表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/44

1話

 そもそも何でこんな状況になったかと言うと。


 10日ほど前に遡る。

 



◇◇◇




 晴れた秋空が美しいとある日。 

 その日は待ちに待った学園祭だった。


 朝から学校中がお祭騒ぎだった!


 お化け屋敷や演劇やら、どのクラスも最後のチェックでワイワイしてる。


 わたし達のクラスは定番のカフェだ。


 教室に着くと、他のクラス同様に朝からてんやわんやしていた。


 配膳班はエプロンをつけて、作り置きのお菓子や飲み物の最終チェック。


 呼び込み班はウサギやパンダの着ぐるみを着てプラカードを持ってる。もう準備は万端だ!


「おはよう!」

「田中さん。おはよう。良かった、今日は遅刻しなかったね」

「江川さん。楽しみ過ぎて普段より早く起きちゃった!」

「あはは!それでも結構ギリギリよ。もうみんな集まってるよ」


 クラス委員長の江川さんが笑う。この人は美人な上に私にも色々声をかけてくれる良い人だ!


「あかり、お前カフェの担当は何だ?」


 幼馴染の伊藤大河に声をかけられた。


 大河は配膳担当で執事ぽい制服みたいのを着ている。背も高いしイケメンだから良く似合っていた。


 クラスの女子曰く、客寄せ担当も兼ねてるとかとか。


「ジュース担当だよ。途中で部活の方で抜けるけど」

「そうか」

「話し中ごめんね。田中さん。おはよう。これエプロンだよ」


 エプロン片手に話しかけてくれたのは、同じジュース担当の鈴木くんだった。今日もでっかい瓶底メガネがキラリと輝いてる。


 挨拶とお礼を言いながらエプロンを受け取ったところで、担任の若宮先生こと、若ちんがホームルームするぞ!席につけー!て入ってきた。


「若ちん、もうセッティング終わってるから無理だよ~。今さらホームルームいる?」

「うっせえ!いる!じゃあ注意事項話すから適当に立ったまま聞け!」


 さすがヤンキー先生。

 相変わらず口が悪い。でも生徒思いの熱い性格だから、生徒からは人気の先生だ。


 若ちんが本来教壇のあった場所に立った瞬間。


 いきなり床がピカー!て光った!


「眩しい!こらー!誰だ床に何かまいたのは!」

「若ちん、うちら何もしてないよー!」

「目がー!目がー!」


 クラス中が大騒ぎしている間に、その光は教室いっぱいに溢れた。


 わたしも眩しさにギュッて目を閉じて。


 次に目を開けた時は、石畳が広がった広い場所にいた。


 何が起きたかわからず、ほとんどのクラスメイトがポカーンとしている中。

 

 何人かの男子が「おお!これはもしや異世界転移!」「とうとう俺達にもチートの力が!」とか、なんとか騒いでた。


 その後がまた、大変だった。


 よく見たら、私達クラスメイトから距離を開ける様にして、大人数のコスプレイヤーみたいな人達がこちらを観察していた!


 その中から1人の一際派手なおじさんが歩み出て来た。


 ふわふわのついた赤マントをつけて、頭に王冠載せたおじさん(王様!?)が両手を万歳して芝居がかって叫んだ。


「おお!勇者とその一行よ!我が世界を救ってくれ!」


 おー。何か漫画とかで聞いた事あるような、ないような。


「…ん?」


 王様(仮)がクラスメイト達を見回して、ぎゃー!と悲鳴をあげた!


 何事!?


「モンスターが!モンスターがいるぞー!討伐せんかぁー!」


 王様(仮)が叫び。


 それまで、後ろに控えていた剣を手にした騎士(仮)とローブを被った魔法使い(仮)のコスプレイヤー達が一斉に飛び出してきた!

 

「ぎゃー!何すんだ!あぶね!」

「モンスターが喋った!高位の魔物か!?」

「あほー!着ぐるみじゃあ!!」

「モンスターから人が出てきた!食われてるぞ!ヒーラーは癒しを!」


 着ぐるみ担当の男子とコスプレイヤーおじさん達がギャーギャーと揉め。若ちんと周囲の男子達がモンスターじゃねえ!とコスプレイヤーおじさん達を羽交締めにしたり、とにかく大騒ぎだ。


 ……いや、もうこれ。女子何も出来る事ないよ。


 女子はみんな同じ事思ったみたいで。


「もう若ちんと男子達に任せよ」

「あ!カフェで出す予定のクッキーあるよ~。みんなで食べよ~」


 とりあえず女子は仲良く固まって。

 おやつタイムに突入した。クッキー最高!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ