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4話

 異世界2日目!


 今日から戦闘組と非戦闘組に分かれて訓練をする事になった。


 わたしは…。


「ナナハン!ハーレー!どっちでもいいぞ!」

「無理です~!そもそも何ですかそれ~!」

「単車だ!単車!」

「たん…シャー?」


 何故か若ちんに、ななはんか、はーれーを妄想して召喚してみろと特訓されていた。


 そもそも何かわかんないのに、無理です~。


 朝からしごかれて半泣き状態でいると、瓶底メガネの鈴木くんがやって来た。


「若ちん。戦闘組が何か揉めてるよ」

「あんだと?しゃーねーな!」


 鬼の若ちんから解放されてホッとしてると、鈴木くんが大丈夫?と声をかけてくれた。


「ありがとう。助かったよ。でも揉めてるのって大丈夫かな?」

「大丈夫だよ。何人かでどっちが強いかって騒いでるだけだから」


 それを聞いて、あっと気づく。

 わたしがヘトヘトなのを見兼ねて助けてくれたんだ!


「助けてくれたんだね!ありがとう」

「若ちんには内緒ね」


 お互いニコッと笑い合う。

 瓶底メガネの鈴木くんは、ほんわかして話しやすい。多分、わたしとペースが似てるんだろうな。


「鈴木くんは何してるの?非戦闘組だったよね?」

「僕は細工師で色々作ったり工夫できるみたいなんだ。今は材料集めしてるんだよ」


 そう言って手に持っていた物を見せてくれた。色んな形や色の石コロだった。


「これを加工するの?」

「うん。僕もともと向こうでも石や地層とか興味あったから、よく観察したりしてたんだ。この石なんか花崗岩ぽくて…」


 鈴木くんが熱く語ってくれたけど、何ひとつわからなかった!


「あ、ごめん!こんな話面白くないよね」

「ううん!内容はわからないけど鈴木くんがこういう石が大好きなんだなーていうのは伝わってきたよ!鈴木くんが楽しそうに話すのを聞いてるの楽しいよ!」

「田中さん…」


 鈴木くんの瓶底メガネの奥。ほっぺがちょっと赤くなった。


「ありがとう。僕好きな事を話すと夢中になるから、相手に悪いなーと思っちゃうんだけど。そういう風に言ってもらえて嬉しいよ」


 へへ、と鈴木くんが嬉しそうに笑った。うんうん、わたしも漫画の話を聞いてもらえると嬉しいから気持ちわかるよ!


「おいこら、何青春してんだぁこら」

「ひゃっ!」

「わっ!」


 いきなり後ろから若ちんがユラリと現れた!怖っ!


「ちょうどいい、鈴木お前もこいつの特訓付き合え」

「え?僕?」


 それから2人が今欲しい物をどんどん言われて、それが出せるか試す事になった!


「セルシオ!シーマ!」

「玄武岩!安山岩!花崗岩!」

「だから!わからないのに無理です~!」

「気合いで想像しろ!妄想しろ!俺はそれに乗りたいんだよ!」


 若ちんの鬼~!


 夕方までこの無情な特訓は続き。

 この世界の夕陽が辺りを照らす頃。


 わたしは力尽きてパタンと倒れ、鈴木くんも、もう思いつきません、とガクッと膝をついた。

 

「んー。やっぱダメだな。明日は別の方法試すか」


 先生…遅いです…ガクッ。

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