第二
バーバラに街の事を聞きながら案内され歩いていると、大通りから別れて出店が軒を繋ねる通りを進んでいた。
ヨーロッパの街並みに近いがやはり異世界であり不思議形の果物や装飾品が売られており、物珍しく見ていた凛だが………。
(何?何かがおかしい?、この違和感は…………。)
違和感が増大し辺りを注視すると原因が朧気に見え始めていた。
「ねぇ……この道をこのまま進むの?」
「そうよ、お店までの近道なのよ。さぁ行きましょ。」
凛は、にこりと笑みを浮かべるバーバラのその口元が以前経験した出来事に重なり、通学カバンをグッと握り、慎重に辺りに辺りを目線だけ動かし見渡し………。
「ねぇ……少し聞いて良いかしら。」
脇道に少し入った所でピタリと足を止め鋭い視線でバーバラを見るとバーバラ性は脇道の先に僅かに手をを振り凛に向き直る。
「何かしら?」
「後ろから此方に来てる下品な笑みのスキンヘッドはバーバラのお友達?」
リンが確信に到った瞬間、霧がはれるように、出店も売り子の掛け声も消え去った。
リンが感じた違和感それは道行く人々が途中からリンが知る本当のヨーロッパの街中に変わっていた事、有る筈のないテレビに日本のアニメが写っていたのだ。
凛が立つ場所は空き瓶が転がり酒樽や木箱が乱雑に積まれた薄暗い裏通りであった。
スゥと無表情になったバーバラは笑ってない笑みを浮かべこう良いはなった。
「あ~あ残念ね。無知な田舎娘だと思ったらとんだメスガキだったね。」
「あら知らないの?田舎娘は勘が鋭いから気を付けないとね。」
バーバラがリン施した幻影魔法は相手の知識から景色を写し出す為にリンが気付けたのは不幸中の幸いであった。
お互いに一瞬の沈黙のあと、男が脇道の入り口に立ちふさがりバーバラが勝ち誇った顔で手を向けようと動かし……。
「「なっ?!」」
リンはバーバラが手を動かし初めにカバンをおもいっきり投げつけバーバラがそのガバンを払いのけた時にはバーバラの視界が消えていた。
「バッ、下だ!!」
「ギャ!」
入り口をふさいでいた男の声に反応してた時には既に遅くバーバラは足払いをされ仰向けに倒れ込んでいた。
スキンヘッドの男はリンを捕らえようと駆け寄るが予想しない飛来物が顔めがけで飛んで来て割れ破片が手に突き刺さる。
「グッ!?」
リンは足払い時に地面に転がる空ビンを掴み勢いをつけて投擲したのだ。
痛みから怯んだ男の脇を通り過ぎようとした。
(やった!これで逃げ──)
「逃がすわけねぇだろ。」
「え?」
黒い手が凛の足を掴んで必死振りほどこうとしてもビクともしない。更に複数の黒い手が出現し一瞬の内に手足と首を掴まれて、無理やりに理性で抑えていた不安と恐怖が凛を支配していく。
(何で、何で!こんなおかしな事に?!)
「おいおい情けねぇなオメェら。だがこりぁ当りだ【祝福】前で此処まで出来る奴なら、暗部に即抜擢だな。」
「すまねぇ、見た目に騙された。」
「ギタク様申し訳ありません。」
奥から現れた頬に傷有る男、ギタクは凛をつかむ黒い腕と同じ動作を左手でしていた事でこの男がした事だと分かりギタクを睨み付ける。
「…私をどうすつもり?」
「反抗するなら奴隷紋を刻んで、使い捨ての戦闘要員だ【魔道学院】候補者は戦力になるからなぁ、特に嬢ちゃんみたいな田舎娘は捜索依頼されねぇからよ。」
奴隷と言う言葉に凛は恐怖するよりも怒りが込み上がる。
「地獄に落ちろ!!」
「ブハハハハ!!オ▪マ▪エ▪がな。」
凛を騙していたバーバラが凛に再び手を向ける。
「じゃあね、メスガキ。」
「絶……対…ゆる………さ………な………ぃ。」
強烈な睡魔が遅い抗う事が出来ずにリンは意識を手放した。
「さぁてここいらが潮時だな。」
「頭まだいけるじゃねぇすか?」
「あんたギタク様に逆らうつもり!!」
計画ではまだ3日間拐い続けるはずが1日で終わった為当然の疑問だとギタクも分かっている。
だが各所の部下からの情報から計画を変更せざる得なっかた。
「冒険者ギルドにこの街中での高額な人探しの依頼が出る予定だと報告ある。残念ながら撤収だ。」
依頼された最低元の人数には少し足りてないが、捕まるよりましとギタクは冒険者ギルドのある方を睨む。
(クソが何故こんな時に【幻死】が居やがる。………まったくついてねぇな。)
裏の仕事をする者達から恐れられる男が、同じ街にいる事に苛立ちと焦りからか、ギタクが率いる闇ギルド【デーモンズハンド】は足早に街から脱出を開始したのだった。