この駅から
「あ、すいません。駅構内でアンケートを取ってまして。お時間は取らせませんので2つだけですので質問させて頂けませんか?」
私は、いつも自宅近辺の駅構内でアンケートを取り、企業や個人主に売る仕事をしている。
本人には許可を取るし、お礼もしっかりしている。
プライベートはしっかり守るつもりだけど、本人の意思によっては匿名じゃなく実名でって時もある。
「わかりました。何のアンケートですか?」
やりました。今回の相手はアンケートに協力的です。
「1つ目は、いつもこの駅をお使いになられるんですか?その際どこに行く事が多いですか?」
「ああ、駅の利用アンケートですか。そーうですね。基本的にここの駅ですが、バスを使う時もありますね。行き先は3つほど先の駅に仕事へ」
「そうなんですね。2つ目は、何のお仕事をなされているのか不都合が無ければお聞きしても?」
最初は、笑顔で回答してもらっていましたが、何やら怪訝そうな顔をしています。
どうしましょう?無理なのでしょうか。
「あ、大丈夫です。ちょっと説明に困っただけなので。うーんと、夜の墓所の見回り業務なんです。墓荒らしが居ると困るので」
「そんなお仕事があるんですか!夜の墓所の見回りなんて危険ですよね。辛くはないんですか?あ、これは個人的な疑問です」
つい気になって3つ目を聞いてしまいました。
「大丈夫ですよ。怖いなんて有り得ませんからね。亡者なんて、そもそもただ逃げるだけですからね」
そう言って、アンケートに答えてくれた方は、手を振って去って行きました。
「ええー。ニュースです。駅構内で最近頻繁にアンケートを取るといった独り言を口走っていた女性が、駅構内で死体となって発見されました」
「薬物の反応は無かったんですか?幻覚とか見てたんじゃないですか?」
「薬物反応は無く、司法解剖の結果も特に何の変哲もなかったようです」
「よくその姿を見かけていたと言う方に話を聞くと、いつも質問を2つしていたのに、その日は3つだった。とのことでした」
「それしか情報が得られておりません。何か分かる方はご連絡下さい。また、こう言った事件を防ぐためには、怪しい方を見かけた際は、警察や周りの人に相談するよう心がけましょう」
そう言ってニュースは終了した。
「ニュースです。駅構内での変死事件の続報ですが、現地に取材に行った3名のスタッフ全員が亡くなったとのことです。警察によりますと、他のテレビスタッフも同様に亡くなっているとのことで、同一犯の可能性が考えられます」