17話
ストックが無くなってきてしまったので此処から不定期更新になりそうです。
ではお楽しみ下さい。
ロキを遠くに投げ捨てた女性はスッキリ顔でリンに向き直った。
『貴女もあんな未熟な精霊といて大変ね。』
「確かに直ぐにボケに走るしうるさいって思うけど…。」
『けど?』
「不安な事があいつのお陰で吹き飛んでしまうのはそこそこ感謝してるわ。」
リンが不安に襲われそうになるとロキはふざけてリンの不安を吹き飛ばして愉快そうに笑っている姿に心が落ち着き冷静になれる事にリンは少し感謝していた。
もちろんロキにその感謝を伝えるつもりはリンには当分ない。
『良い神器をあの子は託したというなら私がとやかく言う資格はないわね。』
「あの子、私をこっちに送った存在ですか?」
『そうよ、予想はしてると思うけど貴女の弟が本来の担当だった私達の眷属〖ケテ〗達の一人。その事で貴女を精神世界で私と繋げたのがこの空間よ、今からここに来る前の事を思い浮かべて欲しいの。』
悲しげな顔をする女性にリンは了承して目を閉じて思い浮かべる。
女性はリンの手を取り目を瞑った。
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目を瞑った筈のリンは全ては灰色に染まった光景に浮かんでいた。
幾つもの星が輝きそして空間がガラスが割れ宙を舞うように崩れ逝く一見美しい景色に血が舞っていた。
複数で一人を仕留め、倒れ付した相手に何度も剣を突き立てる殺戮がそこかしこで起きていた。
『お前達逃げろ!この事を〖創成神キルセテ〗様に伝えるんだ!』
『バカか?そんな事をさせる訳ねぇだろ?』
剣で貫れても顔が見えないローブの男を押さえ続ける身体が崩壊する人。
そして逃げる若い5人も普通なら死ぬ程の負傷をおいながら必死に遠くの門に向かっていた。
「私の知らない記憶?」
「これは貴女に託されたあの子私に当てた最後のメッセージよ敵に悟られずに知らせる為のね。」
女性は厳しい目をローブの集団の者達を向け苛立っていた。
『お前ら傷の再生具合はどうだ……。』
『無理ね、奴らの持つ武器は私達を喰ってるわ。』
『帰還は不可能………なら託すしかないよね。』
『なら俺様が食い止めとくからこれお前に託すわ。俺様くらいじゃないと足止め出来ねぇだろ?ほら行った、行った。』
『ハっ!なら地球が故郷のNo.5616一人で良いだろ?優秀な人間の所在地まで正確に割り出したのお前だけだぜ。』
4人は無理やりNo.5616と呼ばれた男に戦闘に要らない全ての能力とマナを託し門に押し込んだ。
『そんな!ダメだお前ら!』
皆笑いNo.5616が通過した瞬時に門は砕けちりそしてNo.5616は日本海の上空に放り出された。
『ちきしょう!!っ速く〖救世主〗候補者たちを送───。』
『久し振りだねぇクソ勇者殿!!』
日本に向け転移する直前に背中から串刺しされNo.5616は瞬時に串刺しにした武器を分解して敵を切りつけた。
『おっとぅ何?友情パワーとか言うやつか相変わらずウゼェーなお前。』
『お前何故神を裏切った!』
『あーハイハイ、神ねそーだね。』
No.5616を刺した男の顔がグルンと動きリン達を捉えた。
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記憶の世界にノイズが走る。
灰色の世界は黒く染まり肌に感じる空気がドロリとした感触に変わり空間を支配する。
ノイズが拡大し女性は突然の苦痛を受け膝をついた。リンが女性に寄り添いこの場から脱出する為動こうとした時、いきなり大きな猫顔の狐が空間を引き裂き二人を9本の尻尾で空間から引きずり出した。
『リンとキルセテ様ちょっと力借りるよ。』
猫顔の狐は二人から力を吸い出すとひび割れた空間から出でくる黒い泥を口から吐き出す白い炎で焼き払うとぐらりと身体傾けて倒れ込んだ。
「やぁ────リン──ご機嫌───いかが?僕?僕は絶不調さぁ………………まるで二日酔いのサラリーマンの、気分だよぉ。」
「あなたロキなの?助けてくれたのはいいけど本当に大丈夫なの?」
『はぁ………迂闊だった、敵は託される事を知っていて罠を仕掛けたのね、危うく汚染される所だったけど収穫も会ったわ。精霊ロキ助かりましたが無理し過ぎですよ私の神力とリンのマナを取り込むなんて、少し見せて下さい。』
キルセテはロキの額に手を起くとロキは元の姿に戻りぐったりとしていた。
「ハロー、マスコットの帰還だよぉ。」
『マナと神力が体内で荒れ狂っていたのを結合させ整えました。その影響で少し特殊な精霊となるので二人に私の加護を授けて起きます。』
キルセテはロキが二度も無理した影響で精霊としての存在が歪み激痛がロキを襲っている事をリンには伏せて今回のお礼もかねてキルセテは二人に加護を与える事にした。
キルセテから仄かな光が溢れてリンとロキに集まり加護が宿る。
そしてキルセテの姿がぼやけ出した。
『分身体ももう限界ようです、本来なら沢山話さないと行けないのだけれど時間がありません。』
「私も聞きたい事沢山あるし、またキルセテさんに会える時を待ってますね。」
キルセテは微笑みリンの額に触れるとリンに知識が流れ込みリンは目を見開き驚いた。
『ジョブの解放と瘴気についての知識を授けてました。他の知識はディムガルフに教わって下さい……そしてローブの者達は貴女達遅れて来た5名を狙ってる筈です出来れば他の4名と合流して下さい。』
更に薄くなったキルセテの表情は思い詰めているようにリンには見えて、このまま行かせたくなく手を掴んだ。
「私は正直元の世界に帰りたい………けど苦悩しているキルセテさんの助けもしたい、ダサいローブ達は私がボコボコにしてやるから私に負い目を感じなくても良いからね。」
『ありがとう、リンさんまたお逢いできる日を待ってます………。』
キルセテはリンを優しく抱きしめうっすらと涙を流し光となって消えていった。