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15 討伐戦 1

討伐戦の当日。夕陽は、いつも着ている服の上に紺のローブをまとった。


リリスが、この日の為に急ピッチで作ってくれた物だ。


防御力を今までよりも、上げたそうで、このローブがあるのとないのとでは、雲泥の差だとリリスに、力説された。

|守護魔法( アミュレットマジック)の使い手であるリリスが言うのだから間違いは、無いのだろうと、夕陽は思った。



「 ユウヒさん。準備出来ました?」


ユリカが、部屋に入ってくる。彼女も、いつものローブではなく、リリスが作ってくれた物を着用していた。

夕陽は、そらが肩に飛び乗ったのを確認すると、ユリカと一緒に町の外れへ向かった。


「 二人共こっちだ」


ヴァネッサが、夕陽達を呼ぶ。


「 ここ、俺が最初におった場所じゃ」

「 そだね〜」



夕陽とそらは、思わずそんな感想をもらす。

夕陽達がいるのは、夕陽が最初いた広すぎる野原。


あれから、二ヶ月と時間が経ってないのに今の自分は、モンスターの討伐戦なんて、大事に関わっている事が、不思議でならない。


「 それにしても、たった数日でよくこんなに、冒険者集められたもんだね。しかも、Sランクが全員揃うとは、前代未聞じゃないかい?」


ヴァネッサは、数百人はいるであろう冒険者を眺めて、感嘆の声をあげた。


「 久しぶりに『 氷雪のヴァネッサ』が出てくるって噂流したら国中から、あれよあれよとな、集まってよ」


 腰に刀を下げたヒロが、呑気に言う。


「 氷雪のヴァネッサ?」


 聞き慣れない言葉に夕陽が聞き返すと、ヴァネッサが苦い顔をしていた。


「 あたしの若い頃の通り名さ」

「ヴァネッサは、得意魔法は、水系魔法。取り分け雪や氷魔法の威力は、絶大。それで、ついた通り名が、氷雪のヴァネッサ」


ヒロがヴァネッサの代わりに説明した。


「へぇ〜」


「それより、時間だ。とっと皆の前で説明しな」


 ヴァネッサは、ヒロを手にした杖で、ヒロをつついて前に出るよう促した。



 ヒロは、集まった冒険者の前で説明を始めた。

ヒロの説明では、まず低レベルから中レベルのモンスターの討伐から初め、親玉であるダークベアの出現を待つ。


こうすれば、沢山の人間にダークベアが反応するらしい。


ちなみに、ダークベアは高ランクのモンスター中でも謎の多いモンスターである。


いつ、どこから現れるのか全く不明。ただ、何年かに、一度どこかの町に現れて人間を食い尽くし、一つの町を滅ぼすと、満足するのかどこぞへ消える。


「 ダークベアの生態については、謎が多い。

国の魔法使いが研究しちゃいるがな。とにかく、獰猛で、特に魔力の強い人間を見ると、攻撃を仕掛けてくる。普通なら容赦なく食ってしまうらしいがな。その事を頭に置いて、作戦に当たってくれ。以上だ。では、それぞれ割当てられた、場所へ行ってくれ」


ヒロが、そう言って冒険者の前から離れた。


「 ユウヒさん。行きましょう」

「 ああ」


夕陽も、ユリカと一緒に他の冒険者に混じって移動した。


夕陽は、遠くのアルジェの町を見つめる。


ーーー俺達が負ければ町は滅びる。絶対に勝たんと


夕陽は、そう心に決心を刻みこんだ。 あっちの世界で、普通に学生生活を送っていたならこんな、死ぬかもしれない作戦に参加する事はなかっただろう。

ましてや、多くの人の命を背負って戦うなんて。


夕陽は、自分を目掛けてやってくるモンスター達に杖を掲げて詠唱を始めた。


「 風よ。敵を切り裂く刃となれ。ウィンドブレード」


夕陽のまわりに凄まじい風が巻き起こり、次々とモンスターをないでいく。


夕陽は、休まず詠唱を続ける。


「 炎よ。敵を食む火球となれ。ファイアボール」

「 水よ。敵を凍てつかせろ。アイシングウォーター」


夕陽は、次々と詠唱をしては、モンスターを滅ぼしていく。


夕陽の戦いぶりを目にした、他の冒険者や騎士団の兵士は、驚いていた。


普通の魔法使いなら、操れる属性は、一つだけである。なのに、この少女は、4つの属性を難なく操っている。


「 すげーな。あんな可愛い顔して、バッタバッタとモンスター倒してるぜ」

「 ああ。確かに、すげーな」


呑気にそんな会話をしていた冒険者は、自分達を襲うとしていた、モンスター気付いて、あわてて攻撃した。



夕陽は、移動しながら、モンスターを倒していた。


「 ぎゃああ」

「 助けてくれー」



夕陽が行こうとした先に、 冒険者の悲鳴が聞こえた。

悲鳴がき闇色の熊おそらく、体長5メートルから6メートルくらい。

その熊が、戦っていた冒険者を食べている。


「 変換( チェンジ)モード 小さい(スモール)」


夕陽は、そう唱えると、手に持った杖を最小サイズにまで、変化させる。


「 夕陽!何するつもりにゃ!」

夕陽は、そらの首に着いている首輪に、杖を紐でくくり付けた。



こいつをそら、お前に預ける。これを持って、ヴァネッサさんか、鈴野さんのとこまで行け。 俺は、アイツを惹き付ける」


「 何言ってるにゃ。そんな事したら、夕陽が殺されるにゃ」

「だからだよ。俺の魔力に釣られて攻撃してくるはず。魔法は詠唱すれば使える。早よ行け。これは、命令だ」



契約精霊である、そらが夕陽の命令に背けない事を利用して夕陽は、そらをヴァネッサ達の元へ向かわせた。


パタパタと、超特急で飛んでいくそらを、見送ると、夕陽はダークベアを惹き付ける為に、走り出した。


「こいや、熊野郎。俺が、相手じゃ」



夕陽は、闇色の熊を挑発するかの如く、走っていった。



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