16話
リーファンカ枢機卿の話しにこちらに来た時に見た存在を思い出していた。
(あれが神の眷属だったの?)
「思い当たる節があるようだね………。」
『リン、今から言う通りに話してくれるか、内容は───。』
ディムガルフから突然念話とは違う鼓膜に響く声でリンに話しかけられて思わず振り返りそうになるのをぐっと顔に出さずに言われた事を話す。
『「はい、あの時不思議な物を渡されたのだけど、デーモンズハンドとか言う人達に私の持ち物ごと奪われてしまったんです。」』
「何と………それは由々しき事態ですね、残りの4人の捜索に教会内の密偵者あぶり出し信用出来るのは此処に要るものだけ人員が足りないのが悔やまれるどうしたものか。」
「グゥア団長発言の許可を願います。」
「許可しようジョンソン。」
「は!デーモンハンド捕縛には隣国ボーセトリアが秘かに動いているとの情報がボーセトリア王国にある我が実家〖ボード辺境伯〗より届いております。」
ジョンソンと言う聖騎士は隣国ボーセトリアがデーモンハンドを捕らようとしている経緯を話し"協力要請出来るのでは?"と説明した。
「ふむ、ではディムガルフ確かボーセトリアに伝があったな。」
「ボーセトリアの将軍は私の教え子だ使い魔を送る事も出来るがどうする?」
ディムガルフはそう提案するとジョンソンは慌ててディムガルフにとりなす。
「今ボーセトリアは情報伝達に制限を儲けているので、直接教会からの使者でなければ検閲される事になります。ですので私が使者として出来向きたく思うしだいです。」
「ではディムガルフ、彼をエラドゥハに乗せて親書を届けてお貰えるか?」
ディムガルフとエラドゥハは頷き合いリーファンカ枢機卿の依頼を受ける事にした。
「エラドゥハに乗れば日暮れまでには戻ってこれる今すぐにリーファンカは親書を書いてくれ。ジョンソン、君は準備をエラドゥハは彼に付いて行ってくれ。」
「まぁ良いが………後が大変になりそうだな。」
チラリとリンを見てエラドゥハはうんざりした顔をしてジョンソンに付いて退出して行った。
「さて済まない、リン殿を教会に呼んだ理由に付いて話す。君は〖ジョブ〗については知っているかな?」
「ジョブ?職業………どこかに所属して働くと言う意味では、なさそうなのは分かります。」
リーファンカ枢機卿は頷き祭壇におかれた分厚い本に触れると空間に映像が写しだされる。
そこには剣士、魔法使い、研究者、商人等の者達が写しだされる。
「〖ジョブ〗とは己の魂に記憶された才能の事、商人をしている者が剣士のジョブクラスになり戦う商人に成ることもある。」
次に写されたのは倒されるゴブリン、そして倒した者にゴブリンから青い粒子が流れる込む映像。
「瘴気より産まれでる魔物を倒すと瘴気は魔力となり倒した者のマナと融合しジョブと肉体が強化される。もちろん瘴気は毒な為、融合限界を越えれば吸収せず霧散する。」
次に写されたのは教会と神像そして司祭。
「〖ジョブ〗解放は瘴気がない場所でなくては成らない瘴気がある場所での〖ジョブ〗は魂の負の記憶を呼び覚まし人ではないジョブに強制的につかされる事になる。」
教会で司祭が呪文を唱えた後光る水晶玉に村人が触れると一瞬光その後手から炎出す姿。
その後に写された枯れた林で柄の悪い司祭が村人に水晶玉に触れさせるとたちまち体が膨張しオーガになると司祭を叩き潰す光景。
「そしてリンさん、君に見せたかった物だ……。」
リンとロキを白い映像が囲い込み始めた。
聖騎士の一人がリンを助けようとしたのか動こうとしたのをグゥア団長が手振りで静止しディムガルフは目を瞑り冷静に思考していた。
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真っ白な空間となった中でロキは元気に手を上げた。
「今から点呼取ります!!ハイ、リンさん!!」
「はいはい、それにしても真っ白いだけで見せたいのってこれの事なの?」
乗りの悪いリンにロキは頬っぺたを膨らませてブーブー文句を言ってるがリンは無視して辺りを見渡す。
「はぁ、ボケと突っ込みは漫才の基本だよ相方ならちゃんと突っ込み入れてよ。……それで僕が騒いでもディムさん達は無反応という事はどういう事だと思いますかなリンさんや。」
「映像というのは嘘で何処に転移したって事?でも何か感覚が少し鈍い感じもするのよね。」
「え?五感で違和感を感じ取ったのリンって実は野生児だったのか?!」
「しばくわよ?」
「すんませんでした!!」
ニッコリ笑いながら拳を鳴らすリンにロキは土下座して謝っているとコツコツと足が聞こえきた。
『元気いっぱいで楽しそうね。』
リンが振り返るとおっとりした綺麗な女性が微笑みを浮かべていた。
「貴女は誰ですか?」
「リンこういう真っ白な場所に現れる存在なんて決まってるでしょ?」
ロキはニヤリとして自信満々げだ。
『そう私は「デルンタークリ□カのCM出でる女優でしょ。」…………。』
「ぷっ、ちょっと流石におかしいでしょそれは。」
スンと真顔になった女性がロキに手を向けるとロキは一瞬で女性の手に移動し捕まった。
『ふふ、私動物が好きで良く高い高いをしてたのよ。』
「あのお姉さん?タカイタカイは片手で胴体を掴まないと思うなぁ。」
女性がロキを頭上に掲げニッコリ笑う。
「な、なる程ゆっくり上下させるんだね、でもおかしいな前に進んんんんん?!」
「はい、たか~いたか~い。」
「速い速いいぃぃぃ!!」
フルスイングでロキを振り回すと最後は放り投げロキは遠くに飛んでいった。