7話
「おっし!じゃあホームルームするぞー!」
食堂で夕食後。若ちんが注目しやすい様に前に出てきた。
こっちに来てから、毎日夕食後はそのままクラス全体の情報共有や作戦会議にあてられている。
といってもまだ4日目だけどね!
それを若ちんや私達はホームルームと呼んでる。
「今日は王様達に過去の勇者達の事を聞いてきた!結構驚きの情報だぞ」
それは衝撃的な情報だった!
なんと!この世界の歴史書によると、過去に召喚された勇者達は、いずれも半年以内には魔王を倒して元の世界に戻ってるんだって!
早っ!
これにはクラスメイト全員がざわついた。チートがすぎるっ!て特にオタク系男子がうるさい。
理由としては、元々異世界人はここより文化が高い世界から来ていて、それが能力に上乗せされてる為、元のスキルがかなり高いらしい。その上でレベルアップも異常に早いからだとか。
うーん。未だに何の才能も開花してないわたしにはピンとこないけどね!
でも、初めてこっちに来た時に王様がサクッと魔王を倒して欲しいと軽く頼んできた理由がわかった気がした。
「という事で!あくまで今の段階での推測だが。俺達の帰還は長引いて半年と見ている」
半年。その言葉で、食堂の空気が変わった。
どんなに楽しく過ごしてる様に見えても、家族と引き離されて戦いを強要されている事には違いない。きっとみんな口にしないだけで、不安や恐怖は感じていた筈だ。
「半年。本当に半年頑張れば、私達みんな帰れるの?」
みんなの気持ちを代弁する様にクラスメイトの坂本さんが質問してくれた。
「あくまでこの世界の奴らの判断だがな。あと、この世界の奴らが見立てたお前らの実力だが…」
戦闘組や非戦闘組を指導育成してくれているこっちの本職さん達(騎士や魔法使いとかね!)の見立てでは、今回の勇者と一緒に来た仲間(クラスメイトね!)は過去の勇者一行以上に有能らしい。
しかも人数が多い!(若ちん入れて36名!)
もしかしたら、魔王討伐は半年よりもっと早いかもしれない、という事だった。
「だが焦って怪我人や死人が出るのは、絶対無しだ!だから当面は半年を目標にする。いいな」
ハイ!とほぼ全員が声に出して返事した。
明確なゴールを示された事で、みんなの漠然とした不安が覚悟に変わった瞬間だった。