アメリカに留学?
「今日友達と遊んだんだ」あたしはそっけなく言った。
「あら、そう。よかったわね」お母さんもそっけなく言った。私の話を聞くより今日の夕食を作る方が大切らしい。
今日の夕食は材料からみてカレーだ。1週間に「カレーの日」は最低、3回はある。今日は月曜日、今週は今日が「カレーの日」は初めてだ。先週の土曜日のカレーを食べた。食べてびっくり、何故かカレーの中に「銀杏」と「大根」が入っていた。最悪だった。
今日はそんなカレーではないことを願った。
いつもお母さんはあたしの話を聞いてくれない。あたしの親友の名前さえ言えるかさえ分からない。あたしの親友は去年、アメリカから日本に留学しに来た。名前はジェシカ。歳はあたしと同じ13歳。頭も良くて顔も良くてスタイルも良くて、内面も良くて...それになにより「セレブ」なの! すごーいお金持ち。家族はリバリーヒルズに住んでるんだって。お父さんが
俳優で、お母さんが歌手。どっちも世界的にも有名。あたしですら知ってたもん。
そんなことを考えてる間にケータイが鳴った。
「HELLO!樹夏?言い忘れてた。あたしね、明日アメリカに帰るの。樹夏もアメリカに来て!留学してよ」 えぇ!?あたしがアメリカに留学?それに明日アメリカに帰るの?しかもきっとジェシカの家に住むってことかな?あたしも行きたいな!
「わかった。お母さんに聞いてみる!!」3年前、お父さんとお母さんが離婚してあたしはお母さんに引き取られたからお父さんはいない。
「ok あと返事電話でちょうだいね」
「お母さん!あたしアメリカに留学してもいい?明日行くの!」気持ちをこめて、少し甘えた感じで言ってみた。
「急に何言ってるのよ!ダメに決まってるでしょ!明日までそんなお金出せないし、、、今でだって生活が苦しいのに...」そうか、家は裕福な家庭ではない。なのにアメリカに行くってなったら破産しちゃう。
ポケットの中でケータイが鳴った。
「また言い忘れてた。お金は私のお父さんが払ってくれるって。大丈夫。おこずかいとかまで払ってくれるから、樹夏のうちは全然払わなくていいって、じゃぁね」
ナイスタイミング!
「お母さん、ジャシカのお父さんが全部お金払ってくれるって。しかもおこずかいまでくれるって!」
「えぇ!!おこずかいまで...?」驚いた顔えお母さんが言った。
「別に悪くはないかもしれないわね。樹夏がいなくなっただけでも生活は楽になるしー」
「ねぇいいでしょ?」また甘えた感じで言ってみた。
「うん。行ってもいいわ。だけどジェシカ、ちゃんと言うこと聞くのよ?」
やった!!行ける!!
「うん、当たり前じゃない」
そう言ってあたしはジェシカに電話をかけた。
明日にはアメリカに行けるんだ!しかも親友と一緒に!
そう思うといつの間にか嬉しすぎて笑顔になっていた。