11話
学術都市マバジャンは不思議な構造からなっている。
「外からはふつうの都市に見えたのに……建物が宙に浮いてる?」
「驚いたかい?マバジャンは〖浮游石ライグラ〗を精製してるからねその精製したライグラをふんだんに使って空と地中深くまであらゆる専門的な学問の建物が存在しているんだよ。」
「想い出すなブェルは最初迷子になってエラドゥハが見つけた時は__。」
「あの頃のブェルは泣き虫であったなぁ。」
「し、師匠、エラドゥハくんも忘れて下さい!」
ディムガルフ達の話しにクスリと笑い街中の光景を眺めるリン。
空の建物にどうやって行くのか見ていると学生が道の端にある台座に置かれた水晶玉に手をかざすと円盤が何処からか降って来て学生はそれに乗り込んで空中の建物に浮上していった。
「ファンタジーと言うよりSFの世界観ね。」
「えすえふ?そうかリンさんは異世界の方でしたね。」
ブェルはリンの言葉を聞き興味深いリンを見た。
「何だ地球の造語がまた増えているのか人間は言葉を増やすのが好きだな。」
『おお?街だ街が見えてきたぞ!うふふ…エラドゥハはん覚悟しぃヤァ~!』
『ロキうるさい!!』
エラドゥハが気になる事を言った直後にロキの念話が邪魔しイラだったリンは自然と念話をロキに返していた。
『ひ、酷い!』
「おや?誰かと念話してるのですか?凄いですね速くも〖念話〗スキルを習得してるとは。」
「いえスキルとか言われても私には分からなのだけど…。」
「君はロキと念話を続けていたのだろ?その影響でリンはスキルを習得したのだろう。」
「精霊との同調から来る習熟度の上昇だな、特にロキとか言うふざけた精霊は特殊だ。そこから来るスキルの発現の早さだろう。」
「そうなんだ。」
『あっやっとリンの魔力が届いた!今からそっちに転移するよ!さぁ刮目せよ、真打ちの登場だ!!』
『今エラドゥハと合うのは良くないならダメ。良いタイミングで私から念話送るからそれまでお▪と▪な▪しく待ってなさい。』
『…………………ロキ、イイコ、オトナシク?まつよ?』
ロキと念話していたリンが心配そうな表情をしたのを見てディムガルフは仕方ない精霊だとリンに話しかける。
「リン、ロキに伝えなさいカルベルに叱られたくなければ大人しく待てと。』
「ぷはは!リン、ロキに伝えずに奴が叱られるとこを一緒に見ようではないか!」
「精霊王に会えるのならそれも良いかもしれませんねぇ。」
この世界の精霊王カルベルは全ての精霊を把握し世界の自然バランスを取る大いなる存在と言われいる。
『ヒフゥ!?………寒気が走ったんだじゃが?リンさんや何か知らないかえ?』
『ロキおじいさんが悪さするとカルベルって言う人に叱られると言う話しですよ。』
『日向ぼっこでもしてよっかな~。』
「何だ話したのか?つまらんな。」
「そうだね残念だよ。」
「精霊王は忙しいからな、そうそう顕現出来んが………精霊王はロキを知っているという事か……成る程な。」
「カルベルって精霊王がロキを知ってると何かあるの?」
ディムガルフは頷きリンを自然な動作で頭を撫でた。
「君は正しく神の眷属に召還された者と言う事だ安心しなさい、私がいる限り君を護ろう。」
ディムガルフの弟子になるよう言われていたがリンは正規の手順でこちらの世界に来た訳では無い事にもしかしたら"自分は世界の敵になるのでは?"と不安があった。
だがディムガルフはリンの祖父のように頭を撫でてやさしい顔をしてリンを護るといってくれた事がリンには嬉しかった。
「残念だけど私はお姫様じゃないから護られるだけは嫌なのよ。私を世界一強くしてくれるかしら?ディム師匠。」
「元よりそのつもりだよ。君にはその可能性がある私が保証しよう。」
エラドゥハとブェルはディムガルフが言い切った事に驚きリンを見た。
「ディムガルフが言い切る程の潜在能力が眠っているのか?信じられんな。」
「ディム師匠が言い切ったならそうなのでしょうね。これは私もうかうかしてられないかな?ハハ!」
「皆まだ伸び代がある頑張りなさい。……店に着くまで残り時間で私の今後の予定をブェルとリンに伝える。教会は何か隠しているのがリンの事で分かって来た。もしかしたら教会も認識していない真相がある事もな。」
エラドゥハは想い当たる節があるのか頷きブェルも近頃の情報を想い浮かべ頷く。
そしてディムガルフが話す中での災厄の予想は未来で起こる出来事を予見する内容だった事を未来のリンは知る事となる。