パワハラ裁判
その裁判は21xx年にA国にて行われた。
裁判官は眠そうにあくびをしながら裁判を始めた。
「それでは原告は訴訟内容について述べて下さい」
原告である小太りの主婦と思われる女性は話し始めた。
「毎日のようにパワハラを受けて困っているのです!このままでは頭がおかしくなってしまいそうです!」
「それはその・・・被告からパワハラ被害を受けていると、いう意味で合っていますか?」
「当たり前じゃないですか!自らの弱い立場を武器にして私をずっといじめているのです!食事の内容が気に入らなければわめき散らからすし、眠れなければ騒ぎ出すという始末です!世話をする私の立場にもなってほしいものです!」
「分かりました。では、何をお望みなんですか?」
「慰謝料です!私はここ1年間近く苦しんでいるのですから50万円ほど請求したいと考えています!」
「そうですか、本当に1年間もパワハラ被害にあっているのでしたら金額は妥当かもしれませんね」
「でしょう!」
裁判官は開始5分ですでにうんざりし始めていた。
誰でも簡単に訴訟・裁判ができるようにしようというスローガンに基づいて採用された新しい法律および裁判システムはどう考えても失敗だったとしか思えない。まぁ、今回はあまりにも極端なケースではあるが。
裁判官は今日のランチについて考えながら、訴訟対象になっている被告の姿を見た。
それは1歳になったばかりの赤ん坊だった。
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