マナリカバーリング〗は後5個………死ぬかもな俺達。』
『シナン、シナセン、カラ、ナオレガ。』
「は!言うねぇ……ほんと早く来てくれやルゥブィヤの嬢ちゃん。』
馬車から立ち昇る魔力の柱を視て、ドラゴンゾンビが激昂して更に変化し始めたのを視てた。
ギタクはまんまと逃げられた事を悟りふと凛の顔が浮かび苦笑いする。
「嬢ちゃん、お前の勝ちだ精々俺達にまた会わない事を願っておけよ。」
『ギタク、クルゾ!』
もはやラストボスじみた最終変化をとげたドラゴンゾンビは近くにいた者の鼓膜破壊する凶悪な咆哮を放ち、ギタクに迫っていた。
しかしその咆哮はさらなる強者を誘い込む。
とある街から等間隔で地面が爆発したかの用な抉られた痕跡が後に発見されそれを見た人々の憶測が街の冒険者ギルドに届くまで広がる。
そして噂を聞いた冒険者の猛者達はこう言った。
「〖英雄の足跡〗だ。良く覚えておけこれの先には化け物達の戦場だ絶対に近づくなよ?死ぬからな。」