18さよなら。
17
「 何じゃろ?」
朝、夕陽は、目が覚めてベッドから下りて身支度していると、部屋のドアの下に封筒が挟まっているのを発見した。
ユリカの落とし物かと思い、訊いてみたが、自分のではないと言われた。
「なーんか、嫌な予感するんよね。この封筒」
「開けてみたら煙が、ボア〜って出るかもよ」
そらは、ケラケラ笑いながら言う。
「かもな。最初、こっちに来た時も、俺のメッセンジャーバッグの中に、こんな、封筒入っとった」
「開けてみれば?」
「イヤ、ここでは開けん。ヴァネッサさんのとこ行って開ける」
そらが言う通り煙がボア~で済めばいいが、なにが出てくるかわからない。
夕陽は、封筒を持ってヴァネッサの元へ向かった。
「おはよう。ユウヒ。なんだい?そりゃ」
ヴァネッサは、夕陽が手にした封筒を、訝しげに見て訊いてきた。
「部屋のドアの下に、挟まっていたんです。俺が、この世界に来た時も、同じような封筒が、
ありました。多分、神様の手紙です」
「なら、開けたらどうだい」
「 開けますけど、驚かないで下さい」
「ああ」
夕陽は、ヴァネッサが了承っしたのを確認すると、バリっと封を開けると、
ボア~っと煙が出てきた。
夕陽は、呆れ、そらは、玉手箱だ。玉手箱。と喜んでいた。
ヴァネッサは、ポカーンと口を開けていた。
「 何事ですの! この煙」
外にいた、ユリカが、慌て家の中に入ってきた。窓を閉めていたが、煙が隙間からもくもくと吹き出てきたのだろう。
火事か魔法薬の調合に失敗したと思ったユリカは、ヴァネッサ同様ポカーンと口を開け、
鳩が豆鉄砲を食ったような目になっていた。
「 ほっほ。そんなに、驚くでない。お嬢さん。儂は、神様じゃ」
「 十分、驚きますわ」
ユリカは、冷静なツッコミを入れた。
「夕陽、昨日の夜約束した通りに、来たぞい」
「 来るって聞いていません」
「 そうだっけ? すまんのう。忘れっぽくてのう」」
神様は、ほっほと笑いごまかしている。
「そういう問題じゃありません」
「 まっ細かい事は、気にせん事じゃ。それより、お前さん。二人に言いたい事は、無いのかの?」
「えっと。」
夕陽は、神様に色々、ツッコミたいのを我慢して、ヴァネッサとユリカを見た。
「おいで、ユウヒ」
ヴァネッサは、夕陽を手招くと、抱きしめる。
「ユウヒ。あっちでも、元気でやるんだよ。無茶は、しない事。わかったね?」
「 わかっています。 今まで、ありがとうございました」
夕陽を放すと、ヴァネッサは、後ろを向いた。
「 ……目に、ゴミが入ったんだよ 」
ヴァネッサは、鼻声で言う。
ユリカは、泣きながら、夕陽の手を取る。
「 短い間でしたけど、楽しかったですわ。会えなくても、私達は、ずっと、パーティーです。ユウヒさん。絶対、あっちでも、私の事忘れないで。 ソラも忘れないでね」
「そら、忘れないよ。ヴァネッサさんもユリカも。皆、よくしてくれた。」
夕陽とそらは、二人に別れを告げると、神様の方を向く。
「 よし。そろそろ、いいかの?二人共」
「 いいよ。そらは、OKだよ」
「 俺もです」
「 じゃ、日本へ送るぞ。それ」
神様が、手を上げると、門が現れた。
二人は、その門をくぐる。
もう一度だけ、ヴァネッサとユリカに、挨拶すると、夕陽はダッシュして、門の中の空間に入った。
「夕陽。一つ言っておく。転生しなおす先はお前さんが、元の家族とは、別の人間の家族として転生する。あっちに行けば、分かる事じゃ。あとは、昨日、説明した通りじゃ。 あ忘れるとこじゃった。 年齢が3、4才若返るぞ。色々、調整した結果じゃ。すまんの」
神様は、そう言って、夕陽を見送った。
「 まあ、そればっかりは、どうにもならないけど、不安だな」
夕陽は、顔を曇らせた。
「夕陽、大丈夫。そらが一緒」
「そうだな」
夕陽は、相棒の頭を撫でて、新たな転生先に、思いを馳せた。
これでおしまいです。なお今作の続編が「異世界に女の子として転生したけど、日本へ戻って人生やり直す事になりました」となります。この作品も併せて読んでいただけたら幸いです。