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ジャージ先生復活そして

作者: 川目漱介


 平成元年に俺はジャージを辞めた。この新しい日本の夜明けにふさわしく無いからだ。その結果。日本経済は空前絶後のバブル経済に突入しそのバブルは崩壊。今から思えばジャージを辞めなければ良かったと思う。そして令和元年。


 ジャージティーチャーズの会合が赤坂プリンスホテルで開催された。まずはジャージ着用をやめていた者への叱責。平成の間ジャージを守り通したパウエル議長は吠えた。皆で日本の教育を守ろう!ところがパウエルはアメリカ政府の脅しに屈する。日本人は教育レベルを下げアメリカセレブの奴隷階級に甘んじなければならない。我々ジャージティーチャーズはパウエル議長が拷問と薬物で洗脳されていることを突き止めたがどうすることもできなかった。


 ある人物を通じて我々は最終手段に打って出ることにした。それはテロティーチャーズの協力を仰ぐことである。我々は計画実行の為、北朝鮮で軍事訓練を受けることになった。しかし計画を知ったトランプの逆鱗に触れ平壌は空爆で消滅。ジャージティーチャーズは北朝鮮復興の為に働くことに。そして政府の要職につくことになり酒池肉林の生活に溺れてしまった。


 スナックたえこのママ妙子は息子が北朝鮮に渡って犯罪に手を染めていることを公安から聞かされる。もう日本に帰ってこない息子。いや帰って来れない息子。どうして日本に帰ってこれない犯罪者になってしまったの?あんなに真面目一筋ジャージ一筋だったのに。そうジャージ一筋だったがゆえに…ジャージに罪は無い。ジャージを憎んでも仕方がないのは分かっている。けれど…今はジャージが憎い。息子が着ていたジャージを全て切り裂いて燃やす妙子であった。


  俺はそんな母の思いも知らずいつものように喜び組をはべらしていると日本の地震の知らせが届いた。

 

 南海トラフ地震そして海底火山の大噴火…日本列島の南に新たな大陸が誕生した。日本政府は直ちに新大陸を南日本大陸と命名。国民は地震の悲しみから祝賀ムードに沸く。しかし国連安保理は分割統治案を提案。ロシア、中国、アメリカ、日本によって統治されることになる。列強三国の横暴に国民の怒りは頂点に達し暴徒は国会議事堂周辺を占拠し機動隊ですら抑えきれない。暴力そして破壊…その影にはテロティーチャーズの存在があった。そして彼らに戦略物資を送っていたのがジャージティーチャーズであった。


 ジャージティーチャーズの面々は自分達のやっていることが日本の為になっていない。そのことに薄々気がついていたが、だれもそのことを口にしない。


 そんなある日脱走を試みた者がいた。良心の呵責に耐えられなくなったのである。すぐに発見されその場で銃殺される。つぎ同じことがあれば連帯責任を取らされることを聞かされた。そう、ここは北朝鮮である。日本に帰りたい気持ちはあるが脱走に成功したとして国家反逆罪で裁判にかけられるかもしれないしテロティーチャーズに命を狙われるかもしれない。


 思えば平成の間やめていたとはいえ中学からジャージ一筋。そんな俺がジャージティーチャーズに入るのは自然の成り行きだった。ジャージティーチャーズの一員であるというだけで深い考えも無しに北朝鮮までやってきて官僚になってしまう。日本に住む母はどうしてるのだろう?教子は?同僚は?喜び組をはべらした後、昔のことを思い出す。そして心の隙間を埋めるように北朝鮮政府の仕事に打ち込んで行った。


 ところが悪事に手を染めてしまった我々に最後の審判が下る日がやって来る。北朝鮮に革命が起き民主主義政権が樹立されたのである。前政権の要職につく我々ジャージティーチャーズは全員裁判にかけられ絞首刑に。


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