4話
夜の街道、この世界ではその時間帯に移動するのは自殺行為とされている。
夜行生のアンデットや悪魔は移動する生命力に誘引される本能がありよほどの魔道具が必要なのだ。
本来なら………。
「しっかし頭目の魔法すげぇな、アンデットが一瞬で灰だぜ!」
「何でもディフェルモの精霊様はアンデットが大好物らしいからなぁ。悪魔は恐れて逃げるしな、精霊様が進化すれば俺らにもディフェルモの精霊を授けてくれるって話だ。」
「こりゃ国盗りも夢じゃねぇな!」
先頭の馬車の上空に人形のディフェルモが影の触手を無数に伸ばしアンデットの核を抜き出し取り込んでいた。
『……ウスイナ、ショセンボウソウシタ、タマシイノ、ノコリガ、カ。』
「輪郭ははっきりし始めたぜ、最初は靄の塊だったからな。そんでどうだ仲間は呼べそうか?」
影の人形は頷き最後尾を見つめる。
『リン……トイッタカ?アレハダメダナ、ソレイガイハ、テキゴウスル。』
「あぁ最後に捕まえた女か、喰うのか?」
『イヤ……ハラヲ、コワシソウダ……ジゲンワタリシタ、タマシイハ、ドク、ダカラ、ナ……キョウカイ二、デモ、ウリハラエ。』
「何に?!あの女まさか〖救世主〗なのか………いや聖域での召還のはず。ならあの女は………【イレイグール】禁忌人か。」
イレイグールとは神等の最上位存在を代えさずに異界より迷い込んだ人々の事だ。
未知の病原体やその者が操る力が世界の歪みを広げる大災害を引き起こす事が多く禁忌人とも呼ばれている。
しかし禁忌人の概念を広げたのは───。
『アワレダ、ナ』
笑ったのだろうか輪郭が歪む。何にたいしての言葉なのかはディフェルモだけが知る。
そんなやり取りがある数台の馬車が等間隔で走る真ん中の馬車で行動を起こそうとするもの達がいた。
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「逃げなければ、言いって…………彼奴らが逃げ出すような事をするって事よね?……………無理でしょ。」
『ひねくれた見方するなら彼らが逃げたように見えるね!実行するには協力者が必要なんだけどね!あははは!』
凛はげんなりとするが、もしかしてと希望を抱きながら確認する。
「あなた、もしかしてテレパシーとか使って助けを呼べるの?」
『フッフッフー!いゃ~気づいちゃった?そう何を隠そう〖もしもし……聞こえますか?今あなたの心に話しかけています。■■ミチキ下さいな!〗が使えるのだよ!』
凛には分からない例えであったが、助かる希望がわき安堵の息をはいた。
「はぁー良かった。これからどうなるのか不安でいっぱいだったけど、救助してくれる人が来るなら安心ね。」
「んんん?あはは!ナイスジョークだよリンを危機から救い出すヒーローとかプフフ………いつから助けられるお姫様に転向したの?………あっ今か!」
「え!?」
一瞬何を言っているのか理解できなかったが、とある可能性に思いいたり口元を引くつかせて当たって欲しくないと願いつつ自称マスコット精霊に話しかける。
「まさか、他に捕まってる人達と協力して何とか出来る……なんて言わないわよね?」
「おぉぉ?!正解!。100点満点な君には僕の【真名】をつける権利を上げよう。そして此処から気づかれないで出る方法もね。」
自称マスコット精霊は拍手してクルリとリンの手の平に着地すると真剣な眼差してリンを見つめ言い切った。